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第92話 自由の矛編4-15 「王の娘」

第92話を公開します。



20150907公開

   挿絵(By みてみん)



あらすじ

 巨人から奪った砦での生活が始まって25日目。

 取り残された現代人は、異世界での生き残りの為にラミス王国への外交団を派遣する。

 王族との交渉で満足すべき成果を得た外交団だったが、王都で忙しい1日を過ごしていた。



11-15 『王の娘』 西暦2005年11月20日(日)昼



「まさか、シンリンターパン?」


 佐藤静子三等陸佐の横で、外交団団長の守貴志君が思わず呟いた。

 彼の視線の先には体高が1㍍20㌢ほどの小さな“馬”が居た。

 そういえば、私たちはこの異世界に来て初めて馬の姿を見た事になる。

 体の色は灰色で、たてがみと尾が黒い。顔は地球で見た馬よりは丸っこいと言うか、馬面じゃないと言うか、ちょっとだけ違和感を感じた。


「貴志君、シンリンターパンってサラブレットみたいな馬の種類?」

「サラブレットは人工的に品種改良されたのですが、この馬は僕の知識が間違っていなければヨーロッパに居た絶滅させてしまった野生の馬です。牛の原種のオーロックスが描かれていたラスコーの壁画にも登場しています。考えたら、オーロックスが生き残っていたんだから、ターパンが居てもおかしくないか・・・」


 そのターパンという馬は2頭ずつ1台の馬車に繋がれていた。

 馬車と言っても台車に装飾が施された布が被せられた簡単な物で、イメージ的には西部劇の幌馬車のちょっと豪華版という感じだった。15人の外交団に対して4台の馬車が用意されていた。あと3台の幌が無い馬車が来ていたが、多分警護の為の馬車だろう。

 その幌馬車に4人ずつ乗り込んで(私が乗った馬車はハルちゃんと貴志君の3人だけだった。元々大柄なラミス王国人が向い合せに4人で乗る様になっていたので広々としていた)、向かった先は王城の横に造られた小さな林の中に建てられた2階建ての木造の屋敷だった。

 この屋敷はローマンコンクリート(みたいなもの)で造られた王城よりも寛げそうだ。

 強いて言うならば、同じ敷地内に在る別荘みたいな物?

 気になってハルちゃんに訊いたら答えは意外な物だった。


「こっちに住んでいるのは、デュラフィス王の奥さんと三女だけだって。男の子供は6歳になったら王城に引っ越すみたい。その際に儀式が行われて王位継承権もその時に授けられると言う伝統があるみたい」

「やけに詳しいわね?」

「昨日のパーティの時にアラフィス君に教えてもらったの」


 バクハツシロ・・・・・


「ふ、ふーん・・・ でも、それって、小さな子を母親から引き離すって事よね? 結構スパルタなんだ?」

「まあ、引き離すと言っても、成人するまでは週に一度は会えるし。今みたいに前線暮らしだと無理だけど、逆に王都に戻った時は時間さえあれば好きなだけ会いに行けるって」

「でも、一緒に住んでいる愛娘が砦に来たら、奥さん寂しくなるんじゃない?」

「その辺は第1王子と第2王子の奥さんと子供たちが上手い事するみたいだよ」


 恐るべし守春香・・・・・・

 たった一晩で許嫁の家庭事情をここまで探ってしまうとは・・・・・・

 

 多分執事の様な立場の人だろう中年男性の案内で屋敷の敷地に入れてもらった私たちだったが、屋敷に入らずに向かった先はちょっとした庭園だった。

 そこには10人ほどが座れそうな大きな丸テーブルが2つ用意されていた。

 その一つに王族が勢揃いしていた。

 ハルちゃんが王族に対する拝礼をしたので、私たちも同じ様に拝礼をする。

 デュラフィス王が何かを言ったのに合わせてハルちゃんが拝礼を止めたから一瞬遅れて私たちも立ち上がった。

 どうやらテーブルに座る席次は事前に決められていた様だ。

 ハルちゃんの指示で外交団はそれぞれの席に座らされた。

 もっとも、護衛役の特戦群の9人は執事さん(仮)によって屋敷の方に連れられて行った。

 私の同席はハルちゃん、貴志君、王様、アラフィス第5王子に女性陣4人だった。

 王様の奥様はおっとりした印象のおばさまで品が有った。育ちが良いのか、性格かは分からない。

 長女はやや垂れ目で20台半ばといった所だろう。うん、美人さんだ。

 次女はやや勝気な性格が顔に出ていた。まあ、キツイけど美人さんだ。

 問題の三女だが、お持ち帰りは出来ないだろうか?

 もうね、ハルちゃんを見る目がキラキラして眩しいくらいだ。

 何回も父親と母親を見て、早く紹介してくれって目で訴える仕草が堪らない。

 その視線に耐えかねたのか、王様が苦笑をしながらいきなり三女から紹介しだした。

 

「我が三女のプリだ。長い付き合いになるだろうから、よろしく頼む」


 え? プリって確かラミス語で3という意味だったはず・・・


「プリです。噂の『ラミシィナの双剣士』にお会い出来て光栄です」


 その後、ハルちゃんは翻訳をせずにプリちゃんと二言三言会話を交わした。

 もうね、プリちゃんの目がキラキラし過ぎて、屈折率がダイヤモンドもビックリなほどになっているんですけど?

 業を煮やした王様が強引に長女を紹介した。


「我が一女のリラだ」


 長女の名前も、次女の名前も、数字の1と2を表す言葉だった・・・


 以前にハルちゃんが言っていた言葉を実感した。


『この国では女性の地位が低いから』


 その通りであった・・・・・・


 男社会の自衛隊で、男以上に軍医としての仕事が出来る私に喧嘩を売っているのだろうか?

 

 


如何でしたでしょうか?


 だんだんシズさんの描写というか、性格と言うか、扱いと言うか、それが酷い事に・・・・・ (^^;)

 

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