表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生して異世界へ  作者: 青牙
3/14

「始めまして、魔王様」

目を覚ますと、目の前には鉄格子があった。

状況を確認するために周りを見渡してみると、この部屋は暗く、灯りは小さな窓から入る日の光くらいであり、とても普通の部屋ではないということを認識できた。

何があったのかを必死に思い出す。


「転生…したのか…?」


起きたばかりだからか、上手く頭が回らない。

転生して、その後何が起きたのか。なぜこんな牢屋のような所にいるのか。

暫く唸っていると、足音が聞こえてきた。


「起きたか」


声を聞く限りは、多分男であろう。

低く、あまり感情のこもってないような声。


「…」


俺はただ睨み付ける。その声の聞こえた方を。

全く現状を理解していないのだから、仕方ない。

警戒をしても、特別損をすることはないだろう。


「出てこい、魔王様がお呼びだ」


その声の主は鉄格子の扉を開け、こちらに同行するように呼び掛けてくる。

ここに留まっていても、特に進む訳ではない。

しかも、ここは転生したRPGの世界だ。

ストーリーに沿った進み方をするべきだろう。


『いや、今こいつは、魔王様と言ったな』


俺はその声の主に従い、後ろをついていく。

ここで1つの仮説を立てた。

なんの根拠もないが、ここは魔王の城の地下か何かだろう。

そして、今俺に声をかけてきたのは、手下のデーモンかなんかであろう。と

どうしてデーモンなのかは、見た目がそういう感じだった。

黒い身体に、黒い翼、そして顔の作りが人間ではない、明らかに人外の存在である。


暫くすると、大きく広い部屋にたどり着いた。

そう、例えるなら、魔王と勇者が戦うような、広々とした空間。奥には大きな玉座がある。

基本的な作りは、人間の王国などと大差ないようなものだと思う。

いや、そもそも人間の王国を実物で見たことはないが。


『3人か…』


俺の周りには、全部で3体のデーモンが槍を持ち、待機していた。

俺が変な行動を取ろうとしたら、すぐさま押さえるつもりなのだろう。

まだチート能力を試してはいない。チートと言っても、何処まで自分が使いこなせるかは全くわからないのだ。


「やっと目が覚めたのね」


気づくと、玉座に誰かが座っていた。

さっきまでは、誰もいなかったはずなのに。


「あんたは?」


「貴様、魔王様であるぞ」「口の聞き方には気を付けろ」


周りのデーモンが俺に槍を向けてくる。


「私は魔王…この世界を統べる存在よ」


魔王と名乗った存在が、コツコツと靴を鳴らしながら歩いてくる。

俺はその魔王の姿を見た瞬間、息をするのを忘れてしまった。


『こいつが、魔王…』


そこには、絶世の美女がいた。

絶世の美女なんて言葉で片付けれるような存在ではない。

色素の薄い肌、深紅の瞳、銀とも言えるような綺麗な白髪、そして、男の欲望をそのまま形にしたような身体をしていた。

出ている所は出て、引っ込むところは引っ込んでいる。

これだけみると、ただの美しい美女に見えるが、黒く禍々しい角に、大きな翼が生え、何より雰囲気が普通ではないのだ。


「クスッ私の姿に見とれちゃった?」


魔王が誘うように笑う。

だが、いつまでも見とれている訳にはいかない。


「お前が魔王なのは分かった。俺をここに呼んだ理由はなんだ?」


「貴様!いい加減にしろ!」


俺の態度が気に入らなかったのか、1体のデーモンが俺目掛けて槍を突きだしてくる。


「短期な奴だな」


軽く上体を反らし、突きだした槍を避け、手刀で槍を叩き切った。

デーモンが表情が驚きの色に染まった。

素早く地面を蹴り、デーモンの懐に入り込む。

槍はリーチがある分、懐に入られては上手く扱えない。

そのままの勢いでデーモンを殴り飛ばした。

残り2体のデーモンも急いで攻撃しようとしてくるが


「遅い…っ」


同じように槍を手刀で破壊し、体術でねじ伏せる。

時間にしては数秒だったかもしれない。

武器を持たないただの人間が、数秒で魔物を倒したのだ。

魔王はそんな姿の人間を見て嬉しそうに、笑みをもらした。






「さすが、私の運命の人♪」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ