033
うーん。昨晩はフィーリアが魔力を犠牲に元気だからこってりと絞られた。
「んちゅー♡ おはようございます♪」
朝からも絞られそうなので起床したい。フィーリアの魔力消費は睡眠で回復したようだ。俺も「強癒」ほしい。が、転職は昼だ。午前中には2層にトライしたいのだ。
「あん♡ いけずぅ」
朝から怠惰にされそうなのを剥がして起きる。この魔性の力に溺れたらみんなを養えない。養えるなら溺れていいのかな? まあ、収入なしが妄想しても無意味だな。働こ。
薄暗い中、仲良く行水。何故かみんなで。ちょいちょい話を振られるので振り向いてしまう。どの双子山も素敵です。そしてみんなの視線が下に向く。くそう。生理現象だよ!
何故清めたか? それはお披露目だかららしい。注文通りに布面積最大で、これは半袖なヘソ出しスポーツインナーだな。ジャストフィットでラインが強調されてる。メッシュやら透けレースなんかエロ……防御力に不安を感じるぞ!
ご主人様からの賜り物と言うことなのでガン見した。うーん、フィーリアの視線が痛い。
○ ○ ○
さて、マジックスタッフ(魔法威力増加・範囲増加)を使ったロザンナの感想は?
「連続は無理ですね。次に使おうとしても発動しません。魔力の減りが大きいのもあるのですが、半分以下になってはいないのです」
「待機時間が増えるのか。しかし、範囲が倍なら先手で頼む。そのあと、ミーディイに渡してくれ。俺も指示を出すが、ミーディイは状況を見て自己判断で撃っていい」
「分かりました。よく、見ます」
「俺は入り口に向けて立つ。ロザンナとミーディイが俺の後方、それを起点として、左にフィーリア、右にサロワナ、奥にエフェロナ。転移魔方陣がある部屋は広い。討ち漏らしを殲滅しろ」
「「「はい!」」」
「あの部屋の出入口は一つ。俺は様子次第で出入口に『残虐創設』で罠を張る。2層のゴブリンが弱ければそこで止まるだろう。が、安易に休めると思うな。常に撤退を視野にいれろ」
「あの数、油断は怖いですよね」
「おぞましい数でしたね」
「「「そんなに?」」」
「こっちが後手に回れば圧殺される。その気で戦おう」
「「「はい!」」」
「ロザンナ、魔力は?」
「さっきのは2~3割ですね。杖を持ち変えて対応すれば4発。5発は倒れると考えてください。残りが3発です」
「ミーディイも3発と考えよう。そのラインが撤退だな。今日は転移魔方陣の部屋を陣取る。無理や欲は捨てる。行くぞ!」
「「「はい!!!」」」
○ ○ ○
「『肉皮剥ぎ魔術』!」
2層転移後、敵が居なくても撃てという指示で放った魔法。状況はゴブリン群れ、大群だった。
「ちっ。対象の数が多いと効きが甘くなるか! ミーディイ!」
「撃つ! 『肉皮剥ぎ魔術』!」
中央から効果が高いようで外輪は半数は耐えた。
「立ってるものから倒せ!」
「「「はい! 『骨下拵え術』!」」」
前方にはスローイングナイフで即死させるが、出入口は不味いな。増援は嬉しくない。
「ミーディイ、杖を!」
「はい!」
「入り口を塞ぐ! 『残虐創設』!」
幅は4メートルと目測。指定範囲を5メートルで放つ。これで時間は稼げるだろう。杖を返却、久々の赤い木刀で殴り倒していく。スローイングナイフの回収が出来ないのだ。
「二発目が撃てるわ! 引き付けて!」
「「「はい!」」」
『骨下拵え術』の標的を手前から奥へと変化させる。成る程な。俺は射程が無くなったから走る。五人でゴブリンを寄せ付けずに倒せている。立ってるゴブリンが居なくなったら止めを刺せばいいだけだ。
「いくわ! 『肉皮剥ぎ魔術』!」
少し早く感じたが、死んでいないゴブリンが対象になるか。威力が減る分、数を減らさないとな。さすがのゴブリンも『肉皮剥ぎ魔術』三発は死ぬようだ。一気に周りの生存ゴブリンが減った。
「フィーリア、サロワナ、エフェロナ、俺のカバーを。入口をかけ直す」
「「「はい!」」」
入口が混雑してきた。『残虐創設』も許容量があるようで5分と持たない。杖を借りてかけ直す。
「ご主人様! フロア制圧しました!」
「よし、フィーリア、サロワナ、エフェロナ、入口を見張れ! 俺とロザンナとミーディイは回収に回る。回収が終われば撤退だ」
「「「はい!」」」
俺はスローイングナイフを回収してロザンナに、その足でこん棒とソードを拾っていく。ロザンナは止め兼吸血のため『妖刀刺し』で首を突く。ミーディイは『皮飾り魔術』で防具強化。
「見張りを変わる。俺もあと二発くらいか。『残虐創設』。回収急げ!」
出入口通路はそこそこ長く範囲外で渋滞していた。それも死体が山積みだからだ。その渋滞に向けて放った。悲鳴が通路に木霊する。手の届く範囲のみだが、警戒しながらこん棒とソードを回収。
4発目が必要かと考えていたら。
「回収完了です! その山は?」
「欲は引き際を見失うな。撤収!」
「「「はい!」」」
○ ○ ○
「2層、危ないけど、凄いわ」
「次はどんな柄にしましょう♪」
「主人よ! エロいのいいか?」
「駄目。戦闘用を3セットの次で頼むよ」
「今日はもう二回は行けますよね?」
「魔力も大体回復したわ。やっぱりこの杖は良いわね」
大量の戦果。朝に潜って、今は10時のおやつってところだ。この短時間に、こん棒154、ソード86、骨布672。1匹3枚の骨布の誤差があるのは出入口のをちょいっと摘まんだからだ。
魔力を大量に使い、精神も消耗した一戦。お腹すいたので、早いが昼食。大皿はなしで。俺も今日はあと二回挑んでもいいと思っている。怠惰な慣れは怖いが、緊張状態に慣れるのも必要だと思うからだ。
「ご主人様。一部が染まってしまったので追加いいですか?」
「シンプルにな。それと人気のないダンジョンで。デザインは夜に変えてくれ」
「「「やったー♪」」」
色が緑系一色だが、まあ戦闘用だと思えば妥協できるだろう。後は二文字職の転職もだな。ロザンナまでもが「村正」をレベル10にした。みんなが二文字職のレベル上限なのだ。
身動きできないゴブリンに魔法は勿体ないよな。「杖士」と「術師」のバグ職「杖術」と、女性なので「剣士」と「舞姫」のバグ職「剣姫」。これらで物理で止めを刺せばいいかも?
これに「強癒」と「村正」で、あと10年もかけて育てた無意味なバグ職で5つになる。フィーリアは奴隷があるから5つにならないかなって感じ。
俺はスキル補正もなく投剣を覚えたんだよね。攻撃職に拘ることないから好きな二文字職でいいよなぁ。でも、訓練所が面倒だ。二文字二重職になったら「強癒」と「村正」で埋まるしな。今ある手札を育てるか。
「さて、二文字職を転職させるよ」
ステータスダウンをするが、直ぐにレベルが上がって落ち着くだろう。無理なら撤収で。