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 調味料の味が洗練された? 豆腐も旨い! 醤油がいい味してる。豆腐の味噌汁? ん? これは味噌豚骨味の豚汁だ。白米が欲しい!


「ライスですか? この辺では聞きませんね。水の綺麗な田舎にならあると聞きましたよ。ねえ?」


「私の田舎では小規模に作っていますよ。麦が税で取られるので自分達で食べてました。確かに合いそうな味ですね」


 戦闘メイド前衛の一人、ミヤハの田舎には存在するらしい。


「麦の方が価値が高いので量はないと思いますよ。あと、遠いです」


「どのくらい?」


「丸一日歩いて村を三つですね。主要な街道ではないので、生きて来れたのが奇跡です」


 税の徴収兵士の団に隠れて着いて来たようだ。今度、行こっかな。同量の麦となら交換してくれるっぽいし。「潰れてなければあります」と物騒な発言もあったが、緩く期待しよう。



  ○  ○  ○



「最近は買い取り査定を男衆さんに任せて、こちらは査定価格の調整ですね。日々、需要が動くので大変ですよ」


 マスターの部屋で王都のお土産、服を渡す。ご機嫌で「今度、脱がしてくださいね」なんて言うからフィーリアが怖い。他に聞くことあったかな? 薬師男衆が働いてるなら様子見よう。


「あと、抑えても冒険者は無謀ですね。グレムリンカイトシールドにも値が付いたので中級ダンジョンが繁盛していますが、ここの冒険者にはグレムリンは強いのです。幾つかのパーティが帰っていません」


「それはダワスでも同じでしたね。ちゃんと注意喚起しての行動なら個人の責任でしょう。あ、そうだ」


「はい?」


「ウルフの爪や牙はどうされていますか?」


「肉と毛皮以外は廃棄ですよ。売れませんから」


「ウルフやボア、他のモンスターの爪や牙を買います。属性別に分けてもらえると嬉しいですね。幾らでも買います」


「ウルフの属性に意味があるのは毛皮の色合いだけでしょうに。爪や牙も仕分けるのですか?」


「いくらでも、ですか。タダ同然ですよ。まあ手間賃は頂きます」


「それでいいです」


 爪は攻撃に使われる前足の三本指の爪を、牙は一番太い犬歯四本を、それぞれ一つ5ルークとした。


「廃棄物がお金になるなら解体も喜びますね。ウルフで爪六本牙四本の50ルークの利益が増えるのですから」


「そうだ。解体もお願いしたいんだった」


「何をですか?」


「ホワイトドラゴンの幼体です。解体したら全て持って帰ります」


「ほわっ!?」


 薬師男衆は解体所の一角で薬草を買い取ってるらしい。ホワイトドラゴンの解体を頼みに移動する。



  ○  ○  ○



「あ、親方! ちーっす!」


「「「ちーっす!」」」


「調子はどう?」


「じわりと採取の質が上がってポーションも作りやすいっす」


 今までは一律の値段か買い取り拒否だったのが、五段階評価になり買い取り拒否も含めると六段階の査定になったようだ。同じ採取をするなら高評価で買取金額の高い方がいい。質は上がるよな。


 薬草は植物だ。他の素材も似たようなもの。朝から夕まで頑張るより、鮮度よく納品した方が評価はいい。定期的に買い取りが行われている。


 ついでにウルフも納品されるな。ラビットも多いか。草食のウサギなのにモンスターだと人を襲う。薬草を採取すると定期的に会うモンスターらしい。


「無理せず頑張れよ」


「「「うっす!」」」


 さて、用意されたテーブルにホワイトドラゴンの幼体を六匹詰む。馬のサイズだ大きいな。


「本当にホワイトドラゴンですね。状態もいいです。卸してはくれないのですか?」


「何に使うんですか?」


「この首を一突きなのは剥製にして貴族が愛でますね。高く売れますよ」


 む、無駄な事を。他にも鱗は装飾品、やっぱり肉は人気。うーん、そんな勿体無い金は要らん。


「綺麗に解体して骨すら持って帰ります。肉は自家消費です」


「くぅー。明日にでも取りに来てください」


「分かりました」


 カウンターの方で冒険者が絶賛されているが、将来の君たちは狩れるようになる……といいね。意外に遠くない未来だと思うぞ。



  ○  ○  ○



 フィールド雑魚モンスターの代表は、ウルフ、ラビット、ボア。他にイーグル、スネーク、ラット、等々。無駄に全種属性がある。特に雑魚だと差はないが、ドラゴンクラスになれば意味が出てくるよな。


 しかし、()()()()()は雑魚だけでは難しいか? ここではディアーやブルなどの角の生えたモンスターは強い判定らしい。自分で狩るしかないかな。


 その前に五文字職に転職したい。狙うなら「(サン)()()()(ゴン)」かな。ドラゴンの中で唯一飛ばないが、とても固い。見た目は二足歩行の馬サイズの肉食恐竜。足も早い。


 利点は述べた、足の早さ、固さ、この二点がスキルになっている。後は純粋にアイテムボックスが五つほど増える。攻撃スキルも悪くない。急がば回れ、かな。先に転職しよう。



  ○  ○  ○



 やって来たのは色街ダンジョン。様子見とフライパンを増やすこと。後は転職条件を満たしていくこと。


「確か、奥に居るんだっけ?」


「そうです。時折、冒険者が出入りするそうですよ。なので、右奥に陣取っているようです」


 色街ダンジョンが貸し切りじゃなくなった。そうは言っても弱い冒険者しか来ないらしい。扇状のダンジョンは前へ進めば直ぐに二層への転移魔方陣がある。無謀な奴は二層へ。純粋にゴブリン狩りは一層に留まる。


 だが、ゴブリンは日々戦闘メイドによって駆逐されているため、このダンジョンは生息数が広さの割には少ない。いい狩り場ではないが、新人が入りやすいそうだ。


「調子はどうだ?」


「親方、ちーっす!」


「「「ちーっす!」」」


「昨日の伝言通りに廃液でのポーション作成は中止っす。普通にポーションを作ってるっす」


 ふむ。


「在庫は麻痺と睡眠の投擲ポーションの減りで作ってくれ。毒と重病はどう処理してる?」


「俺達の護身用と、姉さん達が使ってくれてるっす。だいぶん作ったので一時は減らないっす」


 止める奴が俺だもん。必要だと思って使ってたのだろう。でも、処分に困るものは止めて欲しいよな。ま、ゴブリンには処理に貢献してもらおう。


「あら、ご主人様」


「「「お疲れ様です」」」


「ああ、お疲れ様。って、誰?」


「はい。ゴブリンの戦闘で傷ついた新人です。手当てして放流です」


「「「お世話になります!」」」


 年頃の男が三人。ゴブリンで傷つくなら二文字職のみか? 武器は……ゴブリンソードはお勧めしないぞ。防具なし。貧乏で新人かよ。


「定期的に冒険者ギルドの采配で回されてきます」


「あー、新人育成の場になってるんだ」


「半日もあれば一層は駆逐できますので、午前はこの子達のような冒険者を見ています」


 ほー。アリエッタさんも使うのね。


「この辺は素材という名の支援物資の野菜や屑肉で、食事も与えて欲しいというギルドマスターのお願いです。戦えるなら面倒は止めていますよ」


「出来たっすよ! 食うっす!」


「「「ありがとうございます!」」」


 うーん。上手に使ってバグ体質のイメージアップ作戦か。根気のいる作業だし、うん、いいかもな。アリエッタさんも許す。


「俺たちも後で集りに来るよ」


「はい。どうぞ」


「「「うっす!」」」


 新人冒険者にポーションは与えていないが、調味料が微量のポーション効果だ。旨くて回復する。素材は冒険者ギルド持ち。まあ、妥当かな。


 さて、久々の三層だな。

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