異世界転移
それは突然の出来事だった。
いつものように和気あいあいとクラスメイトと団欒していると、教室の床一面に光り輝く魔法陣のようなものが出現した。
この事態を把握している者はおらず、ただただ騒ぎを起こすことしかできなかった。
中には教室の外へ出ていくものもいたが、大半の生徒は教室内にとどまっていた。
魔法陣が出現してから一分も経たない頃、光がひと際輝き始め、視界が真っ白になる。
光が止んだのを感じ目を開けてみると、そこはいつもの教室じゃなかった。
広い空間に、鎧を纏った大勢の兵士、そしてクラスメイト。
自体がうまく呑み込めず、多くの生徒が硬直していた。
そんな俺たちに助け舟を出すかのように、一人の女性が前に出てくる。
「勇者様、よくぞお越しいただきました。私の名はオリビア。急なことで混乱しているでしょうが、まずは私共の話をお聞きください」
こっちの反応を知っていたかのような対応をして話を進めて行く。
まずここはベトライヤル王国。そこに控えているのはベトライヤル王国が誇る王国一の精鋭部隊。そしてあなた方は、我が王国の召喚魔法により召喚され、今に至ります」
「ちょ、ちょっと待ってくれよ!いきなり聞いたこともねえよな国に召喚?とか言われても…。一体どういうことだよ!」
男子生徒が憤る。
「先ほども申した通り、我が国の召喚魔法で異世界の勇者様、つまりあなた方を召喚したということです」
異世界?召喚?何言ってんだこの人。
「異世界って何!?私たちちゃんと元の世界に帰れるんでしょうね?!」
女子生徒が困惑する。
「帰る手段はありますが、非常に困難を極める方法です」
「はあ!?なんだよそれ!ふざけんな!」
さらに他の生徒が声を荒げる。
「その困難に立ち向かうためにも、まずはあなた方に力をつけていただく必要があります」
そういって兵士の一人に水晶の球を持ってこさせる。
「一人づつこの水晶に手をかざしていただけますか?」
こっちの疑問や感情は一切合切無視されていく。
しかし混乱した生徒達はその場から動こうとしない。
「そんなにおびえなくても大丈夫ですよ。ただあなた方のステータスをはかるだけですから」
そんなこと言われても、自分たちにそれが真実かどうかを判断する材料はない。
恐らく半数の生徒はそう考えている。
残りは単純に状況を呑み込めてないだけだろう。
しばらく膠着状態が続くと思われた中、生徒の中から声を挙げるものが現れる。
「みんな、ひとまず落ち着いて僕の話を聞いてくれ!」
声を挙げてみんなの前に出たのは、いつもクラスのみんなをまとめているクラスの中心人物、松本だった。
「どうやらここは、あの人が言ったように僕らがさっきまでいた日本じゃないんだと思う。話を聞いた限りじゃそう簡単に戻れるものでもないんだろう。だけど戻れないわけじゃない。それに焦ったってなにも状況は好転しない。だったら今は冷静になって、僕らみんなの力を合わせて日本に戻るために頑張っていった方がいいと思うんだ。みんなはどうかな?」
そういってみんなの意見を聞いてくる。
「それもそうね!こういうときこそみんなで力を合わせないといけないわ」
「ああ、こういうときこそ一致団結しなくちゃな!」
生徒たちが次々に賛同していく。
バラバラになっていたクラスメイトたちの思いが一つになった。
流石とも呼べる人心掌握術だ。
とてもじゃないが真似できん。
「勇者様の意見はまとまったようですね。ではこちらの水晶を」
水晶が生徒たちの下まで運ばれてくる。
「最初は僕から行くよ。みんなは安全だと分かったら僕の後に続いてくれ」
先陣を切ったのは松本。
一抹の怪しさを誇る水晶の安全性を確かめる役割を買って出た。
松本が水晶に掌をかざすと水晶が神々しく光り輝き、松本の目の前の空間に数値や文字が羅列された。
「これは…?」
「それはステータスです。レベルや能力値、属性、スキルなどが記されています。ステータスは念じればいつでも見ることができますよ」
ほんとに漫画やアニメの世界みたいだ。
「あの、僕がこれをみてもよく分からないんですが、このステータスはすごいんですか?」
松本はステータスをオリビアと名乗った女性に見せる。
「…これは、すごいステータスです…」
その呟きを聞いて生徒達も松本のステータスを覗く。
▽松本叡人(男)
レベル:1
物理攻撃力:396
物理防御力:189
魔法攻撃力:118
魔法防御力:210
魔力:98
俊敏:65
属性:火・光
スキル
「ヘルファイアフィスト」「ホワイトストライク」「シャイニングブラスト」「フレイムバースト」
固有スキル
「言語会得」「ステータス倍増」「危機回避」
「とてもレベル1とは思えないほど、どの能力値も高いです。このステータスなら、すぐにでも魔王軍の魔物とも渡り合えるでしょう」
それを聞いてこの数値がいかに凄いのかが分かり、生徒たちが盛り上がる。
「すげー!さすが松本だな!」
「やっぱり松本君は頼りになるー!」
「是非、弟子にしてください!」
ステータスを見た生徒たちは口々に松本を称賛する。
「あはは…、ありがとう。どうやら危険なモノじゃなさそうだし、みんなもやってみて」
その後、順番にステータスを開示していき、ようやく俺の番になる。
▽双陸奏(男)
レベル1
物理攻撃力:16
物理防御力:8
魔法攻撃力:6
魔法防御力:3
魔力:2
俊敏:4
属性:風・光・???
スキル
「フラッシュ」「スタン」
固有スキル
「言語会得」「「「「「「「「????????」」」」」」」」
…なんだこれ。
はてなばっかじゃねえか。
しかも松本と比べてステータスが貧相だし。
あんまり人様に見せられるようなものじゃないな。
誰かに見られる前にそそくさとはけていく。
「みなさん全員終わりましたか?でしたら今日の予定はすべて終わりです。いきなり違う世界に召喚されて疲れているでしょうし、これから兵士たちが案内する自室で十分に体をお休めください」
オリビアの言葉を聞き、生徒たちの横に控えていた兵士たちが案内するべく動き出す。
みんなステータスという非日常なファンタジー要素に浮かれて、なんの疑問も持たずについていく。
生徒たちがさった召喚の間には、怪しく黒い笑みが溢れていた。
メインで言ってた「殴り書き」シリーズです。
ちょっとおかしな点があるかもしれないので、適宜指摘してくださると有難いです。
今後は「メイン」「息抜き」「殴り書き」それぞれ気が向いたときに投稿しようと思っています。
よろしくお願いします。