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第47話 自由の矛編1-02 「討伐部隊」

第47話を公開します。


 それと、小説タイトルを元に戻しました(^^;)

 なんだか、バタバタとして申し訳ありません m(_ _)m


【一部人名間違いを修正しました。

 誤:名はモリ・ハルナと言う

 正:名はモリ・ハルカと言う

 一部文章を修正しました。

 *教義の中の単語には「古の言葉」が残っている事が多い為、春香嬢の言葉は全く分からない訳でなく、一部聴き取れるという風に修正しています 】


20150330第一稿公開 

8-02 『討伐部隊』 王暦1725巡期後穫期初日


 アラフィス・ラキビィス・ラミシィスは斥候兵からの報告を静かな面持ちで聞いていた。

 だが、16歳という年齢に比べて童顔の彼の内心は穏やかでは無い。

 何故ならば、『南の砦』近くで発見されたグザリガ軍の斥候部隊と思われる小部隊の行方が分からなくなったからだった。


「奴らが隠れた場所は何処だと思う?」

「見失った場所から考えると『断崖』に在る洞窟群では無いかと思われます、殿下」

「厄介なところに逃げこまれたな」


 幼少期より付けられている側近のフラダ・スクビの答えはほぼ予想通りだった。

 数日前に目撃されたグザリガの部隊の殲滅がアラフィスに与えられた任務だった。


「とは言え、逆に考えれば奴らに逃げ場は無いとも言える。虱潰しに調べるぞ」


 ほぼ1日を使って1つ1つの洞窟を調べた結果、前線基地として使われたらしき洞窟を発見したアラフィスの部隊だったが、そこで思わぬ事態に直面した。奥に行こうとすると真新しい落盤に行く手を遮られたのだ。

 更に1日を掛けて、人が通れるくらいには石や土を洞窟の外に掘り出した先にはちょっとした空間が存在していた。


「殿下、こちらを!」


 松明で照らしながら空間の隅々を調べていた部下の1人が声を張り上げた。

 鎧を着た大の大人が楽に通れるほどの横穴が開いていた。

 発見した短槍家出身の部下に替わって横穴を検分したフラダが報告をした。


「上に向かう石段が有ります。どうしますか、殿下? 罠と言う事も考えられますが?」

「兄上から命令されたのは、敵部隊の殲滅だ。未だに果たされておらぬのだから、躊躇する理由は無い」

 

 その横穴に向けて風が流れているのが分かった。

 石段は直ぐに途絶えて、自然に出来た急角度の縦穴が姿を現した。


「もしかして『断崖』の上に続いているのかも知れません。一旦装備を整えた方が良さそうですが、如何されますか、殿下?」


 さりげなくフラダ・スクビが提案して来る。

 アラフィスとすれば、このまま一気に上に向かいたいところだったが、準備不足で任務に失敗するよりも確実な手を打つことを選んだ。

 そして、翌日、半日掛かりで登った先には自然のままの林が広がっていた。

 だが、長閑なのは光景だけだった。

 明らかに自然が奏でる音と違う規則正しい異音が聞こえた。


「記憶に一番近い音としては両手を打合せた時の音ですが・・・」


 フラダが首を捻りながらアラフィスに声を掛けて来た。


「隊が集結次第、音がする方に向かおう。念の為に斥候を厚めに出すぞ」


 しばらくすると、音は聞こえなくなったが、緊張感が高まって来る。

 後続が揃ってから2中時刻(18分)ほど警戒を深めながら進む彼らの前に1グマ(約50m)くらいの空間が開けた場所に遭遇した。


 そこに1人の少女が立っていた。

 どう見ても矮人だが、服装や手に持っている物も異常なら、その態度も表情も異常だった。

 その少女は恐れる風も無く声を張り上げた。

 矮人の行動としては有り得ない事であった。

 アラフィスの耳に少女の口上がするりと入った。


「ラミシィナに連なる者とお見受けする! 予はそち達が知らぬ土地より来た。名はモリ・ハルカと言う。予が名のった故に名のられよ!」


 可愛いとさえ言える声音に似合わず、内容は無礼としか言えないものだった。

 だが、アラフィス以外でその言葉を全て理解した者は居なかった。 

 王族と神官にしか伝わっていないいにしえの言葉だったからだ。

 だが、周囲を固める部下達は発言内容の全てが分からなくても、無礼な態度という事は分かったのだろう。

 それに、ところどころに現在も使われている教義の言葉が混じっていた為に、名乗る事を命令されたと受け取るぐらいには理解出来た。

 一気に警戒水準から敵対水準に意識が切り替わった。矢をつがえる音や剣を抜く音が広がった。

 その変化に合わせて、少女が聞いた事も無い言葉を発した。

 そして、もう一度古の言葉を発した。


「重ねて問う。名乗られよ」


 短弓家出身の新兵本人は矢を放つ意志は無かったかも知れなかった。

 だが、あまりの異常な状況に緊張しながら構えていた指が滑ってしまった。

 矢は全く違う方向に飛んだが、その事が切っ掛けとなり新たな事態が発生した。

 少女が再び意味不明の言葉を発した後で、自身の存在そのものを豹変させた。


 一瞬で少女は「主神の恩寵」を身に纏っていた。

 王族すらも超える、想像も出来ないほどの質であった。 

 

 それは、王族に連なるが故に、古の言葉に衝撃を受けていたアラフィスの精神に更に追い打ちを掛けた。

 思わず発した言葉は、少女の笑いと新たな言葉を誘った。


「殺さずに捕らえよ!」

「そちはタカニイか!」


 

  

如何でしたでしょうか?


 うーん、人類って異文化接触が苦手なんでしょうか?

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