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ある恋のうた  作者: せりざわなる
はなの章
7/11

扉の向こう①

いつから、そんな音になったんだろう。

ガチャンと大きい音をたてて閉まると、玄関は真っ暗になった。

パチンと見なくてもわかる玄関の照明をつける。

それでも、他に明かりのついていない家の中はいつまでたっても恐くて。

ドアの鍵を中から閉めると足速に靴を脱いで上がり、廊下、リビングへと明かりをつけていく。

リビングに脱ぎ散らかされたお母さんのたくさんの服を見て、ようやく息をついた。


テレビをつけると、ニュースをやっている。

画面の時計は夜6時を過ぎていた。


『怒られない?』


お兄ちゃんの顔を思い出す。

心配そうな顔。

リビングの様子に目をやって、笑ってしまう。


『怒られない?』


……泣きそうになった。







テレビでは、まだバラエティー番組をやっている。

あやちゃんも大好きなお笑い芸人が出ているけど、私は全然笑えない。

半分残った食べ飽きたカップラーメンは、テーブルの上でもう伸びきっている。

スープもすっかり冷めきっていて、もう口をつける気はなかった。


次回予告が流れて、見上げればもう9時。

ーもう、寝る時間だね。


カップラーメンを片付けて手を洗ったら、お母さんは怒るけどリビングの明かりもテレビもつけたまま、私は自分の部屋に向かう。

部屋の扉を閉めると、微かに聞こえるテレビの音。

お母さんはまだ夜のお仕事から帰って来ない。

お父さんはずっと前からお仕事で北海道に行っている。


お兄ちゃんの年くらいだと、一人暮らしをする人がいるみたいだけど、その人は私みたいに何だか怖い気はしないんだろうか。


私は目を閉じる。

テレビの音を聞きながら。


そうして

幸せな夢がみられるように、お兄ちゃんの笑顔を思い出す。

たちまち心があったかくなって、私は眠った。

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