■悲恋01■
私は血で赤く染まった彼の体をぎゅっと胸元に抱き寄せた。
「なぁ…俺…間違ってなかったよな…? お前のこと…守れたよな…?」
彼の手が震えながらそっと私の頬を撫でる。
「うんっ…うん…っ!」
力なく発せられた彼の声に、私はボロボロ泣き崩れながらコクコクと頷いた。
「…ははっ…そっ…か…。…よかっ…た…大事な…お前のこと…守れて…」
苦しそうに息を吐きながら、彼がふっと微笑んだ。
「レイっ…レイ…」
彼がどこか遠くへ行ってしまいそうに感じ、
私は頬に置かれた彼の手に自分の手を重ね、愛おしそうに頬を擦り寄せた。
「俺…幸せだったよ…お前と…一緒にいられて…。過ごせて…」
口から血が伝う。それでも彼は微笑んで私を見つめた。
「…あり、がとう…俺の…大好きな…」
段々と彼の目が光を失い、ゆっくりと閉じられていく…
「……もっ…と……ずっ……と……いたかっ………た…」
パタリと、彼の手が地面に落ちた…
「レイっ…レイっ…!!! いや…お願い…目を開けて…っ」
彼をぎゅっと強くかき抱く。
だが、もう二度と彼は優しく抱き返してはくれなかった…。
「レイ…レイ…レイぃぃ……」
彼を強く抱いて、ただただ彼の名前を繰り返した。
応えて欲しくて…
また目を開けて欲しくて…
でも…彼は静かに目を閉じたまま動いてはくれなかった…。
「あぁ…あぁぁ…あぁぁああああああ!!!!!」
ただただ…張り裂けそうなほどに声を上げて泣くしかなかった…
もう二度と帰ってこない彼を想って…
………
……
…




