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第101話 新狭山市編1-07 「新狭山市」

第101話を公開します。



20151005公開

       挿絵(By みてみん)



あらすじ

 巨人から奪った砦での生活が始まって5ヶ月が過ぎた。

 取り残された現代人は、異世界での生き残りの為に自らの意志で変革しようとしていた。

 



12-07 『新狭山市』 新星暦元年4月1日(土)朝


 その日の朝、高地の各所に築営された各監視トーチカに配備されている自衛隊員を除き、砦に居る者全てが広場に集まっていた。

 その中には、ラミス王国より招かれたデュラフィス・ラキビィス・ラミシィス王名代のルクフィス・ラキビィス・ラミシィス第一方面軍司令の姿も有った。

 

 


 基本的に現状に合わせた上で日本の法律を踏襲したが、憲法9条は改正された。

 残念ながら、この地で生き残るのならばラミス王国と共に歩むしかない。

 国連も無ければ、ラミス王国以外に交渉可能な国家が無いのだ。

 もしラミス王国が滅べば、孤立した現代人は滅亡への道を歩む事となる。

 自国のみを対象とした専守防衛だけで生き残れるほどこの地は甘くなかった。


 

 日本からの独立を意味する大阪狭山市から新狭山市に移行する宣言

 現状に合わせた形での憲法の改正(ただし、本来は削除しても構わない筈の第一章は現状と矛盾する文言は修正されたが残された。市民感情として縋るものは必要だったのだ)

 ラミス王国との同盟締結

 新たな紀年法としての新星暦と暦の制定(1年が330日のこの星にあっては365日の暦は使えなかった。10月だけが30日まで有るが、その他の月は26~28日とされた)

 金澤達也暫定市長の正式な市長への移行

 

 その他の細かな改正を宣言し、グザリガと言う巨人族が築いた砦を奪った現代人は、この日、異星で正式に都市国家としての道を歩み始める事となる・・・・・・・




「いやー、春香、アンタ、本当に偉いわ!」


 うろうろとテーブルに有る食べ物を漁っていた守春香の肩を叩きながらややテンション高めで声を掛けて来たのはクラスメートの吉井真里菜だった。

 久しぶりに口にする純粋な地球産の食べ物、戦闘糧食Ⅱ型のチキンステーキを頬張っていた春香は名残惜しそうに飲み込むと真里菜の肩を叩きながら返した。


「いやー、我ながら偉いと思うよ! 女の子の夢、玉の輿だよ! シンデレラだよ!」

「いや、違うから! そっちじゃ無いから! こんな晴れの舞台で、堂々としてるふてぶてしさの事だよ!」


 確かに広場に設置された大きなひな壇の上で、彼女は通訳として堂々と振る舞っていた。

 役目上、彼女はラミス王国から招いた王族や重鎮たちの傍に居て、ずっと通訳をしていた。


「ルクフィス第1王子って、次の王様だろ? 私ならブルっちゃうって」

「そう? 結構、いい人だよ? 愛妻家だし、この前行った時も手土産くれたし」

「くうぅ、その余裕は何処から生まれるんだろうね?」


 その時、話題に上っていたルクフィス第1王子がアラフィス第5王子を連れて少し先を通り掛かった。

 その2人の後ろには妹のプリも居た。

 

「あ、ちょうど良かった。真里菜、ちょっと待ってて」


 そう言って、春香が3人の方に向かった。

 二言三言話すと、4人は真里菜の方にやって来た。


「コンニチハ」


 思わぬ事態に固まっている真里菜にルクフィス第1王子が片言の日本語で話し掛けて来た。

 硬直した後で、3秒掛けて再起動に成功した真里菜は何とか言葉を返した。


「あ、あ、あいんふぁいんさんきゅー! は、はわゆー?」


 春香が爆笑している横で、訝しげな表情を浮かべた3人だったが、真里菜の救世主が現れた。


「ドウシタノ、デスカ?」


 春香と同じく通訳を務める事の多いムビラだった。


「あ、ちょうど良かった、ムビラ君、ごきげんようと言いたいけど、頼んでいい?」

「イイデス、ヨ」


 ムビラは流暢な言葉で3人の王族に話し掛けた。

 長い・・・ 

 ラミス王国の言葉でごきげんようは1分間も掛かるのだろうか?

 遂には会話まで始めた。

 やっと、ムビラが真里菜の方を向いたのは3分後だった。


「オワリマシタ」

「い、いや、ごきげんようって、そんなに長いの、ラミス王国では?」

「イエ。マリナサンノ、コトヲ、イロイロ、キカレタノデ、オシエ、マシタ」

「なんて答えたの?」

「イイヒト、ダト」

「やったね、真里菜も玉の輿に乗れるかもね!」


 やっと笑い終えた春香が横から口を挟んだ。


「もう、冗談はやめてよ・・・・・」


 更に口を開こうとした真里菜だったが、春香の雰囲気が一変した。

 彼女の視線が真里菜から違う方向に向いた。

 真里菜もその視線を追い掛けたが、視界に入って来たのは金澤市長に耳打ちをする自衛隊のトップの人の姿だった。

 耳打ちされた市長は、周りの人に断った上で式典会場から自衛隊のトップと一緒に姿を消した・・・・・

 




如何でしたでしょうか?


 なにやら不穏な空気が・・・・・・

 真里菜嬢が1人で居たのは、お花を摘みに行った帰りだからです。

 春香嬢が1人で居たのは、食いしん坊だからです(^^;)

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