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とある勇者の異世界戦記

作者: 北村 清
掲載日:2025/12/06

世界に崩壊の危機が迫っていた。

長く沈黙を守っていた魔王が急にまた活動を開始したのだ。


魔王を倒す為の勇者が必要とされていた。


「その勇者に選ばれたのは貴方だ!」

と、案内人は言った。


「風呂からあがった直後に召喚すんなーーっ!」

裸にバスタオルを巻いただけの少女は、案内人の後頭部を踏みつけた。



「どうか、どうか僕達の世界をお救いください!貴方にしか僕達の世界を救う事はできないのです。」

案内人は、跪いてそう言った。

「そんな、どうして私が⁉︎私はどこにでもいる清く貧しい、前科が無い事だけが取り柄の普通の女子高生なのよ!」

少女は案内人が用意してくれた服を着ながら聞いた。


「それは貴方が、17年前の4月4日。運命の日に生まれた子供だからです。」

「ええっ!その日に何が⁉︎」

「僕達の国で最も権威を持つ大神官が、餅を喉に詰まらせて死にかけたんです。」

「元の世界に帰してください。」



「魔王を倒さない限り元の世界に戻る事はできません。」

と案内人は言った。

「ざけんな、この誘拐犯!」


・・30分後。何とか案内人は勇者を説得した。


「ああ、でも行きたくないよー。やだよー。めんどくさいよう。」

「元気を出してください!もしかしたら魔王というのは、目元の涼しい髪の毛さらっさらの吉沢亮のような国宝級イケメンかもしれないじゃないですか。」

もしそうだったら、案内人の方をってしまおうと勇者は思った。



「で?何をどうしたら魔王って倒せるの?」

と勇者は尋ねた。

「まず、東西南北を司る仙女を探し出します。そして彼女達が持つ鍵を譲ってもらい、勇者だけが使える最高仙術の巻物の封印を解きます。」

「へー。」

「しかし、仙女達を探し出すのが大変なのです。彼女達は世を捨てた隠者。数多の山を越え谷を越え艱難辛苦を偲び・・・。」

「ねえ、これ何て読むの?」

勇者が指差した先に

『東南北の仙女主催・お花見大会』

と書かれた垂れ幕があった。



「ちょっと中に入って来る。」

と言って勇者は桜が満開の公園をさっさと歩き出した。

「ああ、待ってください。一人でさっさと行かないで!」


「ほーっほっほ!いきなりですが魔王の僕スーガー登場。」

魔王の僕が案内人の前に現れた。


「というわけで、いきなりだがお前を鳥に変えてやる!」

案内人はブサイクな文鳥になってしまった。


「そして、あたしがおまえの姿に化けたら勇者を簡単に亡き者にできるわ。」

魔王の僕は案内人にどろんと化けてしまった。


「ちなみに勇者が自力でこの入れ替わりに気が付かない限り、おまえは二度と人間の姿に戻れないのよ。」

「違う!僕はもう少し目が切れ長だし、鼻も1ミリ高いし。」

「やかましー!あたしだってねえ。どうせ化けるならあんたみたいな十人並みの男じゃなくて横浜流星のような超イケメンに変身したかったわよー!」



魔王の僕は、勇者に近寄って行った。


「遅いー。いったい何をしていたの⁉︎」

「すみません、勇者様。ところで鍵は譲ってもらえそうですか?」

「それが、仙女様達三人揃ってお酒飲んですっかり酔っ払っていて、何か芸をしろとうるさいのよ。なので、あなたこの前私に見せてくれた芸を披露してくれない?」

「承知しました。任せてください。」


あんな奴がする程度の芸なぞ、天才のこの私には造作もないこと・・と魔王の僕は内心思った。


「ところで、どんな芸でしたっけ?」

「鼻から家系ラーメンを食べる芸。」



「さあ、早く!」

勇者は魔王の僕の服を引っ張った。


「ちょぉっとお待ってくださいっ!今日は調子が悪くて!」

「そうなの?じゃあ、目から牛乳を出す芸をやってよ。」


乳牛じゃあるまいし、そんなモン出せるか!

と魔王の僕は思った。

というか、乳牛だって目からは出せないだろう。


「それもできないと言うの?あなた本当に案内人なの?偽物なんじゃないの⁉︎」

勇者がそう言った途端、文鳥が人間に戻った。


「おお、戻れた。」


「ふっ、バレてしまっては仕方がない。そう、あたしは魔王の僕スーガー。人は私を蒼氷の死神と呼ぶ。」


一番最初にそう呼んだ奴の知能指数は30以下だろう。と勇者は思った。



「それでは、また会おう勇者よ!はっはっはー。」

魔王の僕は煙のようにかき消えた。


「嫌だ。」

と、勇者はつぶやいた。


「ふー、恐ろしくはないが嫌な敵だった。じゃあ、勇者様。鍵をもらいに行きましょう。」


勇者は3つ鍵を手に入れた。


「ところで西の仙女は何でいないのですか?」


「一応誘ったのだけど。」

と東の仙女は言った。

「来れたら来る、と言っていたのだけどねえ。」

と南の仙女が言った。

「彼女は樹懶だから。」

と北の仙女が言った。


西の仙女はナマケモノらしい。



西の仙女の家を教えてもらい、勇者と案内人は旅を続けた。


「それにしても、みんなのんきにお花見とかしているし、平和そうに見えるんだけどなあ。」


勇者の言葉に案内人はギクっとした顔をした。


「本当の危機とは大衆の知らぬところで進行するのです。」

「仙女は大衆じゃないでしょ。あ、誰か散歩している。」


西の仙女だった。


「はじめまして、勇者様。勇者様が訪ねて来られる事はSNSで連絡もらっています。」

「仙術じゃないんですね。」

「どうか私の事はナーちゃんとお呼びください。」


何故?と勇者は思った。




『ナマケモノ・哺乳綱、有毛目、ナマケモノ亜目・怠け者過ぎて体に苔がはえる事がある』


『鹿・哺乳綱、鯨偶蹄目、シカ科・苔が大好き』


「私は昔、厳島神社に行った時鹿に噛まれましてね。」

「日本のですか?」

「それ以来、あだ名がナマケモノになったのです。」

「心の底からどうでもいいので鍵をください。」




勇者は四つの鍵を手に入れた。



勇者は仙術を使いこなす為猛特訓をした。



勇者は魔王城へ向かった。




「魔王城に来たのはいいけれど、広過ぎてすっかり迷ってしまった。案内人ともはぐれちゃったし。ほんと重要なところで役に立たん案内人だな。」


勇者は自力で大広間にたどり着いた。


「ここまでよくお一人で来られました。ご立派になられましたね。」

大広間には案内人がいた。



「実は今まで秘密にしていましたが、私も魔王の僕の一人なのです。」


「やっかましいわーーーっ!どうせまた、雑兵の貧乏神とかいう奴が化けているんだろうがーっ!」


勇者は最高仙術をぶっ放した。




「まったく、もう、姑息な手を。」

「うーん。すごい事をするやっちゃなあ。」

魔王の僕のスーガーが蒼ざめながら顛末を見ていた。


「あー、おまえ雑兵の!」

「蒼氷だから。ちなみに、こちらが魔王様です。」

スーガーの後ろに美しい人がいた。


魔王は女性だった。



「いやー、もう魔王になって20年経つのだけどね。さすがに魔王やっているのももう飽きちゃって。後継者に跡を譲ろうと思ってね。で、後継者を決める試験として勇者を育成させてみる事にしたの。アイドルを育てたり、モンスターを育てたりするゲームと一緒だよ。なんだけど。」


魔王はえへ、っと笑った。

「育ち過ぎちゃったかな。」


「息の根が止まってますもんね。」

とスーガーが案内人を見て言った。


「私の時間を返してください!」

勇者の悲しい声が魔王城にこだましていた。

最後まで読んでくださりありがとうございました

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読んでくださったお一人お一人に心から感謝します^_^

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