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第17話 5-1 「帰還」

20141119公開

 第五章



登場人物紹介


ラ・ス・グ・ジェ   

  槍科  27歳 槍士 グザリガ部族 第7332槍兵木隊隊長

ロキ・ソキ・ゴキ・ギュ

  剣科  18歳 剣士 グザリガ部族 第733剣士鉄隊隊長

  (第7331剣兵鉄隊隊長兼務)

リュ 槍士  第7333槍兵木隊隊長

ヂュ 槍士  第7334槍兵木隊隊長

グ  槍兵  第7332槍兵木隊で一番大柄

ミョ 槍兵  第7332槍兵木隊では古参

バ  槍兵  第7332槍兵木隊所属

ビョ 槍兵  第7332槍兵木隊所属  実質的な木隊の副隊長




1.『帰還』


 ラ・ス・グ・ジェ第7332槍兵木隊隊長は不快感を抱いていた。

 どうやら、彼の部下も同様のようであった。

 それは、後ろから聞こえて来るバ槍兵とグ槍兵の会話からも窺えた。


「くそ、胸糞悪い。いくら矮人とはいえ、抵抗も出来ない様にしてから殺すのはやり過ぎだろ?」

「まあ、その気持ちは分かるが、俺たちには“使えるか使えないか”の判別が付かないからなぁ」

「それでも、あんなに殺す事は無いだろ? 何人殺したんだ?」

「分からんが、200人くらいは殺したんじゃないか? それでも300人くらいは残っているから構わないじゃないか?」

「おまえはせっかく捕まえた矮人を殺されても、構わないって言うのか?」

「実際の所、使うのは『奴隷使い』だからな。俺たちまで殺す手伝いをさせなかっただけでも良かったじゃないか?」

「それはそうだが・・・」


 確かに、目の前で『戦利品』の矮人を殺された事に平気ではいられなかったが、グ槍兵が言う事ももっともな事だった。

 『奴隷使い』でなければ、強人種のグザリガ人には矮人の区別はろくに出来ない。

 だから、彼らは捕まえられるだけ矮人を捕まえて、選別もせずに連れて戻って来ていた。

 それに対して、『奴隷使い』は『使えるか、何かに役立つ』矮人だけを砦に連れて行く事にしただけだ。

 彼らにとって、使えない矮人など、ただの無駄なのだ。


 そして、二人の会話で分かった事が有った。

 木隊では一番大柄で、やや呑気な性格をしているグ槍兵が、かなり理性的な判断をしている事が分かったのは収穫だった。

 そろそろ砦が見えて来る筈だった。


「そろそろ砦が見える筈だ! 最後まで気を緩めるな!」


 ジェ槍士は、木隊の全員が抱えているモヤモヤを払拭する為に敢えて号令を掛けた。

 直後に砦が見えて来た。

 立派な石垣の上に建つ砦はジェ槍士が初めて知る建築様式だったが、建築様式以外にも違和感を感じざるを得なかった。

 その理由を探ったが、気が付けば簡単な事だった。


『「消えた弱人部族」が作ったにしては、今も石垣が使えるというのはどういう事だ?』


 少なくとも、『消えた弱人部族』の話しは、おとぎ話になるほど古い出来事だ。 

 その間、手入れもされていないのならば、崩れていてもおかしく無い。

 だが、改めて石垣を見ると、かなり補修されている跡が残っていた。

 この2年間での補修跡では無かった。

 もしかすると、自分は未だ何かを見落としているのでは? と思いながら、ジェ槍士は真新しい門を潜った。



 第733剣士鉄隊と第735弓士鉄隊に挟まれる様にして砦に到着した矮人どもの顔には、生気というものが皆無であった。




 

お読み頂き、誠に有難う御座います m(_ _)m

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