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アリアスの雑記帳「メヴァンディーニ」  作者: アリアス・サカユ
13/31

13話目:花帽子


 寄り道でもしようかな、と、知らない山道を歩く。


 小さい頃、間違えて送られて来た手紙に親切をしたら文通がはじまった。


 その文通相手が、ここらへんにいる筈である。


 今はもう引っ越しているかもしれないな、と予測はしているが遊歩したい。



 緑色の木々の背景に、なかなか長い川があって小雨が降っていた。


 踏み固められた山道は居住地区沿いらしいが、人気はない。


 どうやら、『元居住地区』かもしれない。


 傘がないので、雨宿りをさせてもらおうかと思った。


 するとうしろに気配がいくつもしていて、何者だろう、と動揺した。


 そこにいたのはアヒルの親子。


 なんだアヒルか、可愛いな、と思ったのをとらえたのか親鳥がこちらを見た。


 なんだアヒルに対しても俺は珍しいのか、とひとりごちる。


 そこらに自生している雨季に見かける植物の花を摘み、アヒルの頭に乗せる。


 オレンジ色のその花はいつの間にか、役にたつのか分からない帽子である。


 アヒルたちの愛らしさが倍増した気がして、少し口角があがる。


 お前たちは今のところ我に食されることはなさそうだ、と思う。



 件の住所をなずねてみると、そこはすでに廃墟と化していた。


 文通している相手が、同い年の男児であることに気づいた時は呆れた。


 その文通相手は、しばし女子のふりをしていたのだ。


 他にも文通相手がいる、と言われても、外がどんな風か知りたかっただけである。


 なんだったらその文通相手のせいで、世の中を勘違いした感がする。


 もしかしたらそいつとは、実際に対面しなくてよかったかもなぁ。


 廃墟と化した建物で何故か着いて来るアヒルと一緒に雨宿り。


 今、腰を落ち着けて雑記帳に書き留めている。

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