27話目:★満開の桜に似合う酒
一陣の風が吹くと、目の前でも花弁がひらめいた。
満開の時期を迎えた桜の木は濃淡のある花曇り並木をほこっていた。
すでに太い枝に木登りをして、酔っている美女が眠そうに枝にもたれている。
とても気持ちよさそうでうらやましいが、反面呆れた。
うとうとしていて今にも落下しかねない美女のもとに歩む。
目を少し開けて、「嗚呼、お前か」と言わんばかりに安心してまた目は閉じた。
片足をぶらぶらとさせて、危っかしい。
見上げる形になるのだが、今日は快晴で、花曇りから逆光がする場所だった。
四方八方に放射線を見せる光に、目がくらむ。
おっと、と、めまいがしたのを、美女がいつ起きたのか少し笑った。
酔っているのか、と思ったのかもしれない笑い方だった。
こちらはまだ、一滴も飲んでいない。
今回の花見には楽しみにしていた好みの酒が出てくる。
逃したくないな、と思った。
その時に美女が婆の予見通り枝から落下するものだから、当然抱きかかえることに。
自分的に許容内の重さだろう、と本能的に思う。
何かあった時に、と思ったか思いそうになって、なんでだろう、と不思議な心地だ。
この女は別の男のものであるのに、ずいぶんと抱えてる分の体温が気になる。
前に微熱症だと聞いていたが、こんなに衣の分量があるもの苦しくはないのだろうか。
自分だったら、この女にどんな衣を着せよう、と空想しようとしてしまった。
それくらいの自由があったらいいのに、と思った反面、目を彼女からそらした。
今日は楽しみにしていた好みの地酒を飲みたいだけだ。
そう自分で内心言い聞かせていないと、妙に気になる女に気づいてしまった。
酒気で酔っているのだろうか?
酒には強い方だと思う。
この女に涙目でせがまれたら自分は言うことを聞くのだろうかとかいかぶった。




