表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
104/151

第87話 自由の矛編4-10 「ムビラ君の暴露」

第87話を公開します。



20150820公開

   挿絵(By みてみん)



あらすじ

 巨人から奪った砦での生活が始まって24日目。

 取り残された現代人は、異世界での生き残りの為にラミス王国への外交団を派遣する。

 王族との会見で満足すべき成果を得た外交団だったが、最後に守春香が全てを掻っ攫って行った。



11-10 『ムビラ君の暴露』 西暦2005年11月19日(土)夕方


 お披露目会場は熱気に満ち溢れていた。

 ネキフィス第3王子とアラフィス第5王子の王都帰還に合わせて行われた凱旋式典にいきなり登場した挙句、人間業(これは人類種を超えてという意味だが)とも思えないパフォーマンスを披露した新たな二つ名持ちが居るのだ。

 主役を掻っ攫ったハルちゃんは会場のどこかに居るのだろうが、ずっと姿を見ていなかった。

 そして、代わりに主役を掻っ攫われた立場のネキフィス第3王子とアラフィス第5王子が連れ立ってやって来るのが見えた。

 えーと、言葉が分かんないだけど、どうしよう?

 あ、そう言えば、ムビラ君、ちょっとだけどラミス王国の言葉を喋れるとハルちゃんが言っていた・・・


「ムビラ君、通訳頼める?」


 ムビラ君はこっちを見上げた。


「センセイ、ツウヤクトハ、ナンデショウカ?」

「ラミス王国の言葉を日本語に変えたりする事だけど、お願いしていいかしら?」

「カンタンナ、コトバナラ」

「うん、それで良いわ」


 2人の王子は私たち外交団の手前で止まって、左手で持っている金属製のカップを少し持ち上げた。

 多分、乾杯の挨拶か、それとも飲んでいるのかの確認だろう。

 私たちも同じ仕草をした。

 王子が2人とも頷いたので、多分、返礼としては正しかったのだろう。

 というか、こういう場では頼りになる筈の貴志君が居ないのはちょっと心細い。

 おっと、ムビラ君が王子達に何か話し掛けている。

 今回の訪問で分かったが、ムビラ君ってかなり賢い。

 しかも、年齢の割に堂々としているというか、物怖じしないというか、意外と大物だと思う。

 あれ、なんか、ムビラ君、滅茶苦茶流暢に喋っていない?

 でも、なんか、王国の言葉とは違う気もするのだけど?

 王子達の反応は驚きだった。そして、いきなり左足を地面に着けて頭を垂れた。

 そんな王子達にムビラ君が少し言葉を掛けると、王子達がやっと立ち上がった。


「ムビラ君、今、何が起こったの?」

「カレラニ、ラミノシュクフクヲ、サズケルギシキヲ、シマシタ」

「あ、そうか、ムビラ君、使徒の司祭だもんね。忘れてた。そう言えば言葉がスラスラと出てたみたいだけど?」

「ワレラノコトバ、デスカラ。フタリトモ、ワレラノコトバヲ、ハナセマス」


 どうやら、ラミス神国の言葉を王族は喋る事が出来るみたいだった。

 私たちの会話が終わるの待って、ネキフィス第3王子が園田副団長に話し掛けた。

 それをムビラ君が日本語に訳してくれた。

 

「フクダンチョウ、キズノ、ガイハ、ナイノカヲ、キイテイマス」

「雨が降ると少し疼くし、変な方向に力を入れると痛いけど、それ位かな? まあ、一旦切断された筋肉と皮膚を繋ぎ合わせた訳だから、ある程度の違和感は仕方ないかな」


 ムビラ君の言葉に頷いたネキフィス殿下は今度は私に言葉を掛けた。


「イチニチニ、ナンニンノ、リョウリガ、カノウカ、キイテイマス」


 料理? 何人? 意味が分からず、答えられずにいると、助け船が出された。

 ロバート・J・ウィルソン大尉だった。


「佐藤先生、多分、料理と言うのは手術の事では?」

「あ、なるほど! 大尉、天才ですね」

「いや、私も日本語の言い回しで失敗した経験が有りますから」

「ムビラ君、通訳お願い。多い時で20人くらいだけど、難しい手術ばかりだと10人も行かないって」


 私の答えにネキフィス殿下は頷いた後、再度質問をした。

 

「フクダンチョウノ、リョウリハ、ドレホド、カカッタカ? ト、イッテイマス」


 ふと、手術台の上に寝ている園田副団長に塩コショウを振り掛けている自分の姿が脳裏をよぎった。その想像を強引に封じ込めて答えた。


「1時間くらいかな」


 ネキフィス殿下はまた頷いて、再び左手のグラスを掲げた後で、アラフィス殿下と共に隣のグループに移動して行った。

 やはり、王族相手の対応は精神的に疲れるのか、みんなの雰囲気が緩んだ。

 本日一番の爆弾はその直後に投下された。


「ソウイエバ、ハルカ様モ、タカシ様モ、ミナ様ニ、イッテイナカッタ、デスガ、サキホドイタ、あらふぃす様ト、ハルカ様ガ、ムスバレル、ヨウデス。タタカイノ、バデ、あらふぃす様ガ、イッテ、イマシタ」



 なんですと?!? 



 


如何でしたでしょうか?


 夏風邪でボーとしながら書いたので、なんだかいつもの文章と違う気がしないでも無かったり・・・・・

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ