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第66章

その頃トミマロアイランドは夕陽に包まれて行った。



 ウメ婆さんが元精神科医のナリミーと一緒に海辺をトボトボと散歩している。




「アタシャね、あの仙人フォーがそんな悪さをするなんて思えないんだよ。

 そりゃあアタシ達ドアーフがノイシュバンシュタイン城で汗水垂らしてドラゴンの門柱を作る作業をしたバイト代をくすねた事もあったかもしれないけど、それもちゃんと戻って来たことだし。

 何しろ我々の窮地を何度も救ってこれまで何とか無事に旅ができたのも、きっとフォーのお陰に違いありません!ナリミーはどうお考えですか?」




 その問いかけにナリミーは珍しく難しい顔をするのだったーーーー




「ウメさんの意見もわかりますが……しかしですねぇ、王家を目指す筈だったこの旅の先導役のフォーは、行く先もハッキリと知らないのに我々を此処まで引き連れて来たのは一体何の意味があるのでしょうか?

 あの幽霊船に出会わなければもしかしたらこんな状況下に成らずに済んだのではないかと思うのです。」





「それもそうね。しかし、それもこれもドアーフ一行が無事にこのVRツアーからログアウトするために王家への行き先をうる覚えでも何とか努力して見つけ出そうとしたんじゃ無いのかねぇ…アタシ達の為にね!」





 遠巻きに二人の様子を伺っていた仙人フォーであったが、この二人の話を聞いた途端涙が止まらなくなった。


そして此処トミマロアイランドでこれから始まる酋長プレレとの闘いの戦意は、すっかり無くなってしまったのだったーーーー





 ウメ婆さんとナリミーの議論がトミマロアイランドの夕陽の下で続いていた中、仙人フォーは彼らの言葉をじっと聞いていました。





 涙が彼の目から流れ落ちるのを隠せないほど、彼は感慨深く思考にふけっていました。





そしてフォーは静かに立ち上がると、何と言う事でしょう、突然木陰からウメ婆さんとナリミーの前に現れました!そして二人に向かって言い放ちました。






「お二人の言葉、よ〜く理解しましたよ。私が行き先を明確に知らないままにもお二人を冒険に誘ったこと、それがどれほど苦しいことだったのか…今は理解しています。しかし同時に私はアナタがたのことを信じています。」






ウメ婆さんとナリミー、そしてプレレ酋長も驚きの表情を浮かべましたが、フォーは続けました。





「この冒険が、王家への道を見つけるだけでなく、私たち自身の成長と絆を深めるための旅でもあると思うんです。

 私たちはこの冒険を通じて多くの困難を乗り越え、友情を築いてきました。

 そして、これからも共に立ち向かっていけると信じています。」




 ウメ婆さんとナリミーはフォーの言葉に心を打たれ、お互いに微笑み合いました。




 フォーの存在が、彼らの旅路において本当に意味のあるものであることを再確認しました。











〜**〜**〜〜





 その夜、トミマロアイランドの村人たちは大きな焚き火を囲み、再び語り始めたウメ婆さんとナリミーの話を聞きました。





 村人たちは彼らの勇気と友情に感銘を受け、トミマロアイランドは再び団結しました。










ーー☆ーー☆





 数日後、仙人フォーが戦意を失ったことを知り、遠くの島から魔石使いとしてやって来たエリアナは自分の立場が必要なくなった状況下において、何と言う事でしょう、託された魔石を持ち去るや、島の豪華客船に飛び乗って面舵一杯回すのでしたっ!






 それを知らされたウメ婆さんとナリミーは、その事をプレレ酋長と仙人フォーに伝えました。







 ウメ婆さん: (驚きながら)エリアナの奴、一体どこに行っちゃったのかしらねぇ?





 ナリミー: なんだか、魔石使いのエリアナがいないと言うことは…あの魔石をどこに持って行こうとしているんだい?





 仙人フォー: (失意の表情で) エリアナが去ったということは、とうとう私たちの王家への行き先の術を失ったことになるわけですね。






ウメ婆さん: でも、どうして彼女が突然立ち去ったんだろう?私たちには何も言わなかったし。





ナリミー: あの魔石がどんなに特別な力を持っているのかを、エリアナはそれを手に入れたって分かっていないかもしれないな。





仙人フォー: (決意を込めて) どんな状況でも、私たちは魔石を取り戻す冒険を続けるべきだと思いますぞ。




ウメ婆さん: (頷きながら) そうね、フォーの言う通りだわ。私たちはここで諦めない。




ナリミー: (決意を示して) そうだ、今度はエリアナとの戦意を取り戻そう。

 エリアナがどこに行ったか考えることにしよう。





 仙人フォーと二人は再び団結しエリアナとの戦いに向かう覚悟を新たにしました。




 エリアナの行動には謎が多いが、彼らの冒険はまだ続いていくのでしたーーーー





〜**〜***〜*〜〜







その頃、トミマロアイランドの酋長プレレはフォーの様子をフランクに言うと、いつの間にやら今や親友となっていたフランクは良からぬ計画を練り始めるのだった……

 



 早速フランクはある秘策がある、とプレレに説明を開始する。






「そうですね~、ではこうしませんか?結局のところあの魔石は王家の血縁であるエリアナに持ち去られてしまいました。

 貴方は仙人フォーが盗んだ事を咎めてはいますが、今の段階でこの世界で一番力を持っているのはエリアナに違いありません!

 此処はフォーと正式に和解していただけませんか?」






酋長プレレはフランクの提案を真剣に考えました。

エリアナの行動から彼女が力を持っていることは明らかでした。彼は深くため息をついてから答えました。





酋長プレレ: 「君の提案は考えるに値する。しかしだ、仙人フォーとの和解は容易ではないだろう。

 彼は君たちには多くの災難の事態において助けてはくれただろう、だが魔石のことでの誤解は未だ深刻な筈だ!





フランク: 「それなら私の流暢な言葉で彼に誤解を解く手助けをしましょう。

 彼がエリアナに魔石を持ち去られたこと、それが私の情報によれば王家の秘密を暴露するための行動かもしれないと話すことができましょう。」





酋長プレレ: 「なるほど!それなら彼と話をし誤解を解いてみようではないか。 

 しかし〜エリアナとの交渉は難しいだろうな。彼女は強大な力を持っているし、王家の秘密を知っている可能性もある。」






 フランク: 「エリアナに対しては、私が特別な取引を提案しましょう。彼女にとっても利益があることを示せば、協力してくれるかもしれません。」






酋長プレレは頷き、フランクが仙人フォーとエリアナに接触する計画を進めました。



 酋長プレレはこの難しい局面を解決し、トミマロアイランドの未来を守る事を第一に願うのでした。








〜**〜**〜〜〜



 その夜も焚き火の前でプレレとドアーフ一行の宴は和やかに行なわれたのだった。





 するとふとその場を外したフランクは、自分に与えられている住居パオに辿り着くや、おもむろに無線機を取り出した。そして何やら交信を開始すると話し始めるのだった……







「チッ♪それで、船の状況は?」







「チッ♪はいっ、至って順調に進んでおりまして〜〜〜 間もなく眼の前のガンダル大陸に到着するものと思われま〜っす。」







 何と、無線機の相手の声は、同じく今だに詐欺師の流石の声であって……どうやらエリアナの豪華客船に計画的に乗船し実況中継を行なっているのだったーーーー







フランク: (無線機を通じて) そうか、ガンダル大陸に到着したのか。いいね、いいね。この実況中継、皆に喜ばれているかい?







流石: 「もちろんです、フランクさん!この実況中継を視ている視聴者さんからもエリアナの行動には大きな関心が寄せられていますよ!」







フランク: 「それはいいことだろう。さてはエリアナが王家の秘密を握っていると思われるからな。

ところで今の船の状況はどうだ?」







流石: 「エリアナが尚も船を操縦しておりまして〜〜〜どうやら豪華客船は彼女の魔石の力で順調に進んでいる模様ですっ!」







フランク: (興奮気味に) 「それじゃあ次はどのエリアに向かうんだい?」







流石: 「それがですねぇ、まだ彼女を含めて誰も知らないんですよ。」






フランク: (興奮を抑えきれず) 「これは面白い!王家の秘密を探求する旅、どんどん面白くなってきたぞ。」






流石: 「フランクさん、エリアナが力を持っている以上、どうかお気をつけて。彼女は予測不可能な存在ですから。」






フランク: (にやりと笑いながら) 「もちろん、俺はその辺り、よくわかっているさ。彼女にはまだ役に立つことがあるかもしれない…」







無線機の向こうで、フランクと流石の会話が続き、このVRツアーの舞台裏にはまだまだ多くの謎が隠されていることが示唆され始めたのでしたーーーー








☆☆☆to be continued!!///













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