第68章
クレソンは眼の前に居るグレイヘアにシルクハットの老紳士をネロ伯爵と決定付けるのに戸惑いを感じていた。
何故ならばこれまでの王家への旅路において何度も仙人フォーに憑依してきた伯爵が生きているとは思えなくて…
それに、これまでの未亡人としての30年もの長い月日を思えば当然だった。
クレソンの傍らに居る伯爵の娘エリアナは、幼少期のおぼろな記憶を辿りながら一生懸命に現実を受け入れようとしていた。
「クレソン、悪かったな…しかし私が戦禍の中で生死をさまようほどの負傷をしたのを長い月日を費やして介護してくれ、私の娘エリアナを身ごもった彼女への感謝からこのガンダル大陸を離れるわけにはいかなかったのだよ、解ってくれ…」
そう言うとネロ伯爵の目蓋から涙が流れ落ちるのだったーーーー
クレソンはネロ伯爵の言葉に感動し、彼の過去と決意を尊重しました。彼女はネロ伯爵と彼の娘エリアナの側に立ち、このガンダル大陸での新しい生活を支えることを決意するのでした。
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彼女は当時ネロ伯爵とエリアナの面倒を見ながら、ガンダル大陸の美しい自然と静けさを楽しんで暮らしていました〜〜〜
ネロ伯爵はエリアナの母親ミュルに、彼の過去の冒険と仙人フォーに憑依する魔術について詳しく語りました。
彼は長い間、王国のために闘い、その間に多くの困難に立ち向かってきたことを明らかにしました。
ミュルは伯爵の過去を理解し、彼との新しい関係を築きました。
このガンダル大陸でネロ伯爵、ミュル、エリアナは幸せな時を過ごしました。
新しい友情と家族の絆が深まり、過去の出来事からの癒しを見つけました。
彼らは困難を乗り越えて新しい始まりを迎えることの美しさを讃えるものであり、此処ガンダル大陸でも人々に語り継がれてゆきました〜〜〜
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しかしエリアナの心境は複雑でした。
確かに生きわかれた当時この島にやって来た海賊の奇襲攻撃から逃れるために彼女の母親は私を連れてこの島を旅立つことになったのだが、ネロ伯爵がその後自分達をそのまま放っておいたことへの疑念が生じていたからだった。
そしてエリアナは遂にクレソン女史に胸の内を語り始めた。
「そうだったの…多分ネロ伯爵も奇襲攻撃の後でこの島を立て直すのに精一杯だったに違いありませんよ。そしていつの日か貴方がたを迎えに行く日を夢見ていたことでしょう。」
この場はエリアナをなだめる形で終わったのだが、しかし気になっていたクレソンはある日ネロ伯爵に尋ねるのだった。
「そうなんだ、クレソン。ようやく島の立て直しが完了仕掛けた頃に新たなる問題が生じてしまった… それは王家に献上するための魔石を何者かが奪ってしまった事が発覚したのだ。
当時私と命からがら生き残った船のクルーの話では、あるゾンビモンスターが幽霊船で辿り着き奪っていったそうだ。
彼らは防御しようにもゾンビの呪いには刃が立たなかったそうなんだ。」
するとクレソン女史はニヤリッとしながら伯爵に言い放った。
「あるよっ!それは今はアンタの娘が持ってるよ!」
ネロ伯爵はクレソン女史の言葉に驚き、興奮しました。
彼はエリアナに魔石のことを尋ねると、エリアナは気になる場所を指し示しました。
それはクレソンすら知らぬ間に、いつの間に隠したのでしょう、ガンダル大陸の奥深くにある古代の神殿でした。
ネロ伯爵とクレソン女史は、エリアナの案内で神殿へ向かうことに決めました。
4頭立ての馬車が長い道のりを経て夕暮れに染まる神殿に到着すると、なんと彼らはこのガンダル大陸にゾンビモンスターが到着している痕跡に直面しました。
きっと魔石を目当てに来たのに違いなかったのだ。しかしネロ伯爵とクレソン女史は狼狽えずに力を合わせ対応する決意を胸に、エリアナの隠した魔石を探すのでした。
彼らは困難なトラブルも無く乗り越えると、どうにか魔石を取り戻しました。
魔石を手に入れた後、ネロ伯爵は王国に献上するための計画を立て始めました。
彼は王国を目指すためにも、エリアナもまた新しい家族との絆を大切にしながら、この美しいガンダル大陸での新しい生活を楽しむことにしました。
魔石は王国の血縁のものに操られることで、平和と繁栄をもたらす象徴として必ず王の手中に納めるべきだと改めて気付かされました。
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「はい、順調です、フランク。しかし驚いたことに、ネロ伯爵は生きてたんですねぇ……そして3人はどうやら魔石を持って新たなる王家への旅路を約束した模様ですッ!あと、ゾンビモンスター達も相変わらずあの魔石を狙っているようなのですが…多分自分たちにかけられた呪いを解くために必死なんでしょう……」
クレソン達の豪華客船にフランクの司令によって密かにスパイのため乗っていた宗谷は、尚も魔石の奪還のために着々と構想するのでした〜〜〜〜
☆☆☆to be continued!!///




