第49章
ウメとフォー仙人のやり取りの様子を呆れながら観察していたネロ伯爵は、やっと重い腰を上げると呟く。
「我々は王家に向かっていたでは無いか。
王家の滅亡を食い止めるため、あの憎きノイシュバンシュタイン城の城主であるフランクの支配に立ち向かうべく!君たちは忘れたのかい?」
「もちろん、ネロ伯爵様。私たちはその使命を忘れていません」
とウメは答えた。
「当時、城にたどり着く前にこの森で不可思議な事件が起こったのです。
奇妙な影が私たちを襲ってきて、すると私たちの力をどんどん奪ってしまったのですよ。」
「それは多分、あの魔法使いのしわざ〜〜〜 そう、フランクの親父であるアイザックの仕業だろう。彼はノイシュバンシュタイン城を裏から操っている男だ。
彼の魔法の力を借りて、フランクは私たちを打ち破ろうとしている。
それでも王家を守るためには立ち向かわねばならない」
ネロ伯爵は厳しい口調で言い放った。そしてかつてノイシュバンシュタイン城にたどり着いた頃の出来事を回想する。
その頃、城門には厳重な警備がなされていた。
「私たちは、王家のためにここに来た。私たちに会わせてくれ」
と、ネロ伯爵は警備兵たちに声をかけた。
「それならは城主の許可が必要だ。城主は現在、アイザック魔法使いと共におられる」
「そんなことで阻まれるわけにはいかない。私たちは、王家のために行動する。許可を得なくとも、城に入らせてもらう」
ネロ伯爵がそう言うや、制止を振り切り城壁をよじ登ると城に侵入した。
城内には、アイザック魔法使いとフランク城主が待ち構えていた。
アイザック魔法使いが言う。
「お前、何故ここに来た? 王家に忠誠を誓うはずのお前たちが、何故私たちに会いに来たのだ?」
「私たちは、王家を守るためにここに来た。あなたたちを倒し、王家の平和を取り戻すためだ」
ネロ伯爵は答えた。
そして我々の激しい戦いが始まった。
アイザックの魔法とフランクの剣技に苦戦していたものの、最終的にネロ伯爵がついにアイザックを倒すこととなる。
そしてフランクはこの時点では降伏したかに見えたのだが、しばらくすると妙な噂をちょくちょく耳にするようになったのだった〜〜〜
それから数年後、フランクは人が変わったかのように王家への離反と領土拡大を急速に推し進めて行った。
フォー仙人が切り出す。
「フランクが急速に領土拡大できた背景には、きっとアイザック魔法使いの魔法が未だに効いているのじゃないかね?」
ウメも話に乗っかる。
「あら、たまには気の利いたセリフを言うこともあるんだねぇ。てことは、アイザックのスピリットをフランクが継承し、遂にはこの世界を牛耳ろうと画策しているのでしょうか…」
「ウメや、何を今更…君たちドアーフがノイシュヴァンシュタイン城に隔離されていた日々を考えれば奴隷のようじゃっただろう?」
「そ、それもそうね。そして~フォー仙人はその手下で〜〜〜、ん?」
「ウメや、それはちょいと間違っておるぞよ…」
「そうよ、アタシ思い出しちゃった!アナタもフランクの一味だったじゃないのよ!アタシ達のバイト代持ち逃げしてたじゃないのよっ!!」
「あ、あれは、ちと、気の迷いで…」
「え、気の迷い?そんなんでごまかせるなら警察は要らないよ!!」
「では、どうすればゆるしていただけるんですか〜?ウメおばあさま、ヒッ。」
「な、何よ、その口のきき方!アタシを馬鹿にしてるでしょ!」
「へ、なんですとぅ〜?
ワシも年寄りでよく聞こえなかったのじゃが、ヒッ。」
「ナンナのその語尾の「ヒッ!」て。全く癇に障るわ‼」
「ああそうですか〜っ。
じゃ、これでも喰らえっ、プピッ!」
「ちょっ、ちょいとお前さん…それはズルいわ、何よ屁なの〜? こ、このオイニィは…クサッ!!… アンタやっぱりフランクの手下だったのねぇ〜〜〜」
そしてピチピチなウメ婆さんとネロ伯爵はその場に突っ伏す。
無事に最終手段の任務を遂行した魔法でピチピチ女子のフォー仙人は、難なく豪華客船の乗っ取りに成功したのだったーーーー
to be continued!!☆☆〜〜




