■『魔女』という免罪で処刑される直前の『ただの特殊能力少女』■
背中で縛られた手首に、縄が食い込む痛みがやけに鮮明に分かる。
処刑の日・執行時刻ーー。
石畳の廊下に、二人分の足音が響く。
一つは私、もう一つは、
私の手首の縄を持って後ろからついて歩く幼馴染の騎士。
ただ、無言で歩いていく。
私の命が終わる、あの処刑台へとーー。
一体、なにがいけなかったのだろうか?
彼を助けるために、この能力を使ったこと?
あの日、あの時…
周りの人たちは私を見て、震え、怯えた。
『魔女』だと…。
私は、彼を助けたかっただけなのに…
そんなに罪なことだったのだろうか?
いまだに分からない。
私のしたことは本当に…
正しかったのか…
間違っていなかったのか…。
でも、後悔はしていない。
今、この後ろにいる、
私の幼馴染の彼を助けられたのだから。
幼馴染の騎士「俺は…」
廊下に響く二人の足音に、小さく弱い声がぽつりと吐き出される。
幼馴染の騎士「…俺は…今でも、信じている。
お前は『魔女なんかじゃない』って…。」
下を向いて歩いたまま、小さく呟く。
幼馴染の騎士「でも…俺には覆せるものなんて何もなくて…。」
苦しそうに声を絞り、歯を食いしばった。
私「うん。分かってる。リオンが私を信じてくれてるってことも、
今、すごくツライってことも。」
歩きながら、ただ静かにそう答える。
…
けたたましく人々の騒ぎ立てる声の響く広場へ着いた。
その中央に、処刑台が静かに姿を現した。
私(私は…魔女じゃないのに…あれに命を奪われるのか…)
力なくその中央の処刑台を見つめ、ゆっくりと進んでいく。
処刑台の前へ辿りつき、横にいた執行人が、
私の首を無表情で処刑台の台座へと押し当てる。
執行人「これより、魔女の死刑を執行する。」
抑揚のない声が広場に響く。
私「……っ」
私(あぁ…終わるんだな…私…
なんでなのかな…
私…なにも悪いことなんてしてないのに…。)
心の中で、そう泣いた。
幼馴染の騎士「……ごめん…。…ごめんっ…!!」
まるで、小さい子が何かを我慢して泣くような声が、
後ろの方で小さく聞こえた。
私(うん…。
最後に聞こえた声が…
あなたで良かったよ…リオン)
頭上から、無機質な金属の鋭い音が、
大きく聞こえた気がした…。
ーーーッ。
……
…。




