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第68話 自由の矛編2-09 「指切りげんまん」

第68話を公開します。



20150619公開

あらすじ

 巨人から奪った砦での生活が始まって20日目。

 砦での生活が“日常”となっていた。

 そして、新しい季節が訪れようとしていた。 


               (*登場人物紹介を1項後で公開しました)



9-09 『指切りげんまん』 西暦2005年11月15日(火)昼


「ハルちゃん、そろそろ準備をして欲しいって」


 広場で昼食後の一時いっときを過ごしていた守春香を呼びに来たのは従姉の佐々優梨子だった。

 春香たちとは距離を置いているが、周りでも同じ様に昼休みに相当する時間をのんびりと過ごしている市民は多かった。


「うん、分かった。じゃあ、みんな、行って来るね」


 一緒に居たクラスメートや鈴木母娘に声を掛けた春香は、うーん、と言いながら背伸びをした。

 

「佐々先輩、春香から聞きました。彼女の代わりに飛んでるって。有り難う御座います」


 吉井真里菜がそう言って優梨子にお辞儀をした。


「えーと、確か、吉井さんだったよね? ハルちゃんが自分から偵察飛行の事をべらべらと喋る訳無いからどうして知ったのかを教えてもらってもいいかしら?」

「はい。偶々春香が夜明けに飛ぶところを見てしまって・・・ お二人がそんな“お仕事”をしていたなんて知らなかったんです。なんて言うか悩んだんですが、素直にお礼を言いたいなって」

「うん、ありがとう。でも、誰かがやらなくちゃいけないけど、やれる人間が2人しか居ないからしているだけよ。それに私、ハルちゃんみたいに戦闘向きじゃないし」

「うん、ユリネェは戦闘に向いてない。それは私が保証するよ」

「いや、ハル、戦闘も出来るあんたが特別なんだって」

「褒められちゃった」

「いや、褒めてない・・・・ いや、褒めた事にしとくわ」

「なんか微妙・・・」


 そんな2人のやりとりを笑顔で見ていた優梨子に小さな女の子が近付いて来た。


「おねえちゃんははるかおねえさまのおともだちなの?」


 優梨子はその幼女の目線までしゃがんで、笑顔を浮かべて答えた。


「うん、お友達で従姉の佐々優梨子というの。貴女のお名前は?」

「すずきみう、ごさいです。ねんちょうぐみなの」

「ちゃんとお答え出来て、偉いねえ」

「えらい? りっぱ?」

「うん、その通りよ。立派なんて言葉を知っているなんて、美羽ちゃんは賢いね」

「でも、はるかおねえさまのほうがかしこいよ?」

「ああ、あの子は特別だから」

「とくべつ?」

「うん、そう、特別。彼女が居なければ、みんながこうしてのんびりと出来なかったし」

「みう、しってるよ。はるかおねえさまがおおきなひとをやっつけたのをみたから」

「そう。大丈夫だった?」

「おねえちゃんたちがよくしてくれたからだいじょうぶだったよ、ね、おかあさん?」


 いきなり振られた鈴木珠子は、母親故に為せる業か、一瞬で笑顔を浮かべて答えた。


「そうね。美羽もお母さんも一杯、助けてもらったから、みんなの為にいい子にしないとね」

「うん、みう、いいこになる」


 そう言って、美羽は何故か肩を捻って柔軟体操をしている春香の傍に向かった。


「はるかおねえさま、みうはいいこにしているからはやくかえってきてね」

「うん、早く帰って来るって、約束するよ。だから・・・・」


 そう言って、春香はしゃがんで、右手の小指を差し出した。

 美羽も自分の小さな小指を差し出して、春香の子指に絡めた。


「指切りげんまん、嘘ついたら針千本飲~ます。指切った!」

 

 真剣な顔になった美羽の頭を撫で、春香は美羽の目を見詰めて言った。


「美羽ちゃん、それじゃ、お仕事を任せたからね」

「うん、みうがんばってしろしょうゆのおせわする」


 破願した春香は、もう一度美羽の頭を撫でて立ち上がった。

 立ち上がった時には、そこには無邪気な笑顔は一片たりとも残されていなかった。


「ユリネェ、後は任せた」

「はい、行ってらっしゃい」


 

 外交の季節が始まろうとしていた。

 


 



 

如何でしたでしょうか?


 この後、お買い物に出掛けなくてはいけないので、ちょっと短くなりました。

 それと、本当はこの後のシーンがメインになる筈でしたが、美羽ちゃんを絡めた途端に倍の長さになってしまい、構成上、ここで切らざるを得なくなりました(^^;)


 次話から第3章に突入ですが、その前に登場人物紹介を入れる予定です。

 

P.S. おかげさまで3万PV突破しました(^^)

   マイナーな作品ですが、少しでも楽しんで頂ける様に頑張ります m(_ _)m

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