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第102話 新狭山市編1-08 「接触」

第102話を公開します。



20151015公開

       挿絵(By みてみん)



あらすじ

 巨人から奪った砦での生活が始まって5ヶ月が過ぎた。

 取り残された現代人は、異世界での生き残りの為に自らの意志で変革しようとしていた。

 そして、新狭山市発足の日に、新たな事態が起こる。

 



12-08 『接触』 新星暦元年4月1日(土)朝



「妙だな・・・ 鳥の鳴き声が聞こえないな」


 最初の異変はごく些細な事から始まった。

 

土中つちなか二曹、鳥の鳴き声が聞こえません。なんか嫌な予感がしませんか?」

「確かにそうだな。小倉キャンプに報告! 森に異変を感じる。これより周辺の偵察に移行する」


 40普連第3中隊第1小銃小隊の第1小銃班7名はルーチンとしての巡回から、任務を偵察に切り替えた。

 この判断が彼らを救う事となる。


 第40普通科連隊から派遣された2個小銃小隊が交代で受け持っている監視区域は、新狭山池と名付けられた湖の近くに在る鉄鉱石の採掘現場を含んでいた。

 一昨日まで、12人の元奴隷と使徒がここで採掘と簡単な炉を使った製鉄をしていた。

 もっとも、彼らは今頃開催されている筈の新狭山市移行式典に参加する為に昨日の昼頃にこの集落を出発していた。

 ここで採掘される鉄鉱石は55%の鉄を含有している高品質のものだった。とはいえ、砦への13㎞の輸送の手間を減らす為に、そのまま鉄鉱石の形で運ぶよりも不純物を取り除く作業までをした上で送り出していた。

 その為に、ちょっとした建物と居住の為の住居が集落を作っていた。

 そして、護衛の為に交代制で駐屯している自衛隊が野生動物を想定した簡単な柵で周囲を囲んだため、強度は無いがそれなりの大きさの拠点になっていた。

 各監視トーチカには派遣されて来た各部隊の元の駐屯地の名前が付けられていたが、この集落は小倉駐屯地にちなみ、小倉キャンプと呼ばれていた。


 巡回中の第1小銃班からの報告を受けた小隊長の中安洋一二尉の判断も早かった。

 即座に臨戦態勢に入る指示を出した。

 もっとも、この段階ではさすがに砦には報告を上げる事は出来ない。

 5分後、第1小銃班からの報告が来た。


 巨人の軍隊を小倉キャンプから3㎞離れた地点で発見したという報告だった。


「ベースに報告。グザリガの部隊が3㎞先を侵攻中。規模などは追って連絡する」


 再び、戦端が開かれる事は確実だった。



 土中二曹は内心の動揺を部下に見せない様にしながら、脱出路を考えていた。

 周囲が行進中の巨人だらけで身動きが取れなくなっていたのだ。

 彼らが身を潜めている場所は、森の中の周囲よりも小高くなっている丘の様なところだった。

 迷彩服のあちらこちらにその辺に生えていた草を差して周りの草むらに溶け込んでいる事、巨人の視線よりも高い場所に布陣したことにより、今のところは巨人に見付かっていない。

 だが、敵のど真ん中に取り残されている状況下では生きた心地もしないのも事実だった。

 やっと巨人たちの列をやり過ごせたのは10分ほどした後だった。


「小倉キャンプに報告。多分、今のは前衛部隊だ。持っている荷物が少な過ぎる。この後に本隊が来るぞ。報告したらすぐに移動する」

「規模はどれくらいで報告しますか?」

「そうだな、500以上は居たと思う」


 前衛部隊だけで500以上と言う事は、本隊は1000を軽く超えるだろう。

 小倉キャンプに籠城する事は無意味だった。

 動物用の柵など、巨人にとっては障害にもならない。

 とは言え、あちらこちらの監視トーチカに散らばっている部隊を引き抜くとしても時間が掛かる。

 どこかで足止めをする必要が有ったが、40普連の1個小隊だけでは荷が重過ぎる。

 

「土中二曹、小隊長より、速やかに脱出すべしとの命令です」

「よし、敵の本隊が来る前に逃げ出すぞ」


 彼らは細心の注意を払いながら巨人の前衛部隊の進路を迂回するルートを選択した。

 彼らが味方に合流したのは2日後だった。

 味方に合流する頃には、全員が蛇を掴まえる腕前が上がっていた。

 

 

 



 


如何でしたでしょうか?


 第101話から10日ぶりの更新だったので筆が乗らずに苦戦しました(^^;)

 


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