025
「ボクサーショーツ、作っていいのですか?」
「ああ、俺はこの手の物に疎い。2人の評価が聞きたいんだ」
夕食後に定宿で団らん。とは言え、魔力も回復したのなら使わない手はない。どうも、魔力の回復は食事と睡眠が大きいようだ。何もしない自然回復は時間がかかる。
「お言葉に甘えて、『骨布服縫製術』。対象、ボクサーショーツ……細かいオプション設定はどうしますか?」
「今回はシンプルに。純粋な性能をみたい」
「はい。……出来ました! どうぞ!」
いやいや、女物のボクサーショーツを渡されてもな。と思いつつ調べてみる。おお、よく伸びる。いや、伸びすぎじゃね? 力を抜けば普通に戻る。サイズはMっぽいのに3Lくらい伸びたぞ。
シンプルに白。特に変哲のない女性物下着……だと思う。あっちじゃ触ったこと無いしな。でも、手触りはすごくいい。履き心地も良いのではないだろうか。返却。
「ロザンナさん、履きます?」
「いいわ。フィーリアちゃんはここで私が見せつけたらどうなる?」
「うっ! まだ心がもやっとします。私、履きます!」
と、ためらわずに全裸!
「えっと、下着ですよね?」
「俺の知識では女性の下着だ。ショーツだしな。脱いで聞くなよ。さっさと履け」
「うー、いけずぅ。んしょ。ふぉう。ピタッとした!」
「不自然にフィットしたわね。あれかしら、ダンジョンの宝箱から出る真の装備ってものかしら」
「真の装備?」
「装備する者に自動でサイズが変わるダンジョン特有の装備よ。装着者を選ばないから重宝されているそうよ。もちろん高いわ」
ゲームではサイズなんて要素はない。ってか、サイズ不適合で装備が付けれなかったら、念願のボスドロップが装備できないとかいう悲しい現象が起きるな。苦情殺到だよ。微妙にゲーム要素が入る異世界だな。
「フィーリアちゃん。ごめんなさいね。前言を撤回してもいいかしら」
「そうですね。ご主人様の為の検証目的であれば仕方がないです」
「ロザンナは上半身は脱がなくてもいいぞ」
「ちゃんと見てください。これはただの下着では終わりませんよ。下手に隠すような身体は持ち合わせていませんので」
すぽーんと全裸。全裸の美女に脱ぎたてショーツを渡す全裸の美少女。すごく不思議な光景です。
「あら、私の方がお尻が大きいのにきつくないわ。よく伸びて、吸い付くように履けたわ。凄いフィット感ね。フィーリアちゃんとは違うお尻なのに全く違和感がないの。ご主人様、どうですか?」
「刺激が強いな。じゃない、お尻もだが、腰の高さも違う。なのにフィーリアと同じように仕立てたような自然さがある。凄いな」
「これは量産です! ご主人様の下着から揃えましょう。替えを入れても5セットは欲しいですね」
二人とも服着ろ! と、注意して考える。二人は性能に絶賛だが、ちゃんと着心地も言い合っている。大絶賛というほどの高評価だ。オプション次第では可愛いデザインもあるかな。うん、売れない。
○ ○ ○
この一枚をどっちが履くかで揉めてるので、俺は『武具創り』でのマジックスタッフを作ることにした。
先ずは形か。杖と言うか棒、先端に装飾有り、先端が太い仙人の持つような杖、等々。10種類あるが、勉強した。バグ職の創作物はあまり目立ってはダメだ。棒を選択。
追加能力のオプションか。2つ選べるようだ。スローイングナイフはなかったから、上から順に増えていくのかも。最初は無しで。それとも材料の数か? 要検証。
魔法威力増加、範囲増加、MP消費軽減、MP回復補助、溜め増幅、ってとこか。そりゃ、MP消費軽減を2つ……は無理か。もう1つはMP回復補助で。威力を求める魔法が少ないし、こん棒は腐るほど集められる。最初はフィーリア用とも思ったが、MP回復補助はロザンナに欲しいな。まあ、明日にでも2本目を作ろう。
ほい、完成。
「木の棒ですか?」
「下着でも揉めるほどに性能いいだろ。だからシンプルにした。マジックスタッフってやつだ。魔力消費軽減と魔力回復補助のオプションがついてるぞ」
「「すごい」」
「そうなの?」
「多分ですが、有名な冒険者でも能力付きの装備は持っていないかもしれません」
「そうね。少なくともこの街だと領主様が持っていそう、なくらいね」
やっぱりお蔵入りの私物か。それであればスローイングナイフも危ないかもしれないな。能力は無くとも装備として有能かもしれない。
「杖は私達が使うのですよね?」
「そのつもり。鈍器としても性能が良ければ吸血させる。けど3本目からだね。先に二人のどっちかの装備にする。まあ、待たせても明日には作るから揉める必要は少ないよ」
「ロザンナさんがボクサーショーツ。私が杖。布を量産します!」
「いいわ。そうしましょう。ご主人様の下着を用意しないといけないわね」
決着ついてなかったのね。譲り合ってたようだ。喧嘩ではないな。よしよし。さて、寝るか。
「ご主人様ぁ♡ 今日こそ……えっ!?」
zzz。