表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/106

018

「自分の知識は紛失した不確定な文献から得たと先にお伝えします」


「文献があればなお良かったが、続けろ」


 紛失した文献(攻略サイト)は見れないから間違ってはないだろう。先に『妖刀刺し』の刺突攻撃力増加と吸血(作用:耐久値回復の後、武具性能向上(上限有り))の再度説明と、『正刀弾き』の攻撃を強力に弾き耐久値減少軽減を追加で説明。


「聞く限り、二文字職の中でも上位であるな。武器の消耗が極端に軽減されるのはとても大きい」


 続いてバグ職業への転職の説明。注意として、意味のあるバグ職と意味のないバグ職があることを説明しておいた。定義されてないとスキルも無いからな。


 バグ転職の手順は、文字の順番定義と、どの文字を使うかの定義。最後にバグること。


 「村正」で言えば、転職時の職業選択で「村人」を選びキャンセル、次に「正人(せいじん)」を選びキャンセル。これで文字の順番の定義が終わる。


 そのまま職業選択でどの文字を選ぶか決める。「村人」の「村」ならキャンセル1回。今回はないが、もし二文字目を選びたければキャンセル2回になる。「正人」の「正」なのでキャンセル1回と言いたいが、ここが分岐点だ。


 最後の「正」を選ぶ選択肢で文字化けしたら成功。そのまま転職だ。


 最後の「正」を選ぶ選択肢で文字化けしてないなら失敗。一度、転職を全てキャンセルして礼拝からやり直しだ。


 まとめるとこうなる。


 「村人」選択、【転職しますか? Yes/No】、No。

 「正人」選択、【転職しますか? Yes/No】、No。

 文字列、定義完了。

 「村人」選択、【転職しますか? Yes/No】、No。

 「村」の文字、選択。

 「正人」選択、【転職しますか? Yes/No】、は文字化けしてないのでやり直し。


 「村人」選択、【転職しますか? Yes/No】、No。

 「正人」選択、【転職しますか? Yes/No】、No。

 文字列、定義完了。

 「村人」選択、【転職しますか? Yes/No】、No。

 「村」の文字、選択。

 「正人」選択、【転職しシすか? Yes/No】、は文字化けしてるのでYes。


 となる訳だ。


「なんと回りくどい」


「父上、私は用事が出来ました!」


「待てぃ! 私も二文字職なら替えがきく。私が先だ!」


「フィーリアの発言の許可をお願いします」


 バグ持ちの意見も重要だぞ。


「んんっ。ふむ。そちも「村正」になったのだったか。許す」


「フィーリアは文字化けの経験はある?」


「意味のある言葉になったことがありません。ただ「はい」と答えれば職業にバグが発生します」


「職業選択はできた?」


「そちらでは文字化けはありません」


 職業選択すら文字化けしてたら不味かった。フィーリアの情報にはバグがなくって、転職のシステムへのアクセスに問題があってバグになるのかな?


「自分の方法が確実であれば、万人が「村正」に就けるでしょう。憶測になりますが、バグ持ちの体質があれば、逆もあるかもしれません」


「ふむ。確かに私には毎度同じ文面での転職であった。その検証次第ではバグ持ちと呼ばれる体質の者にしか「村正」の職は得られぬか」


「はい。自分の文献にも文字化けの法則はありませんでした。可能性を否定はしたくはありませんが、あり得るとも考えております」


 バグがしょっちゅう上がるのは、ユーザー数が多いからだ。マイナーなゲームではあったが運営がサービスを継続する程度には居たぞ。さらに言えばバグがいつか起きると延々と転職を繰り返してオリジナル職業職人も居たからだな。


「自分からは以上です」


「ご苦労。情報は検証の余地があるが、職業「村正」の存在と、このレイピアが嘘ではないという証拠。気になるのは紛失した文献よの」


 言っておくか。まあ、注意にもなるしな。


「自分はとある地より転職を行いました。その時のバグは【転いしますか?】でした。転移。紛失したのは文献ではなく自分です。気付けば見知らぬこの地でした」


「それでそちの過去を調べても出てこんのか。それに文献も難しいか」


 隠密さん、多そうだよね。事前準備の情報収集もなくここ来ないよね。いや、文献(攻略サイト)に辿り着いたら、転職以前に異世界ですよ。権力すら無意味ですよ。


「ん? ……そうか。時間だ」


「では、父上は公務へ。私は少し寄り道して「ならん!」……えぇ!」


「兵士姿ではないのだ。大人しくしておれ」


「くっ。父上の為にと耐えて着たのに、我慢するのではなかった」


「嫁の貰い手がいるのかの……ドライ、娘はいるか?」


「いえ、一冒険者には荷の重い肩書きがあります」


「無礼であるが、いっそ清々しい正直な返事だ。ここは、そやつに一途と言った方が株が上がるぞ。では、行くぞ」


「「「はっ!」」」



  ○  ○  ○



「「はぁ~~~」」


 嵐は去った。お礼は後日と言って去っていったから何かくれるようだ。正直に言えば、もう来ない、が最大の報酬かもしれない。


「それにしても、ご主人様が神隠しで現れたとは驚きです」


「神隠しで現れた? 消えるんじゃなくて? ってか、神隠しがあるの?」


「お伽噺ですね。職業に類するスキルは神が隠して連れ去ってきた異国の者がもたらしたという話です」


「バグ職のスキルを突然持ってきた俺はお伽噺の人物に似ているか」


「はい。お伽噺では、各地に複数の方が現れて、各地に職業に対応したスキルを伝授したそうです。それを受け継ぎ、人気の職業は各都市に取得者がさらに伝授し訓練所となった、と言うのが古い歴史とも言われています」


 あー、それでマイナー職は地方にしか残っていなかったりするのか。それとメジャー職は大体が訓練所がある。これってゲームクリエイターの仕事じゃね? とりあえず職業とスキルを置いて、世界観に合わせてメジャー職をコピペしたんじゃね? まあ、分からんな。


 そもそもゲームに似ているが、別世界だ。装備も店売りの高級品ですらゲームの初期武器に劣る。ミスリルのレイピアが貴族の逸品でも、俺の初期キャラ用の木刀とどっこいだ。ゲームと比べれば世界が劣化してる。


「それより!」


「はい?」


 フィーリアがちょっと怒ってる?


「浮気前提のお付き合いですか? それでも構いませんが……やっぱり寂しいですよ。やっぱりご主人様も男ですから、いっぱいの愛が欲しいのですか?」


 ふむ。誤解を解こう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ