30話目:優しい束縛
そこを見渡す視界となるが、極太巨大な伸ばされた教鞭のような外観。
その壁におおわれているような、その壁を突き抜けたかのような巨木。
樹の幹や枝も太く、わさわさと葉の付き方も美しい。
そしてそれだけで少し怖がるひともいるだろうなと思うような泉的な水量に満ちてる。
なんのために建てられたのだろう、とふと思う。
荘厳にそびえたつ謎の建物かモニュメントを別の棟から見下ろし気味の風景。
ただ、ふと脳裏をよぎる「古代兵器」というフレーズ。
まさか、そんなわけはないだろう、とひとりで苦笑しようとした時。
思わず目をぱちくりさせた。
隣に白いローブを着た、小柄な白髪の老人の気配がする。
振り向いていないのに、その姿をしているような気がする。
身丈ほどもある魔法の杖を片手に、その老爺は言った。
「 」
目をさましたあと、ベッドに横になっている俺の看病をしてくれていた家族。
そして俺は思わず、家族と医者と見舞いの花束などの部屋の光景に泣きたくなった。
夢の中で見た老爺は、夢から目覚める瞬間こう言った。
「大丈夫だ。お前とお前の腕前を愛しているひとたちの元へ帰りなさい」
腕前とは作品や雑記のことだろうか、とぼんやり思う。
すると夢の続きかのように、老爺の声がした。
そうだ、そのことだよ。
お前はな、作家として許さないものを感覚でもう決めてある命だ。
だから助かった・・・なぁに、我々の気まぐれよ。
倒れている俺を更に襲おうとした「タオ」を追い払い役人に証言をしてくれたのは、
いつも俺には挨拶をする近所の不良たちだったと聞き知って、胸元が熱くなった。




