表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
118/151

第99話 新狭山市編1-05 「青少年健全育成条例」

第99話を公開します。



20150929公開

       挿絵(By みてみん)



あらすじ

 巨人から奪った砦での生活が始まって5ヶ月が経とうとしていた。

 取り残された現代人は、異世界での生き残りの為の足場作りを進めていた。

 そして遂に、その中の最大のピース、移民団が到着した。



12-05 『青少年健全育成条例』 西暦2006年3月16日(木)午前



 ラミス王国からの移民団を受け入れるに当たり、市議会及び市役所は全住民に法律の教育を施した。

 日本の民法第七百三十一条により、婚姻は男子18歳以上、女子16歳以上からとなっているが、この事はほぼ全員が一般常識として知っている。

 だが、「大阪府青少年健全育成条例」は詳しい内容は知られていなかった。

 そこで市議会及び市役所は現状に見合う条例を特にピックアップし、周知徹底したのだ。


第一条 この条例は、青少年の健全な育成に関する基本理念を明らかにするとともに、府の基本施策を定めてこれを推進し、青少年を取り巻く社会環境を整備し、及び青少年をその健全な成長を阻害する行為から保護し、もって青少年の健全な育成を図ることを目的とする。


第二条 青少年は、社会の一員として尊重され、かつ、良好な環境の中で心身ともに健全に成長するよう家庭、学校、地域社会その他あらゆる生活の場において配慮されなければならない。


第七条 府民は、深い理解と関心をもって青少年の健全な育成に努めるとともに、青少年の健全な成長を阻害するおそれのある社会環境及び行為から青少年を保護するよう努めなければならない。


第三十四条 何人も、次に掲げる行為を行ってはならない。

 一 青少年に金品その他の財産上の利益、役務若しくは職務を供与し、又はこれらを供与する約束で、当該青少年に対し性行為又はわいせつな行為を行うこと(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)第二条第二項に該当するものを除く。)。

 二 専ら性的欲望を満足させる目的で、青少年を威迫し、欺き、又は困惑させて、当該青少年に対し性行為又はわいせつな行為を行うこと。

 三 性行為又はわいせつな行為を行うことの周旋を受け、青少年に対し当該周旋に係る性行為又はわいせつな行為を行うこと。

 四 青少年に売春若しくは刑罰法令に触れる行為を行わせる目的又は青少年にこれらの行為を行わせるおそれのある者に引き渡す目的で、当該青少年に対し性行為又はわいせつな行為を行うこと。


 更には、例え双方の合意の許であっても、男子18歳、女子16歳に達しない限りは第三十四条で禁止された行為を行ってはいけないと定めた。

 明らかに行き過ぎという批判も出たが、市議会は押し切った。

 理由は簡単であった。

 今後の発展を考えた場合、婚姻制度を強固にせざるを得なかったのだ。



 

 ラミス王国からの移民並びに留学団は、到着した翌日の朝食後に或る建物に集められた。

 以前は巨人たちが剣佐鋼隊本部として使用していた建物だった。長さ48㍍・幅18㍍の建物を内部で分割し、120名の彼ら彼女らを収容可能な2つの教室となる様に内部は改築されていた。

 生き残った市民では唯一の弁護士による日本の法律の簡単な講義が始まろうとしていた。

 プリ・ラキビィスは、新しく作られたばかりの学習机の上に置かれた支給されたばかりの帳面をじっと見ていた。


 私はある意味、『新現部族ユニヴァル』の本質に触れた気がした。

 『新現部族ユニヴァル』が上質な紙を大量に求めた事はアラフィス兄様から聞かされていた。

 その要望は、食料に劣らない程の重要さだったとも聞いていた。

 まさか、その要望の理由が120名全員に配られたこの帳面を作る為だとしたら・・・

 残念ながら、『主神に導かれて認められし一族による信徒ラミシィスたち』で文字を読める者は限られている。それは配られた帳面を開いて読み出した者が30名くらいだった事でも分かる。全員が「家名持ち」でさえ30名・・・・・

 帳面を配られる間にハルカ様に訊いたけど、『新現部族ユニヴァル』はほぼ全員が文字を読めると言っていた。

 

「という事で、あなた達は法典、『新現部族ユニヴァル』の言葉で言う『ホウリツ』と『ジョウレイ』によって守られます。何か質問は有りますか? 有れば右手を上に挙げて下さい」


 ハルカ様の言葉に右手を挙げたのは、私を含めて数名だった。


「では、プリ・ラキビィス-サン、質問をどうぞ」

「では、ハルカ様、1人の殿方に1人の妃という事でしたが、それはどの様な時も例外は無いのでしょうか?」

「死別あるいは婚姻の解消後に一定の期間を置いてならば、再び婚姻は可能です。ですが、同時に複数の婚姻は出来ません」

「その事によって家が断絶する事は無いのですか?」

「当然ですが有ります。もっともラミシィスと同じく、養子を迎える事は可能です」



 この説明会は、移民団にとって多大な影響を与えた。

 養子を迎え入れる事が可能とはいえ、最大で1巡期の差で婚姻が可能となるならば(もっとも、後で発覚するが移民団の女の子の誕生日は特定の時期に集中していた。プリ・ラキビィスが基準であった)、少しでも有利な婚姻をしなければ出遅れてしまう。

 婚姻相手を慎重に選んだ上で、速やかに婚姻に漕ぎ着けなければならない。

 恋愛を楽しむどころでは無かった。




 ちなみに、40歳台後半の弁護士の市民が彼女たちに選ばれる事は無かった・・・・・・

 

  

如何でしたでしょうか?


 異世界モノでここまで「青少年健全育成条例」が前面に出て来る小説って読んだ覚えが無いんですが・・・・ (^^;)

 念の為に書いておきますが、ラミス王国は数え年を採用していますが、移民団には砦では日本と同じ満年齢という事を説明済みです。

 それにしても、弁護士先生カワイソス・・・・・

 雛鳥の刷り込みならチャンスが高かったのですが、子宝に恵まれる可能性で選択肢から外されてしまいました(;;)

 当然ですが、mrtkも彼と同じ運命を辿ります(T_T)


累計PV 53,445アクセス 累計ユニーク12,840人

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ