035
結構ギリギリだった。退路は確保していたが、戦利品回収にも魔力を使うので短期決戦はあまり得意ではないと反省。レベルが上がればステータスに余裕も出来るだろうから数こなすか。
「疲れますけど、早いですね」
「まあ群れと言うか数がおかしい。他のダンジョンはどうなってるんだろうな?」
「お客さんから聞いた話だと、こんな状況はないわよ。集団を相手したっていう自慢の武勇伝でも誇張して数十ね。そう考えると異常な数よ」
「なあ、主人。数が少なかったら剣で殺りてえよ」
「あ、私も欲しいですね。杖は「剣姫」のスキルが使えません」
ロングソードの素材は128か。俺には木刀もあるし、作ってもいいかもな。太刀はロマン要素が強い。木刀と被る。杖2本とロングソード1本に剥ぎ取り用ナイフ1本ならアイテムボックスの一枠で足りるだろう。
「宿で戦利品の数があれば考えるよ。装備も増えてアイテムボックスが窮屈になってきたな。余裕だと思ってたのに」
「女性、一人一枠、許して」
「あ、ああ。そんな不便を強要しないさ。むしろ討伐証明がない分余裕のはずなのになと思ってな」
「普通は、フィールド意外で、モンスターの素材に、価値はないよ」
「そうですよね。ゴブリンから布が作れるのがおかしいです」
「充実したら不要になる「「「いります!」」」……あー、はい」
「ここでは出せないけど、色がついたショーツは素敵よ」
「「「おぉー」」」
「はいはい。宿に帰るよ。お腹いっぱい?」
「「「はい♪」」」
短期決戦だったので時間に余裕がある。生活雑貨を購入して帰宅。このタイミングなら早々に買い物を切り上げると思ったんだよね。露店巡って次々購入。品選びは女性に任せて支払うだけ。洋服がない分だけ早いな。
○ ○ ○
買った生活雑貨を整理したら。行水して、洗濯して、俺の部屋に集まって戦果確認。なお、洗濯はもう一つの部屋に干してくれてる。
昼前の1層で遊んだときのも含めると、こん棒271、ソード122、骨布1146。気合いが入った骨布の枚数だな。レベルも三文字職が揃って11となり、10時に転職したのにもう二文字職がレベル10。レベル10までがとても近くなったな。
「ご主人様! 普段使いの下着を用意しましょう!」
「それは直ぐに話すけど、先に相談。剣や太刀、後はランスか、使って戦いたい人はどのくらい?」
「私! 「剣姫」で剣使いたいよ!」
「私もあると嬉しいですね。「剣姫」や「村正」のような二文字職業に就ければと思っています」
食いついたサロワナとエフェロナ。対して。
「私は先を考えると尻込みしそうです。慣れたゴブリンですから戦えました。魔法で動きを封じられる安心感があるから挑めましたよ」
「私は魔法が好きよ。殴るのは気晴らしでいいわ」
「私も、同じ。今日は遊びだった。ゴブリンだと、儲けないですよ。強いモンスターに、近付く気合いは、まだ無いです」
慎重派のフィーリアとミーディイ。ロザンナはどう解釈しよう?
「ロングソードが一本作れる。今の希望だとサロワナとエフェロナに渡すよ。明日にはもう一本用意する。他は様子見でいいか?」
「サロワナ、先に持って良いわよ」
「嬉しいぞ、エフェロナ! 主人、よろしくお願いします!」
「了解。エフェロナとフィーリアに威力用の杖を作るよ。さて……」
「下着です!」
「そうだね。防具としてセットを一つ。余るから、えっと主人的に俺のを3セットを先に用意して、みんなのをセットを一つ。許可するよ。余りは何枚になるんだ……多分、188か。デザイン変更に使っていいよ」
「計算が早いです! ご主人様の気合いいれますね!」
「お、主人に似合うの勝負だ!」
「いや、シンプルでいいよ」
「無地は面白くないですよ。大丈夫です♪」
服飾組がスイッチ入った。この流れで女性の下着談義が始まるのだろう。長い夜になりそうだな。
「昼に作った下着は全て薄く染めているわ。柄が分かりやすいわよ♪」
「「「おおー♪」」」
「ご主人様、灯り貸して。長くなります」
「…………………はい、どうぞ」
スローイングナイフはここでは灯りの扱いだ。用意したのが強弱あれど大体光る。20本を適度に配置して暗くなっても盛り上がるようだ。さて、ロングソード作ろ。
○ ○ ○
一通り、着せ替え人形にされた。どさくさで触るの止めて。フィーリアの嫉妬が刺さるよ。
無駄に裸体を晒した後、ようやくロングソードを作れる状況になった。先にマジックスタッフ(魔法威力増加・範囲増加)は作り、フィーリアとエフェロナに渡した。
作成……形状か。ロングソードと言いつつ、大きいのはバスタードソード、一般的に片手剣と呼ばれるサイズのショートソード、片刃に両刃、直剣に反りも選べた。
片手、両刃、直剣。これが「剣姫」っぽい。
更に形状か。いや、デザインか。実直なデザインが多いな。あ、これ良さげ。鍔の部分、刃と柄の境に宝玉が填めてありそうな丸い飾り彫りがある。イメージ的に飾り彫りの多いグラディウスか。
可愛いとは言い難いが、グラディウス、「剣姫」っぽい。
オプションか。ん? 二つ? お得感あり。太刀だともっと付けれるのかな? 属性か。聖や光があれば……盛り過ぎるとネタ武器になるな。火属性と耐久力増加で。
炎が出たら面白いよな。「剣姫」ってゲームだと痛い娘キャラが多くてイメージが引っ張られたかな。完成。
「意外に軽いな。属性って魔力を通すの……かっ!?」
「「「ひゃ!?」」」
刀身に火が点った。淡いが火がついた。本当に火が出た。柄は熱くはないが、熱気が感じられる。手を近づければ確かに熱い。火属性って魔法剣かよ!
「おー、すっげー! 私の剣かよ!」
「ああ、前を隠してほしいが、サロワナに持たせる剣だ」
着替えの最中で双子山が揺れる。
「ひゃー♪ 火が出るぞ!」
「俺も高性能でビックリだよ。ふむ。魔力を切ると直ぐ冷めるな」
「私! 私がやる!」
「振るなよ! はい」
サロワナが子供のようにはしゃぎながら剣を持っている。よかった、振り回してはいない。あ、ロザンナに窘められてる。エフェロナが前屈みに興味を示しているな。ん、フィーリア、お前もか。
「鞘がないのは仕方がないが、アイテムボックスがあるからいいか」
「はい。いいですよ。サロワナ、明日まで没収です。ダンジョンで返します。あと、ご主人様にちゃんと礼をしなさい」
「私が持つくらいいいじゃん!」
「お・れ・い!」
「は、はい、姐さん! 主人! ありがとうございます! お礼はこの体で支払「パァン!」ったー! 尻、痛っ! フィーリアちゃん、冗談……じゃないけど、求められたら応じるってだけだよ!」
「ご主人様を誘うなー!」
混沌とし始めたので先に寝る。みんなも早く寝てね。ん、ポジションが落ち着かないな。おやすみ、zzz。