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元旦での出来事

 元旦の寒気の残る日に神社に初詣に行くとか脳が正常に作動しているのかどうか疑問を抱いてしまう程の寒気が舞う日。

 

 悴んだ手に白い吐息を吐きながら心の中で愚痴を言うがさすがに周囲に友達も居るので言葉には出さない。

 

 皆、楽しそうにしているがどうも気分が乗らない。こんな日はコタツに入ってのんびりとしたいものだ。

 

 階段を登り終わり鳥居の先の風景が視界に一直線に瞳に入ってくる。

 

 賑わう人々、おみくじに願いをかける人、階段の下でも聞こえていた騒音が更に音を増して耳に入ってくる。

 

 日本人の本能的行動なのか規則正しく参拝を待つ人々の列の最後尾に並ぶ。

 

「おい、ゆうや、お前は何を願うんだ?」

 

「それ言ったら意味無いだろ」

 

「まあ、そうだな」

 

 俺の数少ない友達の一人である新崎しんざき徹也てつや

 

 雰囲気に合わせてノリを変化できる空気を読める奴だ。おまけに友達思いなところもあり男子から高い好評を得ている。正義感も強く自分の成すべきことは真っ当するような人間である。

 

 そのせいあってか、こんな中身のない陰キャの俺にも接客的に話しかけてくれ仲良くなったわけだ。

 

 脈も広いため、様々な人と仲良くそして知り合えた。本当に徹也には感謝の言葉しかない。

 

 だからか今回の初詣の件も断れなかったのも。少しは恩返しをしたいと言う気持ちが原動力となっている。

 

 他の友達も数人来ているが、誰と一番仲が良いか?と聞かれれば真っ先に徹也と答えてしまう。

 

 五分から十分待ったところでようやく参拝の出番が回ってきた。財布を取り出して、五円を取り出す。

 

 五円に御縁がありますように……なんちゃって。

 

 背中を滞らせるような冷気が体を通過していく。

 

 いや、別にマウントとろうとした訳じゃないからな。勘違いしないでよね。

 

 ツンデレの王道発言を脳内で考えつつも、五円を賽銭に回して賽銭箱に投げ入れる。俺の後に続き友達も次々と小銭を投げ入れていく。

 

 この関係が続きますように。

 

 どうか、美少女と巡り会えますように。

 

 第一の願い事は良い願望であるが、第二の願望は明から様に欲望全開の願い事だが、事実であり美少女ハーレムでも作りたいくらいだ。


 ラノベの主人公になれたらなと何度思ったことか。

 

「なにねがったんだよ、」

 

 背中を突っついてくる友。ニヤけたその表情に俺は同族の匂いを感じた。こいつも同じような願いをしたのではないかと。

 

「おまえこそ何願ったんだよ」

 

「ふふ、知りたいか?」

 

 嘲笑うような企んだ表情。

 

 いや、別に知りたいとは思わんが、。

 

「おみくじ引こーぜ」

 

 徹也の提案で一度その場を退散することができ、内心では感嘆している。危うく劣情を語られることであった。

 

 徹也の提案通り、百円玉を指定の場所に放り込んでおみくじを引く。

 

 おみくじはこの一年を決定する大事な美品のようなものである。

 箱の中に手を入れて選択するこの時間は一年の幸先を決めるかどうかの重要なポイントになる。

 

 後にこれにしとけばなと後悔しないように無造作に掻き回して手に吸い込まれるように手の内に入ってくるものを握り締めて箱から手を表に出す。

 

 大吉。

 

 その単語が視界に入った瞬間、興奮と歓喜に包まれる。生憎、周囲を彩っていた友達のおみくじは中吉や末吉だったようで、大吉は俺を除いて一人もいなかった。

 

 これは幸先良いな。

 

 咄嗟に恋愛の所に目を移す。

 

 今年は幸運値が絶頂に達し何かと縁があるでしょう。離さず掴み取りなさい。

 

 神引きをしてしまった。ゲームではこれでもかという程に爆死を繰り返している俺だが、今年はどうやら当たりが良いようだ。

 

 残りは一通り目を通す。大吉ということだけあって特に悪いということは書かれておらず、今年はいい年になるでしょうと総称できるものであった。

 

 おみくじを結ぶかどうか迷ったかこっそりポケットにしまって持ち帰ることに決心する。

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