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 昼休憩の食事タイム。


「ご主人様、早々の貸与、ありがとうございます」


 俺は魔力をほとんど使っていなかったのでダンジョンを出る前に、ロザンナにマジックスタッフを、あとスローイングナイフの3本目を作成した。


 今までは予備としてゴブリンソードを残し気味にしていたが、フィーリアが援護に回れるので装備の質の充実を図っている。


「俺も魔力を使わない想定がなかった。スローイングナイフの攻撃力が高いんだよな。どんな職でも良かった気がするよ」


「私は作成しなくて良かったのですか?」


「無駄に魔力を枯渇させる必要はないよ。あと、夜にオプションとかを聞いて考えたい」


 ただの下着なのか? っていう疑問もあるので実験がしたいんだよね。それによってはロザンナに頑張ってもらう必要も出てくる。


「あの、私達、これでいいのですか?」


「俺には足りないものも多い。ナイフ持たせてゴブリンと戦えって言っても、怪我したら治療の手がない。なら、過剰に安全策を取るさ。あと、もう一つ仕事ができた」


「なんですか? 何でもします!」


「いやな。三人の内、二人はフィーリアの職である「骨服師(ボーンパンテナー)」に、もう一人が肉魔飾(ミートデザイナー)だ。フィーリアとロザンナの動きを見て役割を分担してほしい」


「バグ職の選択肢は少ないのですか?」


 ロザンナの問いに困る。あるよー。そこそこある。だけど通常の職業と比べて癖が強い。でも、過剰戦力にしても慣れていないのだから十全に使いこなすには難しいと思うぞ。


 超が付く近接戦や、仲間に当たるとダメージがある広範囲魔法職を説いてみる。


「「「無理です」」」


「物事には手順があるよ。初心者がゴブリンと戦うように、こちらも覚えていかないといけない動きがある。安全な魔力運用に魔法の行使を覚えれば先へ、前に出て戦えるならその先へ。今回は魔法を覚えてもらおう」


「「「はい!」」」


「今日の晩にフィーリアには下着を作ってもらう。その出来を見れば欲しいと思うだろう。それをみんなが不足しない量を確保するから純粋に手が足りない。戦闘の練習と素材集め。両立しよう」


「「「分かりました」」」


 さあ、午後からのダンジョンアタックと行こうか。



  ○  ○  ○



 午後からは特に午前と変わらない。が、ロザンナが愚痴る。


「ご主人様、魔力に余裕があるのですが、ナイフの強化だけでは勿体ないです」


 スローイングナイフの耐久値上昇が2本止まった。耐久値上昇の上限に達すると仄かに光る。意外にきれいだ。で、残り1本のみだと余るらしい。杖の効果がすごい。んー、あれかな?


「考えていたのは『皮飾り魔術(プットオンスキン)』の実験だね。フィーリア、魔力に余裕ある?」


「微妙です。ご主人様の言い付け通りに半分の維持を保つ気でいますが感覚が曖昧です。作っちゃうと一時的に魔法を控えないといけません」


「いいわ。あるわよ、ここに」


 脱ぐのに躊躇いがない。ボクサーショーツの説明が不十分だったのか? それとも伝えてない? 三人が唖然としてる。


「少し心許ないけど、まあいいわよね」


 街娘風スカートなのは、古着で女性冒険者用のパンツタイプの古着は少ないからだ。スカートの中はノーパン。


「ご主人様ぁ。私も脱ぎましょうかぁ?」


「俺も男なの。反応しちゃうじゃん。許して」


「今日もお願いしますね♪」


 夜の予定が決まった。そんな話をしている側で、三人が興味津々にボクサーショーツを品定めしている。ロザンナが効果を説明して、大興奮だ。下着としての性能も抜群で、装着者にジャストフィットの真の装備でもある。


「『皮飾り魔術(プットオンスキン)』、試して」


「はい。『皮飾り魔術(プットオンスキン)』」


 うん、きしょい。ある程度の距離であれば有効範囲のようで、死体に押し付けることは不要。血で汚れなくて良かった。結果、皮を剥がれたゴブリンの死骸が完成した。呪わないでね。


「やはり上限までは変化が分かりにくいですね」


「まあ、今日は準備不足。明日から増えるよ」


「そうですね。これは検証でした」


 時々、ロザンナに魔法でゴブリンを痛め付けるのも挟んだ。有効範囲は半径3メートルくらいか。中々の範囲攻撃だ。杖のオプションで化けるか?


 色々と三人の質問も合わせて戦闘の検証をしていく。2層はこの数倍いると言っているので、それぞれの性分でどちらの職業を選ぶか悩んでいる様子。と、ここで、ボクサーショーツに変化が。


「色の指定?」


「はい。上限なのでしょう。武器の方は光の有無を問われたので考えずに採用してしまいましたよね」


「まあ、効果が切れるのが分かりやすいから責めてないよ」


「ありがとうございます。こちらは色の濃淡ですね。緑色のようです」


 ゴブリンの肌色が緑だしな。濃緑でお願いした。検証も兼ねているからな。そして、申し訳ないお願いもしてみる。


「ゴブリンの死骸に履かせました。ご主人様の所有物ですし、それに検証ですよね。どうぞ」


「私もいいですよ。まだまだ作ります!」


 ゴブリンの死骸に目掛けて、今の全力、スローイングナイフを『投剣』で放った。ボクサーショーツを履いている場所だ。


 ぽよ~ん。……カランカラン。


「「「えぇ~!?」」」


 濃緑の色が一気に抜けて白となったが、見事に弾いた。弾かれたスローイングナイフは勢いを殺され床に落ちる。ボクサーショーツをめくってみてもゴブリンの死骸は新たな傷は増えていなかった。


「やっぱり防具なんだな。俺の全力が弾かれた。白に戻ったからこの防具はもう一発は危ないかな。ゴブリンに履かせたのを返却したくない。止め」


 全力の二発目。ボクサーショーツは爆散、だがゴブリンの死骸は原型を留めている。ゴブリンの汚い尻に微かに刺さった程度。


「一部が裂けずに全てが散ったか。思うに、全耐久値の消失と共に真の装備は失せてしまうのだな。いい検証になった」


「「「勿体ないです!」」」


 三人の方からクレームが。気持ちは分かるが、命を預ける物だ。ちゃんと知っておきたいよな。


「ご主人様の意思ですよ。あと、この骨布で作るのですから、皆さんが集めたらいっぱい出来ますよ」


「それが、材料だったの?」


「そもそも作れるのだったわね」


「すごいわ」


 フォローで鎮火。一区切りついたので撤収。午後の戦果、こん棒127、ソード9、骨布71。


 この調子でミーディイとサロワナとエフェロナの三文字職業への転職をしないとな。クールタイムが地味に堪える。


 この三人もロザンナと一緒で根性あるな。魔力枯渇を頻繁に起こして辛いだろうに文句も言わずに、むしろ何もしていないと嘆いている。体調の回復でいい仕事とフィーリアの支えを期待しよう。


 あー、昨日は買い物で遅かったな。飯食ってからにしよ。

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