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閑話休題  『自衛官たちへのインタビュー②』

閑話休題のエピソードを公開します。



20150706公開

「あの頃の春香嬢の思い出ですか・・・・」


 目の前で椅子に座っている体格が凄く良い自衛官は、そう言って記憶の引き出しを開ける表情を浮かべた。

 すぐに纏っている空気が変わる。


「そうですね、正直に言って『始まりの日』の時に遭遇した時は、逃げ出したくて仕方ありませんでしたね」


 私たち新狭山市が持っている中でも有数の戦力の1つである、泣く子も黙るS11の隊長が愚直なまでに正直に答えた。


「関根君から規格外と言う事は聞いていましたけど、実際に戦場で遭った彼女には想像の限界を思い知りました。『規格外』というよりも『想定外』でしたね。『悪夢』そのものが具現化したみたいな彼女に目を合わせるのに気力の全てを振り絞ったのですから」


 沢野一尉はそう言って、少し疲れた空気を纏った。

 思わず私は質問以外の言葉を口にしていた。


「確かにアレは酷かったですものね。慣れている私でさえ、怖かったですもの」

「そう言えば、貴女も経験者でしたね」


 そう言った一尉の目が同志を見る物に変った。


「彼女の存在に気付いた理由が、原因も分からずに意識を失っていく拉致被害者だったのですよ。意識不明に陥った被害者に対する対処の方法も分からなかった中、気が付けば彼女が歩いて来るのが見えたのです。今考えると理解出来るのですが、その時の彼女は黒い方だったんですよね。当時はそんな事なんて知りませんでしたから、一歩近付かれるごとに精神が削られて行く状況でどうすれば事態の収拾を付けられるのかしか意識に有りませんでした」


 うん、その通りだ。

 私でさえ身動きが取れなかったのだ。

 初めて遭遇する人間が何らかのトラウマを抱えていてもおかしくない。


「結局のところ、彼女がそうでもしないと救出作戦が破綻していたのは明白ですから、もっとその辺は評価して上げるべきだと思います。あ、そう言えば、あの時に貴女と会話した記憶がありますよ」


 私ははっきりと覚えていた。


「ええ、確かに。私は一尉にお礼を言いました。あの子との仲を気遣っているのが嬉しくて・・・ そうしたらいきなり爆笑されたのは予想外でしたけど」

「そうそう。いや、今考えると、戦場の真っ只中で爆笑するなんて、自分も修行が足りていませんでしたね」

「でも、おかげ様で、自衛隊に対する印象ががらりと変わった事も事実です。改めて有り難う御座いました」

「いえ、当然の事をしたまでです」


 

 その後も、色々と話を聞いて、インタビューが終わったのは1時間後だった。

 今回も私が知らなかった、ハルの知られざるエピソードが沢山聞けた。

 やはり、問題は・・・・・


 どこまで描いていいのか? だ。

 事実をそのまま描くと、あの兄妹に迷惑を掛けてしまうだろう。

 うん、一度、その辺りを本人に聞く事にしよう。

 春奈ちゃんにも会いたいし・・・・・ 



 

如何でしたでしょうか?


 進行中の本編の数年後に当たります。

 おっと、何やら懐かしい名前が(^^)


P.S. 「姫来て」とは違う歴史を歩みつつあるので、あちらの物語の登場人物が数世代前倒しで登場する予定です。もう少し言及しておけば良かったですね(作品紹介では言及していましたが、こちらの本編では書いて無かったですね )m(_ _)m



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