プロローグ
20150305公開
この高度の風は割と安定していた。
巨大な剣を身体の前で固定しているだけの私と違って、陸上自衛隊の無線機を身体に固定している為に空力特性が変になっている従姉の飛行も危なげが無い。
周囲は未だ暗闇の中だったが、東の地平線は微かに赤らみ始めていた。
従姉のユリネェとの編隊飛行もそろそろ終わりだった。
『ハルちゃん、準備はいい?』
従姉がトランシーバーで呼び掛けて来た。
「うん、私はいつでも行けるよ」
『作戦開始10分前。そろそろ降下に移って』
「了解。後は任せるね、ユリネェ」
『うん、分かった。 無茶はしないでね』
「可能な限り無茶はしないよ。じゃ、行くね」
『気を付けて・・・』
私はファンの造成を解除して、補助翼を代わりに造成して“飛行”から“滑空”に移行した。
1000㍍下の、敵たる“巨人”の砦をチラっと見た。
動きはさほど見られない。
野晒しで寝かされている市民たちに目をやると、留美の姿が目に入った。
『もう少し待っていて・・・・・ 絶対に助けるから・・・・・』
大阪府立登美丘高等学校2年3組出席番号31番、守春香は異星の空を駆けながら親友に誓った・・・
如何でしたでしょうか?
このプロローグは2015年3月5日に追加されたものです。