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第50話 自由の矛編1-05 「少女の予言」

第50話を公開します。


20150409公開

登場人物紹介

 守   春香  高校2年生 17歳 先祖返り   本編主人公

関根   昌幸  自衛官   28歳 陸上自衛隊特戦群第一中隊第三小隊小隊長 二尉

富澤   秋定  自衛官   31歳 陸上自衛隊特戦群第一中隊第三小隊    一曹

大野   毅   自衛官   30歳 陸上自衛隊特戦群第一中隊第三小隊    一曹

山本   文夫  自衛官   28歳 陸上自衛隊特戦群第一中隊第三小隊    二曹

木村   光男  自衛官   27歳 陸上自衛隊特戦群第一中隊第三小隊    二曹

桜井   敦   自衛官   29歳 陸上自衛隊特戦群第一中隊第三小隊    二曹

藤田   勝利  自衛官   27歳 陸上自衛隊特戦群第一中隊第三小隊    二曹

宮崎   利光  自衛官   23歳 陸上自衛隊特戦群第一中隊第三小隊    三曹

玉城   勇   自衛官   25歳 陸上自衛隊特戦群第一中隊第三小隊    三曹

アラフィス・ラキビィス・ラミシィス 16歳 討伐部隊隊長 王族

フラダ・スクビ           38歳 アラフィス側近


あらすじ

 巨人ホモ・サヤマエンシスに引き続き、新たな人類種と接触した守春香たち。

 彼女と異人類種のコンタクトの行方は?


8-05 『少女の予言』 西暦2005年10月28日(金)昼


 51人の異人類種の部隊を後ろに従えた形で、関根二尉率いるコールネームS13こと陸自特殊戦群の小隊は森の中を進んでいた。

 先に殲滅した巨人たちの埋葬は終わっていたが、出来るだけ情報を与えない為にわざと遠回りをして森の中を進んでいる。昼食を取る時間も考えれば、砦到着にあと5時間は掛かるだろう。

 

 もちろん、味方と言う訳でも無い自分達の2倍の人数の武装集団に背中を向けている事に不安が全く無い訳では無かった。

 だが、安心はしていないが心配はしていない。

 少なくとも守春香が居る限り。


「隊長、プリンセス2より新たに20人の巨人が現れたと言う連絡が来ました。現在、崖を昇っている最中で、全員が登り切るまでの予想時間は30分前後との事です」

「プリンセス2の高度と司令部への連絡及び命令を確認しろ。それと近くに居る部隊の有無もついでに確認してくれ」


 玉城三曹が確認作業に入ったところで、関根二尉は後ろを振り返った。

 守春香は後続集団の中ほどを歩きながらリーダーの少年と話していた。


「隊長、プリンセス2は現在2キロ以上上空を発見されないように飛んでいるとの事です。司令部には情報は伝わっていますが、命令は出ていません。が、こちらの進路はこっちの判断に任せるとの事です。第3普連の部隊もこっちに向かっていますが、最低でもあと1時間は掛かります。ま、遠回しに我々に“殺れ”って言っていますね」

「分かった。富澤一曹、“エントランスホール”に向かうぞ」

「了解です」


 関根二尉は守春香の方をもう一度見た。彼女と視線が合った。

 声を出さずに今聞いた情報と異人類種に対する要望を唇の動きで伝える。彼女は頷くと隣の少年に何かを囁いた。

 異人類種の少年がこっちを見た。

 関根二尉は敬礼をすると小隊を率いて、“エントランスホール”と名付けられた待ち伏せ場所に向かった。




「どれくらいで、戻って来ると、思いますか?」


 アラフィス・ラキビィス・ラミシィスと名乗ったラミシィスの王子様が尋ねて来た。

 守春香はさっき聞いたばかりのラミシィスの時間で答えた。


「1大時長(約98分)を超える」


 彼らのやり取りは森の中を歩いている間にルールを決めていた。

 アラフィスは普通にラミシィスで使われる言葉を使い、春香はいにしえの言葉で話すというものだった。春香が彼らの言葉を片っ端から記憶する為だった。


の企図は『遅れてきた者』を待ち、そして潰す事。何者も残さず」


 関根二尉達が戻って来る頃には、守春香の言葉で周囲の異人類種が笑いを上げるほどになっていた。

 思わず、関根二尉が呟いた。


「チートって言葉が嫌いになりそうだな」


 その呟きを聞いた周りの部下も呆れ顔で答えた。


「言葉通り、“ズル”ですよね。ま、優秀な通訳が居るだけでも有り難いですが」

「そうだな。俺達が喋れる様になるには1年以上は掛かりそうだからな」


 彼ら特戦群の座学には英会話も含まれていたが、あまり上達したと言えないものだった・・・・・



 自衛隊と機動隊が共催した拉致被害者代表との会合は、新たな人類種との交渉の方針で延々と揉めていた。

 佃中竜二市議が自分が主導すると主張していたからだった。

 会合に参加している他の構成員の反対を受けたせいで彼の態度は頑ななモノになっていた。


「市民から選ばれた私が交渉する事こそ民主主義というものだ。軍隊に任せると言う事は、戦前に戻る事と同じで、圧政の始まりを意味する。そんな事は断固として拒否する!」


 確かにその通りなのだが、言っている本人の能力に疑問を抱いている学者グループが反論していた。

 市役所代表の2人の女性はオロオロとしていて、ほとんど役に立っていない。元々が総務部の庶務グループに属していた彼女たちは総合防災訓練の手伝いで現場に居たせいで巻き込まれていた。

 劣悪な環境を改善しようと巨人に抗議したせいで制裁を受けた政策調整室危機管理グループの係長が出席できる体調ならば市役所側の立場は強くなった筈だが、彼はその時の怪我が元で床に臥せていた。


「そこまで言うのならば、どの様な方針を持っているかを表明すべきだ。無責任に主導権を主張するだけなら子供でも出来る」

「市民が子供を選ぶか! 名誉棄損だ!」

「ならば、子供では無い事を証明して下さい」

「いいか、交渉事というものは、相手の目を見て行うものだ。そこに浮かぶ表情でどれくらいの要求が通るのかを判断して、こっちの要求をぶつける。そんな事も分からん学者はしゃしゃり出ないでもらおう!」

「話にならん。要は行き当たりばったりという事ではないのか?」

「素人に政治のノウハウが分かるものか!」


 


「春香君、王子様に、ここであなた達の身なりを整える為に休憩を入れようと伝えてくれんか?」

「いいですよ」


 あと少しで砦に着くというタイミングで、関根二尉が春香に声を掛けた。

 返事をした春香の表情には苦笑が浮かんでいた。

 異人類種の王子に伝えた後で、彼女は関根二尉にため息交じりで言葉を掛けた。


「どうせ時間稼ぎなんでしょ」

「相変わらず鋭いな。この期に及んで揉めているらしい」

「貴ニィから聞きましたが、なんか変わった苗字の議員先生が邪魔してるってところかな? 確か、例の作戦を破綻させかけた人だったんですよね?」

「ああ」

「でも、心配ないですよ。多分、あの人は直ぐに潰れる筈ですから」

「おいおい、物騒な事を・・・ まさか、何かする積りか?」

「しませんよ。でも、あの手の人間に王子の相手は無理ですから」


 その守春香の予言は、半時間後に始まった初の異人類種間の会合で正しい事が証明された。

 

  

如何でしたでしょうか?

 

 ご訪問頂き、誠に有り難う御座います m(_ _)m

 やっと50話まで来ましたが、おかげさまで累計で2万PVを超えました(^^)

 とは言え、変な作品且つ下手っぴな作者故、満足頂けているのかが心配な今日この頃です(^^;) 

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