閑話休題 『自衛官たちへのインタビュー①』
シフトの関係で次話公開は6/11以降です。
そういう訳で、短編の閑話休題①をお送りします m(_ _)m
「春香嬢と初めて会った時の事を訊きたいと言う事でしたが、自分なんかでいいんですか?」
目の前で首を傾げている陸自の自衛官は20台後半だった。
どちらかと言えば、日本に居た頃はさほど目立たない人物だったかもしれない。
だが、過酷な環境が彼を歴戦の戦士に変えていた。
身に纏った空気も自信に満ちていた。
だが・・・
その当時の事を思い出そうとしている彼の空気は一気に変わった。
まるで、子供の頃の楽しい思い出を語りたさそうな空気に変った。
「確か、あの時の彼女は未だ女子高生だった筈ですけど、とてもそうは思えませんでしたね。むしろ自分達よりも戦いに慣れている雰囲気を持っていましたし・・・」
彼の言葉は続いた。
「そうそう、彼女に命令を伝える為に近くに寄った時に嗅いだ匂いは今も覚えています。あれは血の匂いだったんでしょうね。砦内の焚火は少なかったので、辛うじて人影が分かる程度の明るさだったんですが、彼女に近付けば近付くほど、血の匂いが濃くなったんで覚えています。上からの命令を伝えた時の横顔は忘れられませんね。ゾッとする程の笑顔を浮かべていましたよ」
私は次の質問をした。
「印象ですか・・・ さっきも言いましたが、とても女子高生とは思えない雰囲気と殺気を放っていましたから、正直おっかなかったですよ。ましてやその後の衝撃が強過ぎて、本当に人間なのか分からなくなりましたし・・・」
彼は少し俯いた後で、再度視線を真っ直ぐこちらに向けた。
「轟音、衝撃、目を瞑っていても周囲が明るくなったと分かる閃光が同時に自分達を襲ったんです。自分達も九〇式戦車の射撃くらいは経験していますが、それ以上の衝撃でしたね。まあ、すぐそこで撃たれたんですから仕方ありませんけど。それがさほど間隔を開けずに10発ですよ。正直、最後の方は『もう止めてくれ』って思いました。人間が産み出せるものとは思えませんでしたね」
彼は少し間を開けて続けた。
「まあ、彼女が巨人たちの司令部を潰してくれたおかげで、その後の反撃が秩序も無くバラバラになった事は自分達にも分かりました。キャットウォークから巨人たちを削り、いや、無力化している最中に彼女が広場に現れた時は驚きましたが、不思議に『どうやって?』と思いませんでした。『彼女ならそれくらい出来るんだろうなぁ』って、妙に納得してしまいましたから。その後は貴女も知っている通りです。彼女の行動が無ければ、貴女もここでインタビューをしていなかったでしょうね。そう言う意味でも、市民全員はもっと彼女に感謝の気持ちを持ってもいいと思いますね」
その後、いくつかの質問を重ねて、私の取材は終了した。
あの当時の事をマンガにしようと取材を始めたが、ハルはあらゆる自衛官に強烈な印象を与えていた。
私の親友は、本当に規格外だったというべきか・・・
どこまで描いて良いのだろう?
如何でしたでしょうか?
次回こそは本編の続きを書きたい今日この頃(--;)