13話目:花帽子
寄り道でもしようかな、と、知らない山道を歩く。
小さい頃、間違えて送られて来た手紙に親切をしたら文通がはじまった。
その文通相手が、ここらへんにいる筈である。
今はもう引っ越しているかもしれないな、と予測はしているが遊歩したい。
緑色の木々の背景に、なかなか長い川があって小雨が降っていた。
踏み固められた山道は居住地区沿いらしいが、人気はない。
どうやら、『元居住地区』かもしれない。
傘がないので、雨宿りをさせてもらおうかと思った。
するとうしろに気配がいくつもしていて、何者だろう、と動揺した。
そこにいたのはアヒルの親子。
なんだアヒルか、可愛いな、と思ったのをとらえたのか親鳥がこちらを見た。
なんだアヒルに対しても俺は珍しいのか、とひとりごちる。
そこらに自生している雨季に見かける植物の花を摘み、アヒルの頭に乗せる。
オレンジ色のその花はいつの間にか、役にたつのか分からない帽子である。
アヒルたちの愛らしさが倍増した気がして、少し口角があがる。
お前たちは今のところ我に食されることはなさそうだ、と思う。
件の住所をなずねてみると、そこはすでに廃墟と化していた。
文通している相手が、同い年の男児であることに気づいた時は呆れた。
その文通相手は、しばし女子のふりをしていたのだ。
他にも文通相手がいる、と言われても、外がどんな風か知りたかっただけである。
なんだったらその文通相手のせいで、世の中を勘違いした感がする。
もしかしたらそいつとは、実際に対面しなくてよかったかもなぁ。
廃墟と化した建物で何故か着いて来るアヒルと一緒に雨宿り。
今、腰を落ち着けて雑記帳に書き留めている。




