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014

「ご主人様! 申し訳ございません!」


 突然、フィーリアが土下座した。何故に?


「無価値な私のせいで、ご主人様の貴重な知識を流させてしまいました。何とお詫びすれば」


「えっとね、フィーリア。フィーリアを傍に置いておきたいのは俺の我が儘なんだ。俺な、この世界に捨てられたんだと思ったけど、フィーリアに会えて良かったって思うんだ」


 フィーリアは土下座から動かない。


「フィーリアを守りたいんだ。一緒に生活したい。まだ出会って間もないけど、本気でそう思えたんだ。ねえ、顔上げて。俺は全く損をしたとは思っていないんだ。仮に全ての情報を出したって惜しくないよ」


「ご主人様ぁ。私にそんな価値無いよぉ」


 泣いてる。泣き顔は好きじゃないな。笑顔が欲しい。俺の道を照らすような意地悪で心からの笑顔がいいな。


「じゃ、フィーリアに対価を要求しようかな」


「何なりと」


「今晩はフィーリアを奪うよ。それで明日からは恋人だ。将来はフィーリアの気持ち次第だけど夫婦になろうね。で、一緒に老いてほしいな」


「ひどい。対価じゃないですよ! 幸せだよー!」


「俺には十分な対価。だってフィーリアの人生を予約したんだからね。こんな魅力的な女性を独り占めだ。世の男が嫉妬するね」


「なら、私は世の女性から恨みを買いますよ。ご主人さ、ひゃ!?」


「これでもう俺の女だ。軽いな」


 お姫様抱っこ。ちょっと憧れてたけど、こんな状況なら許されるよな。


「さて、フィーリアを奪うよ」


「はい♡ 全て奪って♡」


 隣の自室へとフィーリアを抱えたまま帰った。今日の夜はとても長くて幸せな夜更かしをした。



  ○  ○  ○



「おはようございます♪」


「ああ、おはよう。体、大丈夫か?」


「幸せですよ♪」


 答えになっていない。が、まあ、元気そうだ。あー、フィーリアにハマっちゃったな。捨てられないように頑張ろ。


「ご主人様。私は良いのですが、避妊は良いのですか?」


「んんっ!? 避妊できるの?」


「お薬があるそうです。その代わり、子供が産めなくなります」


 なにその劇薬。却下。


「うふふ。ご主人様ぁ」


「節度。今日も稼ぐよ……動ける?」


「大丈夫ですよ。でも、身体は流したいですね」


「じゃ、準備」


「はい」



  ○  ○  ○



 おもいっきりおっさんに笑われた。そして、シーツ交換を頼んでおいた。サービスしてもらって心苦しいから値上げ交渉しようかな。その為に金策。朝食も済ませて、ダンジョンアタック……ならず。


「すみません」


「今日フィーリアはお休み。俺が行ってくるよ」


 フィーリア腰砕け。歩みゆっくり。ちょっと童貞が卒業して暴れた。後悔はないけど、ダンジョンアタックは止めとくべきだな。


「午後から! ご主人様一人は駄目!」


「何で?」


「私がご主人様の命の保険ですから。奴隷のスキルは距離が離れすぎると効果が無いですよ」


 スキル『犠牲』のダメージ転写か。これに頼る気は一生無いんだけどな。でもフィーリアが納得しないか、恋人初日に喧嘩は面白くないな。


「じゃ、フィーリアが回復するように、ゆっくりと散歩しよう。ちょっと武具を見てみたいんだよ」


「ありがとうございます」


 さすがに色街にはそんな店はない。色街ダンジョンの横の冒険者ギルドの支所で情報収集。


「本部の横が提携店ですね。個人の鍛冶屋などは東区の工業区を回るのが良いと聞きますが、相性の良い工房は探すのに時間がかかりますよ。流れとして、提携店でお気に入りの鍛冶師を見つけてから直接の注文をするのが多いですね」


 ここが南で、本部は中央、個人工房は東か。で、お気に入りは色んな職人の作品がある本部提携店で見つける。さらに拘ったオーダーメイドは直接交渉ってことか。


 礼をして、本部近くまでのんびり歩く。


「本部も大きいが、これが全部店か?」


「確か、上に上がるほど高級品だとか。私は1階の中古で剥ぎ取りナイフを買ったくらいしか利用してません」


 先ずは一通り歩く。1階は武器が多いな、いや、盾しか防具がない? 防具は2階の一角だった。サイズ調整分値が張るからとのフィーリアの推測。最上階の3階は高級品のようでショーケースに入っているものが多い。


「どうでしたか?」


「多分だけど、俺の木刀の方が強い」


 どうもラインナップはゲームとはかなり異なる。ゲームの武器は「この材料で何でこんな武器が?」みたいな錬金術のような素材から作っていたからな。アイテムの鉄100個で鉄の剣とか、どんな圧縮だよって思ったよ。


「普通に武器だな。こう、何て言うか、特別な素材を使った武器とかあっても良さそうじゃね?」


「特別な素材? ミスリルとかなら最上級の冒険者なら持っていると思われますよ」


「いや、モンスター素材とかだよ」


「詳しくは知りませんが……これ何かですか?」


 説明文には「モンスターの牙を練り込んだ鉄」と書いてあるが、どう見ても脆く見える。鉄の銀の色にムラがあるからな。


「ご主人様の言う特別なのは、ゴブリンソードのようなモンスターの持ち物じゃないですか?」


「そっちなら納得か。なに使って、どう作ったか、全くわからんからな」


 まあ、ゲームなんて所詮ゲームか。自作していく方が防具も期待できるな。ただの金属の鎧とかゲームのようには動くことも無理だろう。フィーリアと一緒に防具自作だ。


 そんな結論で終った。

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