021
従者ギルドに行った。手続き終わった。
「ロザンナさん、改めてよろしくお願いいたします」
「フィーリアちゃん、こちらこそよろしくね」
従者ギルドで逆の心配された。バグ持ち、バグ職、体調不良の者を雇うのかと。俺がフィーリアと一緒で最低限の生活の保証のみが給金だと言ったら納得された。体調不良は魔力枯渇だが、どうみてもロザンナさんは痩せている。
あちらは「使い潰すのか」みたいな感じで、事務的に登録を済ませた。なお、扱いは戦闘メイド。メイドらしい。フィーリアは戦闘奴隷と呼ばれる。これは主人である俺が冒険者の肩書きしか持ってないからだ。
「これでロザンナさん「呼び捨てね♪」……ロザンナは借金奴隷の可能性は、もう無いよな?」
「仕事内容に「主人が指導し、従者はそれに従う」って入れてあるから秘匿情報も大丈夫よ。あちらは性奴隷として指導すると受け取ったみたいですけどね」
「冤罪だ! それでいいのか従者ギルド!」
「あの契約は社会的には従者でも、事実上は奴隷ですから。良い内容には受け取れませんよ」
「くぅ。ロザンナさ「おほんっ!」……ロザンナにそんな扱いする気もないのに、世間からはそう見られるのか。今更だがゴメン」
「ご主人様は、終わるはずの私の未来を照らしてくれたわ。二文字職がバグ職でも有効なのはご主人様のお陰よ。フィーリアちゃんを見てるとそんな事は無いと思うけど、本当に使い潰して良いわよ。夜はとっても得意だけど、フィーリアちゃんがいるし、使い捨てられたぼろ布な身体だから興奮しないわよね」
「ご主人様はちゃんと興奮してます! その辺はゆっくり話しましょう。私は嫉妬深いようで、割り切れるか不安なのです。いえ、ご主人様がロザンナさんを求めたら我慢します。我慢しますから、お情けください!」
もう、夜の話に飛んでるが、フィーリアが身籠ったときの支えであって欲しいだけだからな。いや、俺も男だからお摘まみしたいよ。でも、フィーリアに不誠実じゃん。その辺は俺も一緒に話し合おう。
「フィーリア、落ち着いて。そんな事は考えてないよ。ロザンナは魅力的だけど、立場で強要はしない。皆でゆっくり話そうな」
「抱かないって否定しない」
「うぐっ!」
「フィーリアちゃん。男はそんなものよ」
「ふぐっ!」
「ロザンナさん、色々教えて。骨抜きにする方法を」
「それはダメよ。受け身でないと奴隷じゃないわ。ご主人様が満足するテクニックは教えてあげるけど、あくまでもご主人様の意思でフィーリアちゃんを求めさせるのよ」
「そうでした! 私、ご主人様の奴隷です! ご主人様の好みに私がなるのです!」
「そうそう。それが一番よ」
「あのー、そろそろ動こ。ちと道で話す内容じゃない気がしてきた。昼まで時間があるから、訓練所行こうか」
「はい。ロザンナさん、また後で教えて下さい」
「うふふ。いいわよ」
さて、訓練所は何処に行くかなー。
○ ○ ○
「手が痛いです」
「俺も」
昼食、定番の5ルーク定食。でも今回は3人分。ああ、手が痛い理由は「拳骨家」の訓練所で空手で使う巻藁を素手で殴り続けたからだ。1時間くらいして終了の合図が出た。地味に辛い訓練所だった。
「私もきつかったですね。でも100ルーク貰えるので嬉しかったですよ」
「ご主人様の懐が潤いました」
フィーリアと2人で200ルークの儲け。この金、どうやって賄ってるのだろうか? まあ、冒険者ギルド本部が訓練所だったし、冒険者を育てる資金なのだろう。他にも戦闘職はそこで網羅できるようだ。
「「術師」って時間食う?」
「あれは一瞬です。対応する魔法具に魔力を流すだけです。10ルークと微妙な金額がもらえます」
「魔法職は大体が魔法具を使うだけね。一律で10ルークよ」
「フィーリアの欲しい職は、あと「服飾師」だな。俺はどうスッかな。安定収入目指して生産系を目指すか」
「ご主人様の言う生産職もバグ職業ですよね?」
「まあな。元手ないし、モンスター素材から作るぞ」
「売る前に誰か頼れる人に相談するべきだと思います。赤いゴブリンソードで一悶着ありましたよね。二の舞しますか?」
それって領主にお伺いをたてろと? えー、普通には会えないと思うぞ。それに先ずは作ってからだよな。完成品があっての交渉だよ。それに領主には情報流してるから、俺に褒美を与えないと俺の借金奴隷になっちまわないか?
「先ずは転職。そして作る。それから不味い物かを検証しよう」
「話が見えないけど、ご主人様はやんちゃしたの?」
「領主様が大切にしていた形見の剣を修理しちゃったんですよ。それから反応はないのですが、お礼はすると言ってましたね」
「そうなのね。聞いても良い話じゃ無さそうだから、聞かなかったことにするわ」
「あれ? これって他言無用?」
「せめて宿で話してほしかったな。たぶん大丈夫だろうけど。さて、必要な訓練所を網羅するか」
「「はい」」
○ ○ ○
冒険者ギルド本部で欲しい職があったので「術師」と一緒に「残虐者」を習った。まあ、物をためらいなく壊すだけだった。今回は中古の木の盾を粉砕したぜ。「術師」で10ルークと、フィーリアと一緒に「残虐者」は合わせて200ルークを貰った。
ロザンナには悪いがフィーリアと一緒に訓練所巡り、それに付き添ってもらった。定期的に魔力の完全回復で、バグ職「強癒」のパッシブスキルが発動して回復する。その度に魔力を枯渇するので宿に放置よりか良いかな。
「服飾師」は古着屋で雑巾を10枚縫った。100ルークの儲け。「武具屋」は武具屋の店番一時間。100ルークの儲け。「創設者」はネズミ駆除剤をゴミ捨て場に散布。最初に設置の意味の条件が緩い! とも思うが「創設者」は就けるようだ。100ルークの儲け。
「意外に多く回れたな」
「そんなものです。職業に就いてからが仕事ですから、その後が大変なのでしょう」
「「創設者」なんて新作のアイデアが湧きやすいだけで、失敗が多いそうよ。一攫千金を夢見て創作する人が就きたい職業ね」
さて、行き付けの食堂で夕食食って宿に帰ってきたが、そういやベッドが一つだ。なお、おっさんは「お盛んなこった」とロザンナの宿泊を許可してくれた。
「今日はなし! 寝るよ!」
「えー!」
「ロザンナの前でしろと? ロザンナはまだ頻繁に魔力を枯渇してんだから休ませるよ」
「私は気にせずどうぞ。複数の女を買って豪遊する男にも付き合いましたから、隣でされても気にしませんよ。では、ごゆっくり」
ロザンナは床で寝ようとする。待て!
「ベッドは広いし一緒に寝るよ! ロザンナ! 妙な気遣いは不要だ。今後は考えるが、今日は健全に寝るの!」
「うー、今日は我慢します」
「服は脱いでおきましょうか? 催したら突っ込んで大丈夫ですよ」
「なら、私も脱ぐ!」
「着とけ! 淫獣じゃあるまいし、一晩くらい平気だって!」
色々説得の後、俺は美少女と美女に挟まれて眠る。理性起動! 強制シャットダウン! zzz。