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アリアスの雑記帳「メヴァンディーニ」  作者: アリアス・サカユ
11/31

11話目:池紫陽花



 せっかくだし少しのんびりそこらを見回ろうかな、と宿をとった。


 宿の催しがあって、参加するなら更に4500シューイーズ払えと言う。


 どんなものなのか聞いたら、恋愛成就。


 なのに聞くところによると、鳥居までの道筋には紫陽花が浮いているらしい。


 紫陽花の花言葉は、我の里では「浮気」とか「移り気」である。


 別の地区では「変化」となってきていることを知っていてよかった。


 とりあえず納得できなかったら返金してもらえるらしく、金を払った。



 白い長衣(ちょうい)に裸足。


 黒い岩の道に川ができていて、ゆるやかに上流に向かって徒歩で進む。


 豊満に咲いている紫陽花が時折、脚横(あしよこ)に浮いている。


 青、水色、紫、黄色と花びらの色はさまざま。



 拓けた上流には鳥居があって、神妙にくぐる。


 一面が紫陽花の浮いたその滝壺は、この時期『池紫陽花』と呼ばれる。


 『池紫陽花』と言う単語は、こちらの季語にもあたるらしい。 

 


 深くなっていく水深に、腰元もすでに濡れている。


 親子ずれなんかもいて意外だ。


 滝に手を合わせて打たれる。



 不思議に思って更に歩を歩めると、そこは洞窟みたいな場所。


 階段がありそちらに進み、宿の者の案内ですぐに着替える場所があった。


 4500シューイーズはほとんど長衣代らしく、持ち帰ってもいいらしい。


 なにが意外なのか、


 ああ来た道を神妙に戻るんじゃないんだ、と少しほうけていた。


 そう言えば来た道は、一方通行だった。


 なんだろう、この気持ちの名前。

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