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第63話 自由の矛編2-04 「リスト」

第63話を公開します。



20150526公開

あらすじ

 巨人から奪った砦での生活が始まって10日目。

 砦での生活が“日常”となり始めていた。

 だが、日常になったが故に現代人にとっては問題となる事も有った。



9-04 『リスト』 西暦2005年11月5日(土)朝


東海林しょうじさん、大丈夫ですか? 奥様も疲れていませんか?」


 秋山昭二二尉は傍らを歩いている夫婦に声を掛けた。

 今回の遠征の成否は、大阪狭山市で八百屋をしていたこの夫婦に掛かっている。この二人の知識無しでは、自生している植物の区別は付かないだろう。

 砦の食料事情を改善出来るかどうかが掛かっている。

 もっとも、レンジャー課程を修了した自衛隊員ならばその辺に生きている蛇や植物などを食べられるのだが、毎食毎食そんなサバイバルな食事と言うのも切ない。

 それに今から“発掘”しに行くのはヨーロッパ原産の大昔の野菜だ。レンジャー課程では習っていないので見分けが付かない可能性の方が高かった。

 また、自衛隊員を食料調達に駆り出すのは市民が出来ない部分に抑えないと負担が大きくなり過ぎるし、有事の際に食料調達に問題が出て来る。

 自衛隊への依存が過ぎては自活への道も遠ざかってしまう。


「大丈夫ですよ。今後の食糧事情が掛かっていますから、弱音を吐けませんしね」

「そうそう、他人様ひとさまのお役に立てるんですから、頑張りますよ」

「もし、疲れたなら遠慮無く行って下さいね。いくらでも休憩を入れますから」


 そう言いながら、秋山二尉は前方を歩く守春香を見た。

 彼女は「使徒」の集団に声を掛けながら疲れた様子も無く歩いていた。


 今回の遠征は砦の将来を左右するかも知れなかった。

 発端は前日に行われた会議で発表された報告だった。



『食料保存庫に残されていた食料のリストと、東海林さんが教えてくれた原産地を基に地域別に分類した食用植物のリストです』


 そう言って、自衛隊派遣部隊の情報を取り纏める特殊作戦群第2科長が金澤達也暫定市長に1枚の紙を回した。


 守春香が10発の超高速飛翔体で天井を破壊した巨人の司令部は、応急修理が済んだので現在は自衛隊と大阪狭山市市役所が主に使用していた。

 もっとも、南北30㍍東西50㍍という食堂に次ぐ大きな建物だった為に、その他の機関も余った場所を使っているので、この砦の司令部そのものとなっていた。

 その一角で行われていたのは、食糧事情の改善に対する対策会議だった。

 そのリストは限られた現代文明の資源を節約する為に1枚しかプリントアウトされていなかった。金澤暫定市長に続き全員が1枚のペーパーを回し読みした。


①食料保存庫

 大麦、プディング状保存食、ソーセージ状保存食、干し肉状保存食、大麦から作られた棒状乾燥保存食、コショウ、ハーブ類


②日本原産もしくは自生している可能性の有るもの

 浅葱、明日葉、ウド、エノキダケ、オカヒジキ、オニユリ、カタクリ、キクラゲ、ギボウシ、行者ニンニク、山椒、椎茸、釈迦シメジ、ホンシメジ、ジュンサイ、セリ、ゼンマイ、タラノキ(タラの芽)、ツクシ、蔓菜、ツワブキ、なめこ、ナンテンハギ、ニラ、ネマガリダケ、ニホンハッカ、ハツタケ、浜防風、平茸、フキ、ホンシメジ、マコモ、水菜、三つ葉、フキ、松茸、山蘇鉄、山百合、ワラビ


③ヨーロッパ原産

 アスパラガス、アップルミント、イタリアンパセリ、オレガノ、カブ、カリフラワー、カルドン、カレープラント、キャベツ、クレソン、ケール、ゴボウ、コリアンダー、サンチュ、シャロット、春菊、食用たんぽぽ、スペアミント、セージ、セロリ、大根、タイム、チコリ、チシャ、チャイブ、トレビス、ネットメロン、パイナップルミント、パセリ、プチヴェール、ブロッコリー、ペパーミント、マッシュルーム、ラベンダー、リーキ、リーフレタス、ルタバガ、ルッコラ、ルバーブ、レタス、レモンタイム、レモンバーム、ローズマリー


④中国及び東アジア原産

 小豆、アブラナ、菊、クワイ、シソ、白ナス、大豆、高菜、チンゲン菜、長芋、ネギ、白菜、孟宗竹、ワケギ


⑤中央アジア及び西アジア原産

 ウインターメロン、大麦、小麦、サフラン、生姜、ソラマメ、大根、タマネギ、ニンジン、ニンニク、ほうれん草、ヘチマ、メロン


⑥アフリカ原産

 オクラ、ゴマ、ササゲ、スイカ、瓢箪、モロヘイヤ


⑦北アメリカ大陸原産

 インゲン豆、ズッキーニ、きくいも


⑧熱帯アメリカ原産

 カボチャ、サツマイモ、唐辛子、トウモロコシ、ピーマン


⑨南アメリカ大陸原産

 苺、ジャガイモ、トマト、落花生




『巨人どもには食の楽しみという概念が無いんじゃないか?』


 参加者全員が読んだのを見計らって、金澤暫定市長がぼやいた。


『それにしても酷いな。毎日このメニューなら暴動が起きるぞ。いや、真っ先に俺が起こす』


 佃中竜二市議も苦い顔で応じた。

 第2科長が説明を続けた。


『オーロックス、イノシシ、鹿をローテーションを組んで狩る事で肉の方はバリエーションを持たせていますし、魚貝類の方も資源保護を考慮に入れた網がもうすぐ出来上がります。それと確保がし易いシジミを組み合わせれば動物性たんぱく質はなんとかなるでしょう。ですが、野菜の種類が余りにも少ないと言わざるを得ません』

『山菜やキノコは探せば必ず見つかると思いますが、それでもサブの食材止まりでしょう。やはり野菜の種類が少な過ぎる』


 ここで守貴志が発言した。


『その点に関しては、妹から3点ほど情報提供が有りました。まず、ラミシィス国の食材はかなり豊富と思われる事。初めて接触した時にその辺りの情報を彼らから聞き出しています。先ほどのリストに有ったヨーロッパ原産の食材が中心の様です。現に少し保存食を食わせてもらったそうですが、ハーブを多用していて美味しかったと言っていました。次に、「使徒」が栽培していた食材を確保している事と、更に手に入るかも知れない点。子どもと母親たちを避難させていた森の奥地でも畑を作っていたのでラディッシュ、日本では二十日大根とも言うそうです、それとブラック・スパニッシュ、こっちは黒丸大根らしいですね。それと原種に近いカブ、この3つの種は全て貰う様に交渉済みです。また、巨人に侵略される前は小規模ながら違う野菜を数種類栽培していたそうなので、もしかすれば昔の畑跡を当たれば自生しているかも知れません』

『おい、若造。そんな情報を握っていたのならもっと早く言え』


 佃中市議が貴志に喰ってかかった。

 貴志は平気な顔で返した。


『優先順位の問題ですよ。巨人の逆襲に対する備えを整える方が先でした。やっと監視トーチカが出来たので昨日から妹には現地調査に向かう準備をさせています。宜しければ明日にも調査隊を派遣させたいのですが?』


 貴志の提案は満場一致で採択された。 

 こうして、守春香を中心とした第一次食材探し隊が派遣された。




如何でしたでしょうか?


 とにかく今回は疲れました・・・・・

 特に日本原産は一つづつ確認しましたので・・・

 もしかすれば間違えているかも・・・・・

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