26話目:★キノコ街道
旅の途中、さしかかった珍しげな道。
キノコ街道と呼ばれていて、その名の通りキノコが特徴的な場所だ。
その大きさは、小ぶりなものでもひとの身丈ほどもある。
見上げると更に大きなもの、更に更に大きなもの、と発見していく。
それは生きていて、暮れて来たこの時間、カサの下が淡く発光している。
人工的な建築物もちらほらとあるものの、占領しているのはほぼキノコの区域。
昔街だったことから、キノコ『街道』と呼ばれている。
この道を渡り切ってしばらく歩くと宿があるそうだ。
普段からあまり、人の行き来はないらしい。
旅の疲れで足が痛くなってきたので、小さなキノコが椅子に見えて来た。
それで胞子でも飛ばされたら終わりだ。
テーブルや椅子用に育てられたわけでもない天然のキノコ。
なので座るのははばかられた。
キノコの胞子はひとに感染するから、早くこの道を通り過ぎたかった。
フードマフラーをしているし、今夜は胞子を飛ばす日ではないらしい。
階段をのぼって、石橋を渡り、家屋すら凌駕する巨大キノコを少し観察。
来た道をふりかえってみた。
するとわずかな淡い光が所々灯っていて、なかなか幻想的だと思った。
別の区域にある宿に、冗談めかして「食べれたらいいのにね」と言ってみた。
「お嬢さんすごい観察力だね。あれは昔食用だったやつの亜種なんだよ」
「食べるこころみをしたの?」
「そりゃしたさ。ただ、仕方なく天啓通りキノコ街道の苗床になった」
「それは・・・お悔み申します」
宿が出したのは亜種じゃない食用キノコ。
苗床の話をされたあとで箸でつまんで観察したが、光っていたやつとそっくりだ。
おそるおそる食べてみると、なるほど天罰があたりそうな程、美味なものであった。




