第58章
「もしもし〜、ああ今行った。アイツは相変わらずお前を裏切って王座への地位に執着してるんだよ!
よ〜く言い聞かせたほうがいいな、では。」
フランクが出ていったのを見計らうや、大人気もない宗谷はソルジャーにチクリの電話を入れるのだった〜〜〜
不意にフランクの裏切りを聞いたソルジャー。
「なんてこった、アイツは!だが、果たして宗谷の話を鵜呑みにしても良いものであるうか?
以前のこともあるからな。ま、私の牙城は崩せないがな、この魔石がある限りは、ハハッ!」
流石に抜かりのないソルジャーであった。
〜☆〜☆〜☆〜
潜水艦で仙人フォーの脳波を近くに探知したクレソン女史は、いよいよカフェ龍宮に到着するのだった……。
カフェにダクトを直結し入ると、何とも音程の狂った仙人フォーがカラオケバトルで熱唱していた。
「おう、これはこれはクレソン女史、ご無沙汰しております。しかし何故此処に?」
ウメ婆さんに聞かれたクレソン女史は神妙な面持ちで呟く。
「先日ワタシ嫌な夢を見てね…以前もこういうのあったんだけど、大概正夢の場合が多くてね。
それもあなた方の生死にも関わることなだけにほっとけなかったのよ…」
クレソンの話にキョトンとするウメに代わってフォーが割り込んだ。
「ナニイッ!我々の生死でございますか?それは聴きづてならないですねぇ…で、どのような?」
「ええ…ですから、あなた方のお仲間のドアーフの一人、ソルジャーさんがリカルド島を奪取したようで。
その前のオーナーである我が夫の宿敵フランク卿から権限剥奪したところまでは良いのですが、あなた方のVRツアコンの宗谷さんまでが、なにか悪巧みを開始してあなた方の召喚スキルを利用して自ら王位を乗っ取ろうとしているというものでして…
もう気になって使用がありませんでした。」
その話を聞くや今度はフォーがキョトンとする。
「へ、なんで宗谷の奴がワシを差し置いて王座を乗取ろうと画策しているんだ?
しかもここから目と鼻の先のリカルド島がソルジャーのものとは一体どうなつているのやら〜〜〜。」
「そこで私からお願いがあって駆けつけた次第でして。
ぜひ宗谷さんからあなたがたに味方につくような話がありましたら、一旦味方になったフリだけしてほしいのです〜〜〜
そして万が一ソルジャーを攻撃するような状況下になる場合には攻撃未然にしてほしいのです……」
何ともチンプンカンプンな話にパニックな表情のピチピチな女子達ではあったが、 流石にミケロッティ伯爵の愛した妻の眼差しの前では、彼女に従うより他なかったのだった……
ようやく理解したフォーは、
「なるほどぅ、宗谷がそんなことを企んでいたとはいささか驚きだがな。
しかし、我々のVRツアコン如きに王位を乗っ取られるわけにはいかなーい!ワシのほうが先じゃろ…トホホ。
クレソン女史、あなたの頼みは聞き入れましょう。これから宗谷と接触し、彼の真意を確かめることにしましょう。」
「ありがとうございます、フォー仙人、あなたの決断に心から感謝しますわ。
宗谷さんにはあなたからの説得が、彼にとって一番納得できる言葉だと信じていますから。」
一方で甥っ子宗谷の裏切りの体たらくさに呆れたウメ婆さん。
「では、あなたが宗谷と接触する際に、アタシもフォーをバックアップしようじゃありませんかっ!」
フォーは頷いて、
「ウメ婆さんの意見、喜んで受けとります。ドアーフ皆が一緒に協力すれば、きっと宗谷の意図を理解しやすくなるかもしれないからね。」
こうして、クレソン女史、フォー、そしてウメ婆さん、キャンとリンリンも一丸となって宗谷との接触に向けて準備を進めることにしたのだったーーーー
一行はカフェ龍宮の裏に魔法使いであるウメ婆さんのスキルでいつの間にか設えた秘密の通路を使って、宗谷が待つ管制塔へと向かうのだった。
するとそこには何故か宗谷がひとり佇んでいるではないか!これには一行も仰天する。早速ウメ婆さんが問い詰める。
「宗谷や、オマエってやつは… 聞いた話によると、アンタが我々の召喚スキルを利用して王位を乗っ取ろうとしているとのことだが… 本当かい?」
予期せぬ一行の登場に動揺を隠せない宗谷は、思わずギクリと後ろによろけながらしらばくれた様子で言い放つのだった〜〜〜
「ああ、フォーさんですかこれはこれは…
貴方たちの前に立ちはだかるのもいささか失礼なことではありますが、私にも自分の正義心というものがありましてね。
此処リカルド島の支配を巡る戦いで既にソルジャーと私は仲違いしておりまして、とうの昔から違った道を選んで突き進んでしまったのですからね。」
流石に黙って居られずにクレソン女史がその言葉を遮るように言い放つ。
「宗谷さん、あなたの心の中にある正義を理解したいものですがね、これでは…
少なくともこのような形で私たちは友人を傷つけたくなどありませんからねっ!」
更に今日もピチピチなウメ婆さんも追い打ちをかけるように加勢する。
「そうじゃよ、宗谷や。どんなことがあっても一緒に旅してきたんだから、私たちは腹を割って話せる仲間じゃないかい。
ちょいとこのババァに詳しい話を打ち明けてはくれないかい?」
宗谷はしばし考え込んだ後、深いため息をついた。
「皆んながそんなに言うんじゃあ、分かったよぅ。
僕の思いを聞いてくれる仲間なら、話をする用意はあるから。でもね、お祖母さま。
そして君たちにも今後もあらゆる危険が伴うことを理解してもらいたいからね。」
ようやく宗谷の考えを聞くために、クレソン女史たちは宗谷と向き合う決意を決めるのだった。
果たして彼の本音は、今後の彼らの運命をどのように変えてゆくのであろうか〜〜〜
to be continued!!☆☆☆〜///




