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食べ過ぎてしまったおかず @ 浅葱

 中国歴史が好きだ。その一念で北京の大学に行った。

 決して北京大学ではない。私はそんなに頭がよくない。


 あれは大陸で半年暮らし、制度が変わったせいで大学2年になった春のことだった。

 クラス編成が行われ、同じクラスには7人の日本人が入ってきた。当然のことだが異国での同郷というやつでごはんを食べにいくぐらいは仲良くなった。

 だがそれはワナだったのである。


 彼らとごはんを食べに行くと、必ず彼らは「地三鮮」という料理を頼んだ。

 これはじゃがいもとピーマン、茄子を炒めた料理で日本人に大好評な中国の家庭料理である。

 私も好きでたまに頼んで食べたものだった。

 だが、よく考えてみよう。

 彼らのうちの誰かと食事に行くと必ずこの料理を頼まれるのである。

 下手すると毎日この料理を食べるのだ。

 いくらなんでもこれは辟易した。好きな料理にも限度というものがある。

 けれど時折やんわりと「たまには他の食べてみない?」と聞いても、「じゃあ違うのも頼んでね」という話になる。中国の食事はめいめいではない。大皿で取り分けるのが普通だ。

 そんな生活が約半年続き、もう「地三鮮」を見るのも嫌になってしまった。

 それから残りの2年半、私は中華料理屋でついぞその料理を頼むことはなかったのである。


 卒業してしばらくたってからも私は個人で中国語の勉強はしていた。

 今は休刊になってしまった中国語ジャーナルを愛読していた。

 その雑誌には必ず毎回中華料理の料理レシピが一つ載っている。毎回楽しみにチェックしていて、作れそうなものなら作っていた。

 ある夏も近くなった月に届いたそれに載っていたレシピは、苦い思い出とともに食べなくなってしまった「地三鮮」のレシピだった。


 そういえばあれから食べていないなと思い、材料や調味料の在庫を調べてどうするかを考えた。

 元々は好きでたまに頼んでいた料理だ。

 食べすぎて嫌になっただけ。

 ならばもう何年も食べていない今ならまたおいしく食べられるのではないだろうか。


 おそるおそる作ってみた。

 油たっぷり、オイスターソースと醤油をベースに味付けられた野菜炒めは、あの頃食べたおいしい「地三鮮」だった。

 ごはんが何杯でもいけると思ったあの「地三鮮」であった。


 夏野菜を使ったレシピなので常には作らないが夏になると何度か作る。

 そう、おいしいものはたまにだからいいのだ。

 毎日おなかいっぱい食べてはいけないのだと「地三鮮」を作るたびに思う。

 あの頃を思い出して懐かしがるのもたまにだからいい。


「地三鮮」は苦い思い出と同時に楽しかった青春の日々をも思い出させてくれる。

 そんな、重要なおかず。


レシピ:


地三鮮(disanxian・三種野菜の炒め物)


(材料・4人前)

じゃがいも 中3、4個

なす 4本

ピーマン 4個

長ネギ 10cm

にんにく 1片


(調味料)

オイスターソース 大さじ3

醤油 大さじ2

砂糖 大さじ1

鶏がらスープの素 小さじ1

胡椒 少々


水溶き片栗粉 大さじ1に対して水大さじ2


1.じゃがいもは4つに切って、3、4ミリの薄切りにする。なす、ピーマンは乱切り、長ネギ、にんにくはみじん切りにする。


2.フライパンに大量の油を熱し(これ多すぎるかなと感じるより多いかんじで)、長ネギ、にんにくを炒める。香りが立ってきたらじゃがいもを炒める。油がよく絡まったらナスを加え炒める(強火~中火)


3.じゃがいもが柔らかくなったらピーマンを混ぜ、水溶き片栗粉以外の調味料を全部入れて炒める。よく調味料が絡まったら水溶き片栗粉を加え、ざっくり混ぜて出来上がり。


季節外れですが、ごはんのおともにどうぞ!


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