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「私が「村正」に転職ですか? それで朝の終わりにレベルを確認していたのですね」
「ああ、スローイングナイフの強化をお願いしたい。あと、二文字二重職を狙っていきたいから、交代で「村正」を覚えてもらう。全員が回る頃には「強癒」を就けても空きが1つ出来るからな」
聞けば、医療系分野は混沌としている。薬学や医学や治癒魔法といった医療系分野が対立している。連携を取れば更なる発展があるだろうが、各ギルドが覇権を争っているらしい。そして軒並み高額なのだ。
不親切にも対立しているので、この症状にはこちらに、なんて案内はない。自己判断で選ぶのだが、客の囲い込みも激しく、一度診療を受ければ鞍替えが難しい。医療系ギルドの梯子は特権でもない限り、最終的に全てのギルドから弾かれて医療行為を受けれなくなるようだ。
うーん。「強癒」以外にも万能回復職が仲間にほしいな。「強癒」の回復スキルはお世辞にも有能とは言い難い。効率や速効性がないからな。この世界の回復魔法は万能ではないのだろう。他が対立できるくらいだからな。
とまあ、昼を食ってから転職神殿への道での会話だ。あ、大皿が3つから2に減ったよ。過剰な食欲が減衰はしたが、元々が欠食だったから今度はふくよかな方へと食欲がシフトした。胸が痩せて寂しいらしい。結構あると思うけどな。
色街出身で最後まで使われるのは、客をとれる女だけだ。結果、ロザンナ達は最後まで残れる美貌を持っている。そう、ジャンルは違えど、みんなが美人なんだよね。目のやり場に困るんだよ。慣れよう。
「はい。「村正」に就きました。これで接近戦も出来ますね」
「そうだな。マジックスタッフならリーチもあるし、練習してみるのもいいな。基本は死骸の血抜きね」
「はい」
○ ○ ○
昼からの効率は格段に上がった。むしろ、俺が不要。マジックスタッフを早々に2本作り、全員に行き渡った。
「骨服師」組が3人も居れば1層のゴブリンの数なら討ち漏らしはない。のたうつゴブリンに、俺から借りたスローイングナイフをロザンナが『妖刀刺し』で止めを刺す。ミーディイと共に装備強化して、残った骨を骨布へと変えて、完全消滅するゴブリン。
討伐スピードも悪くない。むしろ、手が増えたし、回収も流れが出来ている。そう、もう1層は流れ作業と化した。俺は不意打ちに警戒するだけだ。
「ご主人様。ご主人様の下着の強化が限界に達しました。替えを作ってもらいましょう」
「ここで拒めば主人じゃないんだよな。俺のを3セットできたら次はみんなの分だ。これでいいか?」
「じゃー、私が作るよ!」
「私も作ります。フィーリアちゃん、教えてね」
「それぞれ上下作れるほどあるから、お願いします」
フィーリアの指示のもと、タンクトップ(加工、Tシャツ)とボクサーパンツ(加工、レギンス)が出来た。色が染まったTシャツはちゃんと模様が浮き出ていたので、濃色無地と袖が濃色のデザインとなった。
レギンスは無地で頼んだ。星柄とかハート柄を推されたが却下した。なのにワンポイントで星とハートが入れられていたのは染まってから知ることになる。まあ、散りばめられるよりはマシと妥協した。
着替えはせずに、ロザンナとミーディイで持たせ強化させる。ダンジョンで下着を着替えるとかどんな羞恥プレイだよ。
「ダンジョン数日で言っちゃなんだけど、手応えないよな」
「ご主人様のもたらした職業と、この杖よね」
「油断しない。ダレると、2層で、痛い目合うよ」
確かに三文字職業ならもっとダンジョンの奥へ潜る。弱いゴブリンを相手してれば誤解するかもな。明日にでも2層を目指すべきだろう。先の3層も視野に入れてな。現金収入が無いのが心許ない。
ダンジョンが少し暗くなってきた。外の日が夕方に近付いた証拠。この不思議現象で日の傾きをダンジョン内でも知ることが出来る。ゲームだといつも明るいのにな。
「そろそろ撤収だ」
「「「はい!」」」
宿でやってもいいのだが、何となく癖になった戦果確認。こん棒167、ソード14、骨布543。骨布が極端に増えたのは余すことなく素材にしたからだ。作成が捗りそうだ。こん棒はトータルな。途中で使ったので、手元には146だ。
○ ○ ○
「布面積最大。それ以外は問わない」
「「「はい♪」」」
始まったのは女性陣の下着作り。ボクサーショーツとスポーツブラで97の消費。五人分で485、残りが89も残る。この為に女性陣は昼から頑張ったとも思える。着心地いいからな。
「デザインの変更は?」
「今日は一人二回まで」
「「「やったー♪」」」
三文字職業はレベル10になって、『骨布変化術』と『武具創り』にデザイン変更が生えた。消費は対象の素材が3いるが、衣服は年頃の女には嬉しいスキルとなった。
『肉飾り魔術』と『皮飾り魔術』もデザイン変更と言うか、オプション変更が可能だが素材を持ち帰る気にはならないのでその場で変更だな。
他のスキルは威力上昇や範囲拡大なんかだが、ゴブリン相手では威力の差は分からなかった。範囲は調整可能で『肉皮剥ぎ魔術』と『残虐創設』の効果範囲が半径1~5メートルと使いやすくなっている。狭いと威力が上がる。
レベルによってスキルの威力が変わるのはゲームでも同じだが、射程とかは変化はなかった。微妙に仕様が違う。まだまだストックのあるバグ転職まで違ったらどうしよう。
そんなこと考えつつ、スローイングナイフを4本とマジックスタッフを1本作った。マジックスタッフは次にシンプルな先端に丸い飾りのある質素な物となったが、棒よりは断然に杖だ。
この杖、魔法威力増加と範囲増加を付けている。低燃費な棒なマジックスタッフとは真逆の発想なのは、2層のモンスター溜まりの初撃用だ。ロザンナに試し撃ちをして貰って、使用感によってはそのまま2層へ突入だ。
「(……こんな思考に更けるのも、顔を上げ辛いからだよなぁ)」
ザ・ファッションショー。みんなが全裸で意見交換中。もう色々と見えてヤバい。食事もしっかりと取り「強癒」で元の美しさを取り戻した夜の蝶は色気がすんごいの。
フィーリアがしっかりと俺の反応を見張ってるから、動くに動けない。横目でチラチラ見てしまうのは勘弁してほしい。だって、見せ付けてるよ、このお姉さん達は。これで胸が痩せたとか、元はどんだけよ!
「布面積が少ない方が反応いいわね♪」
くそう! モロにバレてる! スポーツブラとか言いながら意外に柔軟な形状選択が出来てるよ。色気に色気が合わさったら鼻血ものです! 隠した方がエロいとかどうなの?
いや、夜って暗いじゃん。ランプないじゃん。ああ、有料であるが使ってない。で、最大まで『肉飾り魔術』で鍛えたスローイングナイフは光るの。その灯りで淡く映される夜の蝶(元)は威力が……。
悶々とした時間はなんとか過ぎた。そして。
「ご主人様ぁ? 元気なのは、誰を見たせいですかぁ?」
こってりと絞られた。色々と絞られた。もうだめ……zzz。