第五話「はたらきたくな~~い」
「安東家の秘密」……その最大の秘密は、当主の『やる気のなさ』だった!?
緊迫した情勢の中、新当主が放った一言……『○○だったら○○だよね?』
何気ない一言が東北の勢力図を(変な方向に)揺るがします。
動画化にあたりタイトルを少し変えてます
「はたらきたくな~~い」
畳の上で、新当主はごろりと寝転がっていた。
「はたらきたくな〜い……」
影武者と玲夢が同時にため息をつく。
「当主の仕事って何?書類整理?年貢の管理?調停?管理ばっかりじゃない……やだ……」
襖が静かに開く。
「最上殿より文が届きました」
用人が一礼する。
「南部攻略の際、我らに兵を貸してくださるとのことです」
「は?」
玲夢と影武者が顔を上げる。
「どうして……?」
新当主は畳に寝転んだまま、腕を枕にしてにやりと笑った。
「それそれ。“最も上”でしょ?日の本で一番上は蝦夷地だよって言ったら、なぜか気に入られちゃって」
「それは挑発では……?」
玲夢が当主を睨みつけながら怒りとも呆れともとれる表情で言った
「違う、違う。応援だよ!?」
全く悪びれる様子もなく新当主は
胸を張ってそう答えた
「……一つ、気になることが」
奥に控えていた用人が、静かに口を開いた。
「南部との関係は確かに良くはありませんでしたが、ここまで本格的な侵攻はなかったはずです」
新当主の肩がぴくりと跳ねた。
「ギクッ」
玲夢の視線が、音を立てるかのように突き刺さった。
「今の“ギク”は何?」
「いや、その……南部だから薩摩へ国替えすればいいって」
沈黙。
「……何だと?」
玲夢の声が低くなる。
「え?なんか変なこと言った……あ!」
新当主は跳ね起きる。
「そうか! 本当に“南部”なら薩摩じゃなくて琉球だった!中途半端な南だったから怒ったんだ!」
影武者と用人が同時に言う。
「論点はそこではない」
玲夢が立ち上がる。
怒気が空気を震わせる。
「……切腹して詫び入れろ」
静かな声だった。
だが冗談ではない。
新当主が青ざめる。
そのときだった。
「南部が国境を越え――
先遣がすでに三里以内に迫っております!」
家臣の一人が勢いよく襖を開けながら言った
その横で、影武者が天井を仰ぐ。
「……使える家、間違えた……」
用人がわずかに口元を緩める。
「奇遇ですね。私もそう思います」
遠く、出羽。
文を手にした最上が、口元を歪める。
「安東め……面白い奴よ」
最上は文を畳み、静かに命じた。
「南部にも、同じ文を送れ」
「――火種は、大きい方がよい」
静かな笑いが、部屋に溶けた。
第五話、お読みいただきありがとうございました。
さて、ここでお知らせです!
3月10日(火)19時、YouTubeにて『安東家シリーズ』の第一弾動画が開幕しています。
⇒https://youtu.be/k5rvqDaJja8
今回の小説1〜4話の内容を、AI映像とボイス。小説では描けなかったキャラクターの表情。
(あとちょっとだけのゲームの攻略情報)
映像ではどう描かれているのか……ぜひその目で確かめてください!




