新狭山市編 エピローグ
20160114公開 1/2
その国家を言い表す言葉を挙げれば、両手では足りないだろう。
それほどに異色の国だ。
奴隷階級である筈の矮人が建国したにもかかわらずに、
常識を超える技術と知識を誇り、
生活の質も高く、
王政とは違う政体で国家を運営し、
瞬く間に“高原の覇者”に登りつめていた。
もし、その国が興っていなければ、歴史は全く違うものになっていたであろうというのは、我々歴史家の全てが認めている。
他の国の国旗とはまるで違う幾何学的とも言える“市章”は敵対する者にとっては忌々しさと恐怖の対象であり、味方に(つまり我々のご先祖だ)とっては頼もしさの象徴であった。
そして、建国当時、その国を最も象徴していたのが武力であった。
それは奇妙な事に軍隊とある個人の2つに分かれている。
1つは、『ジエイタイ』と呼ばれる軍隊・・・
もう1つは、剣を使う少女・・・
『ジエイタイ』に関しては現在では様々な書物が書かれており、彼らの装備から戦闘ドクトリン(この言葉もその国が原産だ)、組織、問題点なども含めて研究は進んでいる。
特に現在では一部の秘密指定が解かれた為に、より研究が進むであろう。
問題は、少女に関してだった。
彼女の子孫は未だに大きな勢力を誇り、世界有数の力を持つ。
その家の資産は地方の行政府よりも潤沢だ。
支配下の企業群は数十社に及び、本家の守家と組めばどれほどの事が出来るか分からない程だ。
そして、知られている通りに、彼女には当時存在した各国においての呼び名が様々に有った。
強人種のグザリガとダグリガに於けるそれは、ほとんどが死に結び付く呼び名だった。
それほどの武を誇りながら、『ジエイタイ』に所属していなかったという事実は、後代においては色々な物語に登場する下地となった。
この章は、そんな彼女個人の逸話を中心に紹介と解説をして行く。
或る歴史書の一文より
如何でしたでしょうか?
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