第7章
VRツアーに参加したとある精神科医があちらの世界でドアーフってどういうこと?! 第7章 作: 大丈生夫 (ダイジョウイクオ)
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Scene.13
「そう、一つだけあなた方に伝えておきましょう。貴方方が元の現実世界に帰ることができる方法をねっ!」
紳士はそういうや、不敵な笑みを浮かべながら一同を見渡す。
一同は尚も不安の表情を浮かべている。
此処「ノイシュバンシュタイン城」のレプリカのリビングにてドアーフ達及び魔法使いは固唾を飲んでいた。
ソルジャーが切り出す。
「ああ、オレには何だか理解できないなぁ!単にVRツアーに来ただけなのに、何のためにこんな思いをしなきゃなんないんだ!」
キャンは至って冷静さを振舞っている様子で、ひょんな事を言い出す。
「あのぅ~あたしぃ~着替えもって来てないシィ、困るんだけどぅ・・・」
元自宅警備員ハイジは
「オレは自宅に帰還するよりも、こっちの世界のほうがよっぽど性にあっているんだけどな。このままでいいよ、だって何だかワクワクするジャン!」
ウメも動じないで呟く。
「あたしゃ、どうせ家に帰ったって、毎日お茶漬け食って朝ドラ見て洗濯物干して、お昼を採ったら昼寝して、気がついたらもう夕方・・・なんだか味気ないんじゃよ。
そんな生活よりも、そう、体も昔みたいにピンシャンして、久々に昔取った杵塚のバイクや乗馬、そして居酒屋で飲んだくれてにぎやかに皆で騒いで、こんな幸せな世界は無いよ!」
ケントと元CAリンリンはあいも変わらず借りてきた猫のようにチンとして強張った表情でいる。
紳士は話を続ける。
「あなた方のそれぞれのお考えは分かりました。いずれ心境の変化もあるかもしれませんがね・・・では、元の世界に帰りたい方にとって唯一のその方法とは・・・・」
皆がゴクリと紳士に釘付けとなる。
「それは、「祈り」です。」
皆が肩透かしを食らったようにズッコケる。
元精神科医のナリミーが質問する。
「「祈り」ですか・・・・貴方は私どもドアーフを此処に連れてきて門を作れと仰る。ある意味新たなMissionともとれますが、無銭飲食をチャラにしてもらった手前大変恐縮で申し訳にくいのですが・・・貴方は搾取して我々を此処の奴隷にしようとしているんではないですか?」
「ナリミーさん、ご心配はお察しします。ですが、私は此処で貴方方ドアーフのパーティーが新たなセンスでこの城の門を築いた暁には、私はあなた方に報酬を与えるつもりです。
どうか自暴自棄にはならないでほしい・・・・」
「仰る意味がよく判りませんが・・・そしてどのような祈りを唱えれば我々は元の世界に戻れると?」
「それは、これからの行いのなかで貴方がたが意見を交わし、それでも此処での生活よりも以前の生活が理想的だと決断し、且つ真摯に「祈り」を唱えたときに叶うのですから。」
ナリミーはふと、当初の目的に行き当たる。
それは宗谷君の治療。
そう、私は宗谷君の精神化医として彼の処置の一環としてこのツアーに参加したのだった。
ところが彼の精神状態を確認するどころか、既に彼はここには居ない。
もとい、このツアーの案内役としてMissionを与え続けているのだが、果たして彼の本当の目的とは一体何なのだろう。
Missionどおりにここ「ノイシュバンシュタイン城」の修復をドアーフとして行ったところで、私にとって何の意味があるのであろう・・・
状況からして、もはやVRツアーではなくなっているようだ。
ともすると異世界にでも迷い込んでしまったような・・・・
この理不尽な状況は私の精神を崩壊させてしまうのに十分だ。
この異世界に隔離されている現状。
脱出の可能性は?祈りだと言うのだが何を祈れば良いのか・・・・
ナリミーの頭の中でグルグルと嫌な予感だけが回り始める。
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////////// To Be Continued ☆☆☆☆☆