第72章
「アーアー、フランク伯爵聞こえますか?」
「ああ宗谷くん、聞こえますよ〜っ。そちらの様子はどうですかぁ〜?」
相変わらず詐欺師のフランク伯爵は、いよいよ宗谷がガンダル大陸上陸作戦を決行し始めたのを固唾をのんで伺っていた。
「伯爵、現在23:30時点、敵からの発見を恐れ豪華客船の照明を全て消した状態で甲板から手漕ぎボートで着水したところであれますっ!
遥か彼方に見えるガンダル大陸の薄明かりと月明かりだけが頼りの大海原からのリポートになりまっす!」
何故か真っ暗闇の船出にワクワクしている様子の宗谷の様子にフランクが告げる。
「えっと、では当初の予定通り、クレソン女史の魔石を誰からも気付かれる事無く奪取してくるよ〜に!」
宗谷からの無線はそれっきり途絶えるのだった……。
フランク伯爵と宗谷は、暗闇に包まれた大海原で進行中のガンダル大陸上陸作戦に臨んでいました。
彼らのボートは静かに波を切って進み、ガンダル大陸の薄明かりと月明かりが彼らの道を照らしていました。
しばらく進んだ後、フランク伯爵は舵を握る宗谷に向かって言いました。
「宗谷くん、我々の目標はクレソン女史の魔石を誰にも気付かれずに奪取することだ。用意は整っているか?」
宗谷は自信を持って答えました。
「はい、伯爵。特別な装備と計画通り、クレソン女史の居場所をつかんでおります。」
彼らの船は静かに浜辺に接近し、宗谷はボートから降りて隠密に陸地に忍び寄りました。
彼は慎重にクレソン女史の屋敷へ向かい、魔石を見つけ出すために巧妙な計画を実行しました。
その一方で、ようやくトミマロアイランドからドラゴンに乗って到着したフランク伯爵は豪華客船上で待機し、敵の発見を警戒しました。
暗闇の中で静かに時を過ごし、緊張感が漂っていました。
どのくらい時間が経ったのでしょう、宗谷はクレソン女史の屋敷から遂に戻ってきました。
手には魔石が月光に反射し輝いています。
宗谷は満面の笑顔でフランク伯爵に向かって言いました。
「伯爵、無事ミッション完了です。魔石を手に入れました。」
フランク伯爵もほっと一安心し、微笑みながら言いました。
「宗谷くん、素晴らしい仕事だ。さあもう一息、この魔石を安全に運び出しましょう。」
宗谷は魔石を持ってボートに戻り、静かに海へと向かいました。
ガンダル大陸上陸作戦は成功裏に進行し、二人の冒険はまだ続いていくと疑いもしませんでした、このときまでは……
ーー☆☆ーー
しかし全てはネロ伯爵の手のひらの上での出来事であることに、これ迄の成功体験から何も疑っていなかったフランク伯爵。
そしてネロ伯爵の罠に嵌まるときが刻一刻と近づくのを気にもとめていなかったのだったーーーー
それは突如として不意をつかれ眩惑する宗谷ーーーー
するといつの間にどうやって乗船したのか、甲板には何と、ネロ伯爵とクレソン女史、そして娘の三人がこちらを見下ろしていた。
更には何と言うことでしょう、いつの間にか先程到着したばかりのフランク伯爵は縛られ、マストに固定されているではありませんかっ。
宗谷がボートで豪華客船に帰還しようとしていると、一斉に灯りが点灯し、巨大なサーチライトが彼に照射されました。
眩惑する宗谷は不意をつかれ、驚きと困惑が顔に浮かびました。
フランク伯爵は拘束され言葉を失いながらも、どう対処すべきかを尚も考えていました。
甲板に現れたネロ伯爵とクレソン女史、そしてネロ伯爵の娘が宗谷を見下ろしながらクスクスと笑っていました。
ネロ伯爵は嘲りの笑みを口元に浮かべながら言い放ちました。
「おやおやフランク伯爵、お久しぶり。こんな形でお会いするとは夢にも思いませんでしたが、これも何かの縁ですかな!
やはり、あなたは結局のところ我が手中に捕らえられる運命だったようですな。」
クレソン女史も冷笑的に続けました。
「あなたたちの巧妙?な計画を見破ることはなんて容易いことでしょう。フフッ♪」
宗谷は何とか冷静さを保ちつつ、フランク伯爵に耳打ちしました。
「伯爵、このままでは奴らの優勢でっす。諦めが肝心ですよ〜っ。此処からどうやって逃げるおつもりですか〜っ?」
宗谷の言葉にムスッとしながらも、フランク伯爵は小さな笑みを浮かべ、ポッケに仕込んでいる何やら危険な小道具を取り出そうとしていました。
「宗谷君、何を彼らに願い入れようとしてるんですか〜っ?私たちは捕らえられても、決して簡単には降参しませんよ〜だっ。」
ネロ伯爵とクレソン女史が準備を整えている隙に、フランク伯爵は逆襲の機会を伺いつつ、冷静さと知恵を駆使してこの危険な状況からの脱出策を練り始めたのでしたーーーー
///to be continued!!!☆☆☆




