第73章
ようやく豪華客船にたどり着いた宗谷も当然の如くネロ伯爵によって捕獲された。
先に捕まったフランク伯爵もマストから降ろされると船内へと隔離され、いよいよネロ伯爵からの追求が始まった。
「フランク、お前の思考は我々の地域を攻撃した頃と何も変わっていないんだな。何故そうまでして王家に楯突こうとするのだ?強欲にも程があるぞ!」
「君こそ、よく無事に生き延びたもんだな。しかし何だねぇ、クレソン女史という妻を持ちながらも、この地で愛人を作ったばかりか娘まで育てようなんて、中々君の方こそ欲深いんではないかい?」
「いや、そ、それは、お前との攻防で受けた戦渦の中において私が重症を追ってこのガンダル大陸の岸辺に辿り着いた時から誠心誠意介護してくれた彼女からの好意を踏みにじるような真似はできなかったのさ。
娘が成人したのを見越しておいおいクレソンにも話そうとは思っていたんだよ。
しかしその前にこうして出逢う事ができ、クレソンも理解してくれたのだ。君に兎や角言われる筋合いはない!」
「ほほう、それは何ともご都合が良い話ですな、ハハッ!
君はそうやって全て自分の思い通りになるように正当化するのは昔から変わっていないな。だから君との話はいつだって物別れに終わってしまう……
君こそちっとも成長が見られないじゃないか?
そこでだ、君の幸せな未来へのステップのことを考えてのことであつてあくまでご提案なのだが、こうしてはどうだろう?そんなエゴの塊の君達と僕らがタッグを組めば、この世界の天下を取ることだって可能になるだろう。
なんたってアンタの娘さんも魔石を操れる事だし、お互いのために僕らと協定を組んで王座を戴く、っていうのはどうかな?」
すると黙っていられない様子でネロ伯爵の傍らで佇むクレソン女史が切り出した。
「ほらね、そういうところにアンタの本性が出るのよ!相変わらずな詐欺師的な思考形態よね、もう嫌になっちゃう!」
ー☆ーーー
ネロ伯爵はクレソン女史の言葉に微笑みながら、興奮した様子で語り続けました。
「クレソン、お前の鋭い観察力は今でも健在だな。だが、私は詐欺師ではなく、ビジョンを持つ者として、未来を築くための提案をしているんだ。」
フランク伯爵は少し考え込んでから言葉を投げかけました。
「確かに、私たちは過去の因縁があるが、ネロ、君の言葉には一理ある。この世界の力を合わせれば、王座を手に入れる可能性もあるだろう。」
クレソン女史は憤慨しながらも、考え込んだ表情でネロ伯爵に言った。
「私たちと協力するなんて、絶対にありえないわ。フランク、あなたも同じ考えなの?」
フランクはクレソンに手を差し伸べ、言葉をかけました。
「クレソン、ネロの提案には私たちの未来への希望が詰まっている。私たちは共に戦い、この世界を変えることができるかもしれない。」
クレソンはしぶしぶうなづき、そしてついに同意しました。
「わかったわ。でもネロ、そしてフランク、一つだけ約束してちょうだい。アナタがまた私たちを裏切るようなことがあれば、許さないわよ。」
ネロ伯爵は幸福そうな笑顔で答えました。
「約束する。私たちは新たな未来を共に切り開く仲間として、困難に立ち向かうだろう。」
こうして、宗谷の乗組員たちの未来が新たな展開を迎え、彼らは力を合わせて大いなる冒険に挑むことを決意しました。
しかしクレソンはネロ伯爵に騙されないようにと耳打ちするのだった。ネロ伯爵もフランクの話など端から信用していなかったのだ。
クレソンがネロ伯爵に耳打ちすると同時に、ネロ伯爵も狡猾な微笑みを浮かべていました。
彼らは共に新しい同盟を結ぶことに同意しましたが、お互いに警戒心を忘れませんでした。
フランクはクレソンに小声で言いました、
「クレソン、私たちはネロの提案を利用し、彼を手玉に取る必要がある。
彼の真意を見極めなければならない。」
クレソンは頷き、狡猾なネロ伯爵をじっと見つめました。
ネロ伯爵は彼らが協力することを歓迎しましたが、その心には隠れた目的があることを感じていました。
一方、ネロ伯爵も疑念を抱いており、フランクとクレソンが自分を裏切る可能性を考えていました。
彼は彼らを手中に収め、自分の野望を達成するつもりでいました。
この不穏な同盟が続く中で、宗谷の船内は緊張と陰謀に包まれていました。
どちらの陣営が最終的に勝者となるのか、そしてこの新たな冒険がどのような展開を迎えるのか、未来は誰にも予測不可能でしたーーーー
///to be continued!!!☆☆☆




