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 とりあえず昼食。貧乏性なのでどこでも用意されている5ルーク定食。入る店で辺り外れはあるようだが、腹は膨れるし、これはこれで楽しんでいる。


「ご主人様、暇になりましたね♪」


「フィーリア、三文字職業の説明したよな。あれ、フィーリアに就いて貰おうかと思ってる」


「はい? それはご主人様の所有物なので全肯定ですが、私ですか?」


「ちょいちょい奴隷推しするね。いやな、混ぜる二文字職の「術師」の訓練所に行かせようかと思ってな」


「行きましたよ。支度金目当てでもありました」


 ふむ。フィーリアの転職準備で時間潰しは消えたか。三文字職業は二文字職がレベルカンストの10でないと受けれない……よな?


「三文字職業の適正があれば大丈夫ですが、一度でも二文字職が上限に達しないと無理です」


 この辺はゲームと一緒か。現状の最大文字数の職が一度でもレベルカンストしたら次の職業スロットが解放される。以降、繰り返しで確か七文字まではあったが、八文字は実装直前だったな。まあ先の話だ。


「じゃ、俺か。ゴブリンを余すことなく使うなら「肉魔飾(ミートデザイナー)」だな」


「詳しく」


 バグ職「肉魔飾(ミートデザイナー)」。「肉屋」と「魔術師」と「服飾師」のバグ職業だ。八百万のドロップにはモンスターの肉もあるのだが、これが微量な回復用で需要は初心者のみだ。先人が有効利用を考えて編み出したバグ職業。


 コンセプトは、肉を有効的に消費すること。「肉」の文字を入れて肉を定義する。「魔」と「飾」を合わせて、肉を魔で飾るというイメージを突き詰めた職だ。


「これも「村正」の吸血のように武具強化なんだが、防具も簡単にいける。定義が緩い分、吸血ほどの強化はない。どっちかというと品質保持に良いかなと思っている」


 このバグ職「肉魔飾(ミートデザイナー)」のスキルを使えば、大量の肉を消費するが、耐久値をプラスで最大20パーセント増加させる。ゲームでは破損防止で追加耐久値を付加する商売があった。戦闘職としては弱いから生産系の分類だ。


「今行ける訓練所は「肉屋」だけですね。半日で済みますよ」


「まあ、行くか。フィーリアはどうする?」


「奴隷は物なので、ご主人様と別れると乱暴されても抵抗できませんよ」


「はい。一緒に行こう」


「お供します♪」



  ○  ○  ○



「おう! らっしゃい!」


「フィーリア、マジで、ここ?」


「はい。職業「肉屋」は肉屋で覚えますよ」


「なんでぃ。客じゃねえのか。まあ、ある意味じゃ客か。入れ」


 普通の肉屋。看板に兼業訓練所ともある。案内されて入れば解体所に案内された。そこに店主が中型犬の後ろ足っぽい物を持ってきた。


「それを解体しろ。手段は問わねえよ。最終的にミンチにしたら終わりだ。それじゃ頼んだぞ!」


 放置。


「お肉の加工を経験したら覚えます。主婦も覚えるそうですが、こちらの方が短時間で終わります。あと、ウルフの肉ですが、現物支給かお金かが選択できます。美味しかったですよ」


「あー、頑張るよ」


 ゲームじゃミニゲームやら二択問題とかで終わっていたが、こっちはリアルに経験するのね。


 削ぎ落とす。意外に骨に残る。筋やらも取る。混ざったら食うとき固いからな。四苦八苦で削いだら、適当な大きさに切って叩く。ミンチって言ってたしな。フィーリアは横で助言してくれるので多いに助かった。


「おお、丁寧な仕事だな。これなら商品になるぜ。下手な奴にゃ金は払わんが、おめえなら好きに選べ」


「お肉、お肉にしましょう!」


「という訳で、肉をください」


「よし、ちょっと待ってろ。ほいほいっと。これが取り分だ」


 笹の葉のようなものに包んでくれた。全体の半分程度か。多いのか少ないのか分からんが、目的は職業「肉屋」のアクティベート化だ。目的は達成だろう。ゲームだとすぐ確認できるが、こっちじゃそこまで便利じゃないようだ。


「神殿行って、適応されてなかったら戻ってこい。2度もやりゃ覚えない奴はいねえよ。ほら、帰った帰った。仕事の邪魔だ」


 素直に追い出される。


「確認しますか?」


「そうだな。俺の知識が活きるかも確認しないとな」



  ○  ○  ○



 近場にあった祠のような転職神殿。フィーリアに聞いて転職の仕方を確認するが、ゲームと変わらず祈るようだ。手を合わせて黙祷。


 祈ってみると脳裏に転職可能な職業と、今は選択肢はないが何文字の職業を転職するかが問われている。二文字職業欄を選び、「肉屋」を選ぶ。


【転職しますか? Yes/No】


 Yes。


【本当に宜しいですか? Yes/No】


 No。


【転職しますか? Yes/No】


 No。


 ふむ。操作は全然違うが、内容は一緒だな。


「どうでしたか?」


「ちゃんと転職可能で、俺のバグ職業転職も手順は問題無さそうだ。本当に成功するかは、三文字職業になるときだな」


「バグ職になるのに手順ですか? 私は返事するだけでバグ職に確定ですよ」


「デタラメな文字列じゃ意味ないよ。ちゃんと欲しい文字を選ぶ手順があるんだよ。それも先に二文字職をレベル10にしたらだな」


「でも、明日は空いてますよ。今日のお肉で精をつけてご主人様は今晩レベルアップです♪ そのまま明日は爛れた性活しましょ♡」


 おう。逃げる手段が乏しい。買い物は……フィーリアと一緒だと精神が死ぬほど長引きそうだな。あー、武器屋に言って赤いゴブリンソードの価値でも鑑定してもらうか?


「いくら考えても時間は余りますよね」


 ちょっと早いが、定食屋で肉持ち込みで料理してもらい食った。手間賃でプラス2ルーク取られたが、ウルフ肉100パーセントハンバーグは普通に旨かった。久々にガッツリ肉食ったわ。


「うふ♡」


 今晩が峠かな? と、宿へと足を向ける。

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