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第55章

「ちょっと、フォー仙人や、アンタ本当に王家に行ったことがあるのかい?全然到着しないじゃないのっ!」





 来る日も来る日も島々を巡るこのVRツアーにいい加減しびれを切らすウメがフォーに噛みつくように怒鳴る。




 二人の乗ったドラゴンちゃんヒロトは島々のつながる諸島をただグルグルと旋回していた。





「ああ、確かに行ったことはあるのじゃが、なんたって50年近く前のことじゃからなぁ…」



「なんですって?それじゃどっちへ行けば良いのか忘れちゃったんじゃないの?」



「いいや、私の辞書には不可能という文字は御座らんっ!」



「じゃ、一体どっちなのよ!」



「右。」



「へ?アンタ今何か申されましたか?」



「右じゃ。」



「何なの右って。」



「右へ行けば良いのじゃっ……」



「ほうらまた適当なこと言っちゃって、何の右なのよ!」



「島。」



「なんですって〜?こんなにグルグルと回っていたらどっちが右だかわかんないじゃない!」



「じゃ、あっち。」



「おいジジィ、お前さんそんなにキャピキャピな女子のカッコしちゃってるけど、ホントはボケちゃったんじゃないのぅ〜?じゃなきゃ幼稚園からやり直しなさいっ!」



「な、なんとぅ〜!」



 真夏の炎天下を飛び回る二人の会話は空回りし、さすがのドラゴンちゃんヒロトも熱中症なのかフラフラとパタパタ飛んでいる。



 そしてなんということでしょう、遂に海の中へと落下していきました。




 必死にしがみつく二人〜〜〜




 そしてドラゴンちゃんヒロトは二人を乗せたまま海の底へと沈んで行ったのでした。




〜☆〜☆〜☆〜




「いらっしゃいませ御主人様っ!」




 二人が気付いた頃、どうしたことかカフェの席に着席していました。




 ドラゴンちゃんヒロトも隣のソファでいびきを掻いて寝ている始末、仙人フォーは何処かに消えてしまっていた。一体此処は……




 目の前のメイドはニッコリとMENUを差し出す。




 ウメが覗き込むと、メニューにはセットメニューばかりで、詳細は書かれていない。



 

「どれどれ、タイやヒラメの舞い踊りセット、海鮮酔いどれ天使セット、プリプリ人魚お楽しみセット、ですって…一体何なの?まぁ良いわ、こうなったらお楽しみセットにしちゃおっ!」




 年甲斐もなく子供のように何だかワクワクするウメ婆さんだった……




 メイドはウメのメニューを聞くとそそくさと奥の通路へと駆けだしてゆく。すれ違いざまにトイレから仙人フォーが飛び出す。




「いやぁ〜、驚いたねぇ!こんな所にカフェ龍宮があったんだねえ〜〜〜実はね、此処はチェーン店でね、前にも何度か別の店に立ち寄ったことがあるんじゃ。所でお前さん何を注文した?」




「あのねっ、お楽しみセット。」




「ナンジャと、そいつはチョイとマズイなぁ…ま、冥土の土産として経験するのも良かろう…」




 フォーの言葉が気がかりになるウメだったが、相変わらずワクワクは止まらなかった。




数分後、メイドが再び現れる。何やら青汁のようなドリンクのグラスをテーブルの上に荒っぽく置くと、少しこぼれた!その音に驚いてドラゴンちゃんヒロトも飛び起きる。そしてメイドがウメをキッと睨むと何事もなかったかのようにそそくさと立ち去る。





「ナンナの、あのメイド!非常識よねっ。アッ、もしかして此処はツンデレ系なの?」




「ま、そんなのは序の口じゃ。まだまだお楽しみは続くぞよ、さぁ飲んだ飲んだっ!」




 相変わらずビチビチな姿のウメ婆さんはフォーに勧められるままに一口ゴクリとやると吐き出した!





「もうなんなのよう〜〜〜辛いし苦いし半分はアルコールじゃないのよ〜。だけどぅ〜後味は案外悪くないわね!」




 呑兵衛なウメ婆さんはそう言うやゴクゴクと一気に飲み干した。そしてお代わりも追加。いい感じに酔いが増す〜〜〜




 

 またまたさっきのメイドが今度は大きな鍋を持ってくる。二人の前に器を配るや、お玉で荒っぽく二人によそった!その勢いでフォーの顔面に飛沫が飛ぶ!




「あわわなんぞわやぁ〜!アツチチチ、ヤラレタ〜ッ……」





 メイドは二人の慌てようにフッとニヤけるや舌を出してそそくさと引っ込む。



 すれ違いざまに今度は二人のメイドが現れて、なんということでしょう~ソファで横になるドラゴンちゃんヒロトに向かってエルボやサソリ固めを開始。




 悲鳴を上げるヒロトを立たせて今度はラリアット、も一人がアリキック!





 おっと、最後に床に叩きつけてジャンピングニーパッドを食らわしあっという間にカウントを奪取した。

 



 これによりヒロトはヘロヘロ、さすがの二人もすっかりたまげてしまった〜〜〜




「ハロー!おかえりなさい御主人様!」




 その声に何故か聞き覚えが〜〜〜二人のメイドはなんとキャンとリンリンだったのだ。




「お前ら此処で何をしとる?」




「ワタシたちバイト中で〜す!昨日からお小遣い稼ぎしちゃってま〜す!」




「なに、バイトじゃと、道理でヒロトに手加減せん訳じゃな、ハハッ!」




 それからそれから、お楽しみは皆でプリプリ人魚のコスプレをしてのカラオケバトルが始まったのだった。愉快な4人のファルセットとヒロトの雄叫びが夜更けまで海底に漂い続けたのだった〜〜〜






to be continued!!☆☆☆〜〜///









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