パン屋さん @ かなめん
今も、夢で見る近所のパン屋さん。
僕の小学時代の話だ。
◇◇◇
パン屋の名前は、○○ベーカリーと言った。そこのチョコレートパンがとにかく絶品だった!
ドーナッツが2つつながっていて、∽形をしていた!別名、メガネパン。カリカリに焼かれたパンにチョコレートがかけられていた。
僕は、パンのミミも大好きだ。あちこちのパン屋さんのパンのミミを食べたが、パンのミミも、この○○ベーカリーには敵わなかった!絶妙な固さ、そしてしっとり感に、かじっているとウットリしてしまうのだった。
○○ベーカリーには、他にも、クリームパン、ジャムパン、アンパンなどあった。どれも、本当においしかった。
そうそう僕は、○○ベーカリーのおかげで、食パンを食べられるようになったのだ。その影響はすごく、今でも、食パンをそのまま食べてしまうほど!よく妻に……
「なんにもつけないの~!」
と、目を丸くされてしまう!が、僕の中で……
『食パンはそのままでも美味い!』
と、インプットされているのだろう。(でも実は、子どもたちもそうで、もしかして遺伝!?)
本当に、近所でも評判のパン屋さんだった。しかし、そんな○○ベーカリーだったが事件が起こった!パン屋さんのある一帯が、大火事になったのだ。原因は放火だった。燃えてなくなったパン屋を見て、もうあのパンは食べられないと悲しくなった。
しかし!しばらくして、○○ベーカリーは復活した!!近所の声援もあり、もう一度、店舗を構えたのだ!待ちに待った、新装開店日。○○ベーカリーの前は、長蛇の列だった!!
◇◇◇
時は流れ、20代半ばの時だった。久しぶりに実家に帰った時に、あのパンを食べたいと思い通りに出た。でも、探しても探しても、パン屋さんはなかった。
実家に戻って、婆ちゃんにパン屋の事を聞くと、バブルでの地価高騰や、後継者の問題などで、○○ベーカリーは、閉店になったのだと知ったのだった。
今は無き、あの味。いつかどこかで、またあの味に会えるかな?と思うけれど……
今だ、あの味には出会えていない。
おしまい