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第75話 自由の矛編3-07 「刀と剣」

第75話を公開します。



20150710公開

20150711一部表現変更

   挿絵(By みてみん)




あらすじ

 巨人から奪った砦での生活が始まって23日目。

 取り残された現代人は、異世界での生き残りの為にラミス王国への外交団を派遣する。

 “要塞”での歓迎を受けた外交団は次の日の朝を迎えた。



10-07 『刀と剣』 西暦2005年11月18日(金)朝


 佐藤静子三等陸佐は同じ部屋で寝た筈の少女の姿が、ベッド(意外と地球そっくりの構造だった事に違和感を覚えたほどだった。巨人のベッドは木製の収納ボックスの上に落下防止用に柱の棒が突き出ているだけだった)の上に見当たらない事に気付いた。


「ハルちゃん?」


 返事は部屋に備え付けの水場から聞えた。

 

「あ、起きました? ちょっと汗をかいたので、汗を流しているんで、貴ニィから連絡入ったら代わりに出て下さい」


 春香が寝ていたベッドの上に2本の剣とトランシーバーと寝間着が置いてあった。

 

「もしかして、朝練していたの?」

「そうですよ。2本の剣を貰ったので、二刀流に挑戦していたんですが、まだ他人様には見せれませんねえ」

「ふーん、練習熱心ねえ。でも、両手で剣を使う意味有るの?」

「2人の王子様から貰った剣だけに、どちらかしか使わなかったら、外交問題になるかもしれないでしょう? 剣は両成敗って言うし」

「いや、それ、喧嘩両成敗だから・・・」

「本当を言えば、受け狙いです。どっちにしろ、日本に居た頃から剣術の朝練は欠かしませんでしたからしないと気持ち悪いですし」

「やっぱり? 昨日は凄かったもんね、まさに達人って感じで・・・ 素人の私が見ても強そうって思ったもの」

「ははは、強そうでは無く、かなり強いですよ」


 守春香は持参して来たタオルで頭を拭きながら水場から姿を現した。

 大阪狭山市の外交団は隣り合わせに高級将校用の部屋を2つあてがわれていた。

 驚いた事にその部屋の1室には、小さな浴槽程の水瓶みずがめが置いてあり、いつでも水浴びが出来るようになっていた。排水溝の先には桶が有り、汚れた水を溜める様になっている。

 ラミス王国人はかなり清潔好きな様だった。

 肩にタオルを掛けて、全裸でベッドの寝間着に手を伸ばす春香を何となく見ていた静子だったが、ふと彼女のプロポーションに違和感を覚えた。

 全体的に小柄で、更には一般的に言うスタイルが良い訳では無い。同性の目から見ても女っ気というか、色気というか、そう言ったものが少ない。 

 その代り、脂肪分の少ない身体をしていた。強いて言うならば長距離走の女子選手の様な絞り込んだ身体と言える。

 だが、よく見ると、2カ所ほど他よりも筋肉が発達している事に気付く。

 第一に背中全体がかなり鍛えられていた。今も前かがみになっている為によく見えるが、背筋群がかなり鍛えられているのが分かる。

 次に、ふくらはぎが鍛えられていた。大根足とは違う、美しいとさえ言える曲線を描いていた。

 それと今気付いたが、彼女の前腕が如何にも堅そうに見えた。女の子特有の柔らかさとは無縁な腕だった。


「ハルちゃん、握力どれくらい?」

「うーん、真面目に測ったら60㌔くらいの筈」

「ちょ、それ、成人女子の平均の2倍だから! 男性よりも多いって!」

「まあ、日本刀の素振りをするには、それ位は要るから」

「日本刀って、真剣?」

「そうですよ。竹刀の3倍くらいの重さですから、握力は必然と強くなるんですよねえ」

「納得した・・・ ほんとに強いんだ」

「もっとも、本当は日本の剣術の技と違うコツが要るんで、かなりキワモノになりつつあるんですよね」

「どういう事?」


 彼女は真新しい下着を穿いた。あ、羨ましい・・・・ どんだけこっちに下着を持って来てるの、このは?


「日本刀と剣の違いってなんだと思います?」

「切れ味?」

「その違いから考えられる動作の違いは?」

「? 分かんない」

「日本刀を使う時は突きは別として切る動作が基本ですから、通常は引くんですよ。押しても切れますが、隙が出易くなるので普通は避けます。反っているのも動作の切れ目を無くす為も有りますが、切り易くする為ですし。で、剣って反りが無いでしょ? その代わりに両刃です。片刃では出来ない多彩な攻撃が可能になります」

「多彩な攻撃?」

「例えば、袈裟斬りって知ってます?」

「えーと、肩から斜め下に斬るのよね?」

「そうです。で、それを躱された場合、片刃の日本刀なら刃の向きを逆に変えて斬り返すのを、両刃ならそのままの向きで斬り返しても構わない訳です。躱したと思ったらすぐに追撃が迫るんですから、やり難いでしょ?」

「へー、そういう違いが有るんだ・・・ でも、それって、実戦じゃあ剣の方が強いって事にならない?」

「まあ、私の場合、躱されないんでどっちでも構わないんですけど」

「言い切った!? 言い切ったよ・・・」

「万が一躱されたりカウンター攻撃をされたとしても、対処法や体捌きを身に付けるのが剣術ですし、少なくとも私って、実戦形式の流派で師範クラスですから」


 そう言って、彼女はスポーツブラを付けた。 だから! なんで、値札タグが付いている様な新品を持っているの?  


「ついでに、プレゼントされた剣と日本刀の他の違いが分かります?」

「反りと両刃以外で?」

「ええ。造り方も除外して」

「うーん、分かんない」

「実は貰った剣て、片手用なんですよ。私は手が小さいからなんとか両手で使えますけど。で、片手用と言う事は、もう一方の手に何かを持つって事です。どうやら盾のようですが」

「待って・・・ アメリカの映画で見たわ! なるほど、イメージ出来た」


 ちなみに、この時、2人が思い浮かべていたのは違う映画だった。

 片や剣闘士であり、片や木馬だった。


「それこそ盾なんて使った事無いから、じゃ、いっその事、二刀流に挑戦するのもいいかな? って思ったんですよねえ。王都に着くまでにはモノにしたいんですけどね」

「モノに出来たら、『両刀使いのハルカ』って呼んで上げる」

「何故か拒絶しないといけない気がする・・・・・」


 春香は気付いていないが、佐藤静子医官とは相性が抜群に良かった。

 他人との付き合いが苦手な春香が、初対面の時から円満なコミュニケーションが取れていた事からも分かる。

 彼女たちはこの後も、年齢を超えた友情を育む事となる。



 そして、静子の言葉は、ある意味現実のものとなった・・・・・・

 




如何でしたでしょうか?


 念押ししておきますが、mrtkは素人なので認識が間違っていると思っておいて下さいませ(^^;)

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