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第81話 自由の矛編4-04 「少女の存在する価値」

第81話を公開します。



20150803公開

   挿絵(By みてみん)



あらすじ

 巨人から奪った砦での生活が始まって24日目。

 取り残された現代人は、異世界での生き残りの為にラミス王国への外交団を派遣する。

 そして外交団は王族との会見に臨むが、初手から主導権争いが激化する。



11-04 『少女の存在する価値』 西暦2005年11月19日(土)昼



『貴志君、負けてない・・・・ その調子でガンバレ』


 佐藤静子三等陸佐は、自分よりも一回り年下の大学生が、圧倒的に不利な状況の中で、異世界の王と堂々と狸の化かし合いを繰り広げている光景に思わず心の中で応援をしてしまった。

 外交団は具体的に派遣が決まる前から、何度も自衛隊や学者たちと打ち合わせをしていた。

 その過程で、彼我のデータを基に(ラミス王国の数字は推測値だったが)、何十、何百通りもの状況をシミュレーションした。

 努力虚しく、戦争になった場合の予測結果は惨憺たるものだった。

 どうしても最終的にはラミス王国に飲み込まれる結果にしかならなかったのだ。

 現状で現代人が持っている最大のアドバンテージたる近代兵器も、弾が切れれば小銃に銃剣を付けて槍として使えるくらいだ。

 巨人が使っていた武器も有るが、扱いに習熟していないし、数と言う暴力の前では焼け石に水だ。

 最終的に砦奪取までに殺した巨人の数は2000人を越えていた。

 こちらに持って来て砦に備蓄されている弾丸は、それまでに使用された数さえも上回っているが、もし、万の単位の兵士に犠牲を覚悟して攻めて来られれば、確実に足りない。

 砦に籠城しても、逆転の目が全く見えない。


 

「話し合うにふさわしいと分かった。では、最初にそちら側の紹介をして貰おうか」


 デュラフィス王の言葉から、どうやら、今までのやり取りは前哨戦に過ぎなかった様だった。

 ラミス王国側の出席者は、前列に座っている6人がやはり王族で、役職に就いている王子全員が出席していた。

 ルクフィス第1王子は、王都防衛任務も担う最大の軍団の司令をしているとの事だった。歳は30歳台半ばくらいだろうか? ちょっと渋めの印象だった。

 キラフィス第2王子は、王都の行政を管轄する役職だそうだ。王族の中で一番太っている。うん、確かに軍人って柄では無さそうだ。ルクフィス第1王子と変らない歳に見えるが、肌のつやで2歳ほど若いと見た。

 シスフィス第4王子はどちらかと言えば、キラフィス第2王子に似ている。役職は王都から見て東の地域の行政を担当しているそうだ。担当地域の中には旧王都も含んでいるそうで、それなりに重要な役職と言う事だった。歳は・・・ 肌のつやでズバリ二十歳はたち

 謁見の儀を取り仕切っていたのは、デュラフィス王側近のケトラ・クイラ宰相で、その他の人物は副宰相、軍務相、民生相だった。

 そして、如何にも武人と言う人物は王直属の護衛兼剣術指導役のタカザラ・ラルだった。

 元々は側近でもなんでもなかったが、デュラフィス王が彼の剣の腕に惚れて、護衛に引き抜いたと言う事だった。

 重臣たちよりも紹介に割く時間が長いって・・・・・

 ラミス王国では、文よりも武に重きを割くという予測が意外なところで実証された訳だ。



「それでは、本格的な話し合いに入ろうか? 其の方らが当方に与える事の出来る物は何だ?」


 ハルちゃんの通訳を通しての本格的な話し合いが始まった。

 出発前の予測では、王自らが交渉の表側に立って来るとは想定してなかった。

 いや、想定し切れなかったと言える。普通に考えて、王は最後の段階で関与すると考える。

 地球でもサミットやら首脳会議やらは数多く行われるが、そこに至るまでには度重なる実務者レベルでの話し合いが重ねられる。

 首脳会談は氷山の一角で、水面下では膨大な交渉が行われている・・・ というのは貴志君に教えられた。

 その予測を覆す為の餌として、空薬莢やペットボトルを使った事が実際に効果を上げたのは、王自らの言葉からも確実だ。

 だが、最終的に本当に効果を上げたのは・・・・・


 ハルちゃんの存在だ。


『ま、大丈夫でしょう。第一、貴ニィが団長ですよ。意地の汚さでは我が一族筆頭の貴ニィが簡単にやり込められるのはちょっと想像出来ませんね。なんせ、私に『白ハル』をやらせたのも布石の1つですからね』


『彼らの宗教観、人生観、価値観に深く関わる特殊な脳波に関して、相手の罠を破るのと同時に私が化け物だと無意識レベルで植え付けたんですよ』


『安心してもらう為についでに言うと、これまでの所、ほぼ貴ニィの想定内に収まっている筈ですよ』


 5人居るうちの2人の王子から剣を贈呈される存在・・・

 最高権力者の王でさえ、興味を持たざるを得ない存在・・・

 圧倒的に有利な筈のラミス王国が無視出来ない存在・・・ 


 

 貴志君が居なければ、私たちはきっと為す術も無かったのだろう。

 だが、ハルちゃんが居なかったとすれば、貴志君でさえ苦戦は必至だった筈だ。



 でも、エアートランペットはやり過ぎだよ、ハルちゃん・・・・・・

 

如何でしたでしょうか?


 そして、この場を借りてお礼を・・・・・


 なんと、こんなに読み難い拙作の通算PV数が40000件を超えました。

 更には、通算ユニークユーザー数が10000人を超えました。


本当に、有り難う御座います m(_ _)m


 が、頑張らねば・・・・・

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