表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/63

 この世界ではその昔、空に“月”という星が浮かんでいたらしい。


 その月は、太陽ほどではないものの――

 世界を照らす役割を担っており、人々の暮らしを見守っていたそうだ。


 しかし、この世界は様々な脅威に晒されていた。


 その代表的なものの一つが――

 世界中の荒野から荒野へと飛び回っているという、“黒の竜”である。


 腹を空かせた黒の竜によって、人々は次から次へと食べられ。

 このままでは、数年で絶滅してしまうという所まで追い込まれていた。


 そこで月は、このままではいけないと――

 黒の竜に契約を持ちかけたのだ。


「私に満たされた蜜であなたの空腹を癒しましょう。

 その代わり、地上の生き物を襲うことを止めなさい」


 この世界で、それ以上に美味なものは存在しないという“月の蜜”。


 黒の竜はその契約を迷わず呑んだ。


 それからは、黒の竜は人や動物を襲わず――

 ただ月から零れ落ちる蜜だけを食べるようになる。


 満ち満ちた月から、一ヶ月使ってゆっくりと蜜を吸い上げ。

 そうやって空になった月は、また一ヶ月かけて蜜を満たす。


 空に浮かんでいる月は、こうして満ち欠けを繰り返すようになった。


                         ~『黒の竜と月の蜜』~

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ